国鉄1047名解雇撤回闘争の新たな闘いへ、2・10国鉄集会へ

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0346号04/01)(2019/01/01)

国鉄1047名解雇撤回闘争の新たな闘いに踏み出し、2・10国鉄集会へ!

(写真 9・10千葉県労働委員会闘争)

片峯 潤一(動労総連合書記・国鉄闘争全国運動事務局)

 動労総連合は10月22日、国鉄1047名解雇撤回に向けて新たな行政訴訟を提起し、47人の大弁護団を結成しました。それは、安倍政権による「働き方改革」と称する労働基本権破壊の攻撃と一体の労働委員会解体攻撃との闘いです。

国鉄改革法との闘い

 国鉄1047名解雇撤回闘争は、国鉄分割・民営化によるJR不採用=不当解雇をめぐって30年以上にわたり闘いぬかれてきました。それは戦後最大の労働運動解体攻撃との闘いでした。
 当時、国鉄職員が40万人いた状態から民営化・JR7社発足時までに、20万人が職場を追われ、200人が自殺に追い込まれました。24万人を擁した国労は4万人にまで切り崩され、強力な力を持っていた国鉄労働運動はわずか1~2年の間に崩されてしまいました。
 それを可能にしたのが、国鉄改革法でした。国鉄からJRに民営化されたといっても、走っている列車も駅もレールも同じです。しかし、国鉄改革法では「国鉄とJRはまったくの別法人」とされ、職員は承継しないと決めたのです。JR職員の採用にあたっては、国鉄職員をいったん全員解雇した上で、国鉄が作った採用候補者名簿からJRが新規採用するという方式がとられました。「新規採用だから誰を採用するかはJRの自由」「名簿を作ったのは国鉄で、JRは名簿に記載された全員を採用した。だから、仮に不当労働行為があってもJRに責任はない」。こういった形で、二重三重に不当労働行為の責任がJRには及ばない仕組みが作られたのです。
 それは今日の「解雇自由」「不当労働行為自由」の扉を開く意味を持っていました。実際、同じ手法が「国鉄方式」と呼ばれ、民営化や外注化を進める上で猛威をふるいました。それまでの常識を根本から覆して労働者の権利を解体する攻撃でした。労働組合として、絶対に許してはならない問題です。しかし、あらゆる勢力がこの攻撃の前に屈服し、労働運動は後退に次ぐ後退を強いられ、社会的な力関係がひっくり返されることになりました。現在の非正規職が蔓延する社会を生み出し、労働者の団結が破壊される出発点となったのが、国鉄分割・民営化攻撃でした。

暴かれた真実

 動労千葉は、この攻撃に唯一ストライキで立ち向かい、団結を守って闘いを継続しました。その30年以上にわたる闘いは、新たな真実を暴き出しました。動労千葉組合員を含め、本州で解雇になった労働者の名前はすべて、もともと採用候補者名簿に記載されていたというのです。
 〝名簿からの排除が決まったのは、名簿提出の数日前。そのために不採用基準を急遽つくった〟〝それを指示したのは葛西職員局次長(現JR東海名誉会長)だった〟
 2009年12月16日、国鉄職員局職員課補佐だった伊藤嘉道が東京地裁で行った証言は衝撃をもたらしました。
 それまで裁判では〈停職6か月以上または2回以上〉という不採用基準は明確だとされ、解雇が正当化されてきました。しかし、この証言をきっかけに不採用基準そのものが不当な組合差別=不当労働行為であると裁判所に認めさせる勝利を切り開きました(2015年6月30日の最高裁決定により確定)。
 さらに、真実は明らかになります。その基準の策定を指示したのがJR設立委員長であった斎藤英四郎だったのです。そして、87年2月12日の設立委員会第3回会合で正式に決定されていました。国鉄改革法23条では、「設立委員の行った行為は、JRの行為」と規定されています。つまり、不当労働行為である不採用基準の策定を命じた上に、その基準を正式に決定した責任は、JRにあるということです。
 動労総連合はこの新たな事実に基づき、JR東日本に対して解雇撤回と団体交渉開催を求めて4度の申し入れを行いました。しかし、JR東日本は「当事者ではない」などと団交を拒否し続け、労働委員会のあっせんさえも拒否したのです。
 JR東日本はこの不当労働行為の直接の当事者です。不採用=解雇とした基準そのものが不当労働行為である以上、解雇は無効であり、当該労働者は当然JR東日本に採用されるべきです。それをめぐる団体交渉さえ拒否することは、明白な不当労働行為です。
 このあまりに不当な対応に対して5月28日、JR東日本を相手取って国鉄1047名解雇撤回と団交開催を求める不当労働行為救済の申立てを千葉県労働委員会に行いました。

