産別・戦線の闘い 第18回 自治体労働者の闘い マイナス人勧を現場の怒りで粉砕

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0345号05/01)(2018/12/01)

産別・戦線の闘い 第18回
自治体労働者の闘い
特区連マイナス人勧を現場の怒りで粉砕し、勝利したぞ!

(写真 11・19特区連総決起集会に1300人が結集)

佐藤 賢一(全国労組交流センター自治体労働者部会代表 江戸川区職労執行委員)

◆史上最悪のマイナス人勧

 10月10日、特別区(東京23区)人事委員会は、史上最悪の賃金引下げを勧告した。「新2級で最大1万8480円、退職金73万円もの削減。しかも4月に遡及して返還を求める」という前代未聞の攻撃だ。区民と接する特区連の解体攻撃であり、安倍政権の「公務員の岩盤破壊」攻撃そのものだ。特区連が問われ、全国労組交流センター自治体労働者部会が問われた。

◆現場組合員の決起で勝利!

 今までの組合のあり方、闘い方では組合員は納得しない。単なる現執行部批判のビラでは済まされない。少数ながら全力の決起、創意工夫の闘いが始まった。「初めての個人名ビラ作成」、「現業総会での反対決議」、「自治体部会のビラまき」など、特区連執行部の思惑を乗り越え、各区職労組合員はかつてない闘いを各区で全力で取り組んだ。
特区連から「29分職場大会」の方針が出されたが、それは事実上のストライキ方針だった。  特区連の抗議署名は組合員4万人に対して5万4468筆になり各ブロック集会は組合員の怒りの結集であふれた。11月19日特区連総決起集会には大田区民館を満杯にする1300人を超える組合員が結集した。
 11月21日、「特区連人勧見送り」が発表された。現場組合員の怒りの決起で勝利したのだ!

◆江戸川区職労の闘い

 10日の勧告を受け、江戸川区職労執行委員会で「ストライキ要請署名を特区連委員長に出す」ことを提案した。しかし、再任用の執行委員が「うちはそんなことはやらない。やるなら勝手にやれと」と怒鳴り、書記長以下執行委員は沈黙、委員長も同調した。私は、職場近くの事務所、サポートセンターなどを回り、署名を集め始めた。始めは自転車で、さらに区内全体を車で350キロ回った。
 署名を呼びかける中で、たくさんの組合員の声を聴いた。「他の役員はこないのか」「なぜすぐストライキやらないのか」「毎年批准投票をやっている意味は」「どうしたらいいですか」「組合はどういう闘いをやるのか」「組合が闘わないから俺たちは組合やめたんです」「高卒新採だが、住宅手当と残業代がなければ生活保護以下の賃金なんです、何とかして下さい」
 署名用紙は職場にまき、区役所本庁舎にもまいた。本庁舎からは比較的少なかったが、係長が係員全員に書かせたと思われる署名もあって感動した。朝、署名用紙をまいて、夕方、届いたのは嬉しかった。現場労働者が「ここで負けてはいられない」と決起したのだ。「黙っていれば一生給料が上がらない」という危機感が筆を走らせたのだ。「特区連執行部に対するストライキ要請署名」は江戸川区と江東区で308筆となった。職場からの闘いで団結が生まれ、仲間ができた。

◆自治体労働運動の解体攻撃

 総務省「自治体戦略2040構想」研究会は、公務員を半減すると打ち出している。自治体の崩壊と同時に、自治体労働運動の解体攻撃だ。1987年の国鉄分割・民営化では、40万1400人いた国鉄労働者が20万5600人になり、国労組合員は24万4800人が4万400人になった。この過程で200人も自殺者が出た。新自由主義攻撃が始まり労働者の労働条件が一変した。
 安倍政権が推進する「同一労働同一賃金」は、全労働者を非正規職にし低賃金にする攻撃だ。「会計年度任用職員」は人事評価制度にリンクし年度ごと解雇が前提だ。現行の臨時職員・非常勤職員は有期雇用だが、何度でも雇用を更新し一定の労働条件を勝ち取ってきた。年度ごとに解雇・選別し1か月の試用期間と評価制度で屈従を迫り、団結を破壊する攻撃だ。
 大阪府泉佐野市では、新規採用を会計年度職員で採用し職員600人を100人にしようとしている。労組解体、低賃金化、解雇自由社会を作り出そうとしているのだ。

(写真 品川区職組合員のビラ)

◆勝利に向かっての方針

 「史上最悪の低賃金人勧」の見送りは、かつてない大勝利だ。しかし闘いは終わっていない。新人事制度では昇給なしに賃金は上がらない。青年労働者には一生低賃金が押しつけられている。新人事制度を撤廃させるため、闘いの具体的方針を以下のように職場の仲間に提起していった。①ストライキ要請署名の貫徹、送付②ブロック集会、総決起集会への全力参加、29分職場大会への参加、③年配者は青年を応援し送り出す④組合役員にどういう闘いをやるのか問うて闘いを促す⑤区職労定期大会の代議員になって今回の賃金闘争をどう闘ったのか総括し、次の闘いに備えることだ。
 もうひとつは、「会計年度任用職員」制度との闘いだ。会計年度任用職員は、国が制度化したが、各自治体が完全に実施せねばならぬ問題ではない。国と自治体は同じ権能を持つからだ。
 改憲攻撃と一体の自治体労働運動破壊と対決し、「特区連の史上最悪マイナス人勧見送り」の勝利の地平をさらに発展させ、闘っていこう!