『国鉄分割・民営化と闘って30年』を読んで 反合・運転保安は、郵政職場の闘いの課題だ

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0337号10/01)(2018/04/01)

『国鉄分割・民営化と闘って30年 労働運動の変革をめざして』を読んで
反合理化・運転保安闘争は、郵政職場の闘いの課題だ

星野 勝紀(郵政労働者)

 国鉄分割・民営化に次ぐ郵政民営化は、改憲・戦争と民営化―労組破壊という国家意志を貫くものとしてある。改憲・戦争情勢の中で、民営郵政資本と連合・JP労組中央の結託体制は、安倍の「働き方改革」を貫くものとして、昨年10月に無期転換制度の一年半前倒し導入、さらなる非正規職化を進めている。
 郵政民営化から10年、職場は様変わりした。圧倒的な人員削減合理化は、正規を非正規に置き換え、郵便職場の非正規の割合は6割と言われている。極限的な人減らしは、全国で圧倒的な人員不足を招き、強労働と長時間労働を強いられている。その結果、郵便事故、交通事故は職場の切実な問題となっている。怒りは充満している。しかし、その怒りを萎えさせるかのように当局の「安全最優先の業務を実践し、事故災害を撲滅しよう」を建前に強権的な労務管理が横行している。
 我々は、郵政民営化絶対反対、民営郵政とそれを支える連合・JP労組中央打倒を掲げて闘ってきた。職場に階級的労働運動をつくるために、第1章の動労千葉の出発点―反合理化・運転保安闘争を読んでみた。
 当局と連合・JP労組中央は生産性向上を共同の綱領として掲げている。その中身は、究極的な合理化推進である。本書27頁では「近年進む合理化の中心点は、一つながりの生産過程・労働過程をいくつもの部分に分解して、バラバラにされた各部品を分析し、ムダを省き、その上でまたつなぎ合わせる、というとき、その各部分をできるだけ外注化して労働コストの低減をはかる手法である。その際、バラバラ化された各部分の分析・効率化は『科学的』になされるでもあろうが、それを再度つなぎ合わせる(総合)とき、不可測の不具合が生じて、いくつかの事故の原因になった」とある。
 まさに郵政の職場も外注化され、委託化され、ポストの収集から配達までがバラバラにされ、本来一つながりであった郵便の流れが激変した。そうした中で、ひとたび事故が起きれば、「再発防止策」を現場から支社へ提出し、それを守らなければ処分の対象となる。それがどんなに理不尽な策であってもだ。こんなことを続けていたら、究極的な「再発防止策」は、郵便を区分しない(区分しなければ誤区分は起きない)、配達しない(配達しなければ誤配は起きない)。
 残念ながらそうはならない。郵便労働者という生身の人間が郵便を全国津々浦々に届けているのだ。職場の怒りは、やはり労働者としての怒りであり、その怒りは労働者の誇り、自らの労働を当局によって低められることにある。
 昨年、職場で交通事故の「再発防止策」として、局前のUターン禁止が言われた。これをめぐって1年間攻防は続いた。それは当局がつくったルールではなく、労働者自らが安全保安を確立する闘いであった。ここに喰らいついたとき、正規も非正規も同じ思いを共有した。時代認識を鮮明にして、職場課題をとらえ、団結をつくり出したいと思う。