労働委員会の自殺行為

 JR東日本は、「使用者ではないから不当労働行為の責任はない。不当労働行為の申立てを却下しろ」と主張し、弁護士も出席せず完全にボイコットしました。JRを呼び出し、証人を呼んでの事実調べを行う。それは、労働委員会として当然行うべき役目です。
 ところが、村上典子公益委員・審査委員は、7月31日に行われた第1回調査で何の審査も行わないうちから、突然「最高裁判決に反する命令は出せない」と宣言しました。そして9月10日、わずか2回の調査で審問(事実調べ)も行わないまま、審査を打ち切ったのです。
 30年を超える解雇撤回の闘いでようやく真実をつかんだ者を、門前払いにする労働委員会への怒りが爆発しました。解雇者当該であり動労福島の小玉忠憲さんは、「俺たちは命懸けで闘ってきたんだ。ようやく真実をみつけた。話を聞かないのか。JRを出席させろ。証人調べを行え」と、怒りをたたきつけました。動労千葉の田中委員長は、「何のために労働委員会が設置されているのか。これは労働委員会の自殺行為だ」と弾劾しました。
 国鉄解雇をめぐる03年の最高裁判決は、「JRに責任なし」としました。しかし、その不当判決でさえ、「JR設立委員会が不当労働行為を行った場合は別」と明記されています。最高裁判決の前提を崩す新たな事実が明らかになっているのです。事実調べを行わずに、審査を行うことができるはずがありません。
 しかも、それは労働委員会規則にもない違法行為です。規則上、審査委員には審問(事実調べ)を終結させる権限はありますが、調査の段階で審査を終結させる権限はありません。調査の段階で審査を終結させる権限は、公益委員会議にしかないのです。
 そもそも労働委員会は、戦後、憲法28条の規定する労働基本権を擁護するために設けられた機関です。そのために政府や裁判所からも独立した行政機関として作られています。それにも関わらず、村上公益委員は、「最高裁判決で責任がないと確定した」というJRの形式的な主張に乗っかり、真実に向き合うことから逃げたのです。
 この暴挙に対し、ただちに忌避を申し立てましたが、千葉県労委(公益委員会議)は9月27日に申立てを却下しました。そこで、忌避申立却下決定の取消等を求める行政訴訟を提起したのです。

労働基本権解体ゆるすな

 今回の行政訴訟を提起したのは、この問題をあいまいにせず徹底的に闘う決意を固めたからです。その呼びかけに47人の弁護士の方が応えて下さり、大弁護団を結成することができました。それは、この闘いが単にJR内部の問題、動労千葉・動労総連合だけの問題ではないということを示しています。
 労働者の団結擁護のために不当労働行為を正すべき労働委員会が、事実調べも行わずに審査を打ち切る。労働委員会自身が労働委員会解体を行うという深刻な事態であり、憲法28条―労働基本権を解体する攻撃です。安倍政権が「働き方改革」と称して労働基本権を根本から解体する攻撃と一体です。そして、憲法9条に自衛隊を明記し、緊急事態条項を入れる改憲攻撃と一体です。
 国鉄闘争をめぐって労働委員会制度解体の攻撃がかけられていることは偶然ではありません。改憲情勢の中で労働運動をめぐる闘いが焦点を迎えています。
 「総評、社会党をつぶして新しい憲法を安置することが目的だった」。中曽根元首相は、国鉄分割・民営化の狙いをそう語っています。「二度と戦争をしてはならない」「改憲だけは許してはならない」。それは戦後労働運動の原点です。だからこそ、労働運動を解体し、労働運動に改憲を推進させること抜きに、改憲・戦争を成り立たせることはできません。国鉄分割・民営化との闘いは、改憲阻止の闘いであり、労働基本権解体・労働運動解体攻撃との闘いです。

改憲阻止闘争への挑戦

 安倍政権が「2020年新憲法施行」を宣言し、改憲に突き進む中だからこそ、国鉄分割・民営化をあいまいにすることはできません。国鉄闘争が先頭に立ち、改憲阻止の大運動をつくりたい。一昨年11月の労働者集会において呼びかけた「改憲・戦争阻止!大行進運動」への挑戦は、この時代に何をなさなければならないのかという動労千葉を先頭にした必死の格闘と思いからでした。
 それから1年。昨年11月4日に開催された11月労働者集会は多くの可能性を垣間見ることのできる集会になりました。神奈川で教育労働者を先頭にした新たな闘いが始まり、広島では改憲・戦争に反対する「教育労働者100人声明」の組織化が進められています。関西では、学力テストの点数による勤務評定、学校の民営化攻撃に反対してデモを闘いました。千葉では、沖縄の現実を伝えるプリントへの検閲に反対する集会を開催し、平和教育弾圧に対する反撃を開始しています。
 JRでも、CTS(千葉鉄道サービス)幕張事業所の職場代表選挙において動労千葉・関道利副委員長が勝利を獲得しています。CTSは千葉での主要な外注先のJR子会社です。幕張車両センターは、その中でも4分の1の社員が所属する最大職場です。そこで、完全な御用組合であるCTS労組委員長を相手に勝利することができました。管理職による露骨な選挙妨害、介入の中でしたが、3回に及んだ選挙はその度に現場労働者が自信を獲得していく過程になりました。外注先の労働者とともに外注化を阻止し、この時代に階級的労働運動を復権する展望を切り開いています。

2・10国鉄集会に結集を

 2月10日、「国鉄分割・民営化による不当解雇から32年―2・10集会」を開催します。新たに開始した労働委員会闘争・行政訴訟闘争(第1回行政訴訟は19年1月22日10時30分より千葉地裁601号法廷にて)の勝利に向けた闘いの出発点となる集会です。多くの皆様の結集をお願いいたします。
 現在、労働運動をめぐる決戦が訪れています。JR東日本では民営化と首切りに率先協力した御用組合までつぶし、労働組合を一掃する攻撃がかけられています。関西地区生コン支部に対しては執拗な弾圧が繰り返され、31名もの組合員が不当逮捕されました。これは、単に一企業、一組合の問題ではありません。改憲推進に執念を燃やし、闘う労働運動の根絶と連合の産業報国会化を策す安倍政権の政治的意図に貫かれたものです。そして、UAゼンセンを最大の先兵にして連合を公然たる改憲勢力にする攻撃がかけられています。
 一方、東京23区では月1~2万円の賃下げという〝過去最悪の人勧〟が行われました。日教組や自治労への最後的な解体攻撃が進められています。しかし、現場の怒りで特区連幹部も時間内29分職場大会という事実上のスト方針を下ろさざるを得ず、勧告実施を区長会当局に見送らせる大勝利をかちとりました。組合破壊攻撃への現場からの反撃も始まっています。
 この中で、すべての出発点である国鉄分割・民営化との闘いの意味は大きくなっています。私たちは国鉄1047名解雇撤回まで闘いぬきます。改めて、2・10集会への結集をお願いいたします。