産別・戦線の闘い第19回 自治体労働者の闘い 特区連人勧闘争と今後の展望

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0346号06/01)(2019/01/01)

産別・戦線の闘い 第19回
自治体労働者の闘い
特区連人勧闘争でつかんだこと、今後の展望

(写真 11・19特区連集会に1300人結集)

大谷 京子(全国労組交流センター自治体労働者部会 東京都北区職労執行委員)

 東京都北区役所で働く、北区職労の執行委員の大谷京子さんから、今秋の闘いと自治体の仕事、今後の課題について話していただきました。 (インタビュー 米山良江)

マイナス人勧との闘い

Q 秋闘で大幅賃下げを阻止しましたが、どう闘ったのですか。

A 先ず署名が二段階ありました。一つは人事委員会に抗議をする署名、これは初めてです。いつもは区長会長と自分の区の区長宛の署名をやるんですけれど、その前にひどい勧告を出した人事委員会に対する抗議署名をやりました。組合員の数よりもかなり多く集まりました。各区職労がかなり頑張ったということです。
 北区では委員長、書記長が管理職を個別に回って100人くらいいるうち70人くらいからとれました。出先とか都から来た人を除けばほぼ全員、断ったのは一人だけでした。それくらい怒りがあったのです。それだけ前代未聞の勧告でした。組合に入っていない人からもとれました。
 もう一つは区長会長、区長宛の署名です。これも普段よりうんと集まりました。署名の取り組みがいつもより大きく闘い取れたということがありますね。

Q 他にどんな取り組みをしましたか。

A 各ブロック集会、総決起集会とも参加人員が相当多かったです。北区の場合には、10月10日にわかってから妥結するまでの間に、14回の朝ビラを執行委員長を先頭にやりました。これも初めてのことでした。
 人事委員会の要請行動もかなり人数が集まり、現場の怒りを感じました。その時、特区連の委員長が「来年に活かすという言葉をいただきました」と言って、事前に打ち合わせしているんだということがわかってあ然としました。それに対して一人抗議をする女性がいました。そういうのも、初めてだったんじゃないかな。あきらめるんじゃなくて怒りをいろんな形で表したというのが大きかったなと思います。
 北区の場合、朝ビラの受け取りが良くなるのを、みんな見ているじゃないですか。受け入れているんだな、組合の闘いを一緒にやっているんだなと、そういうのがわかってくるんです。みんなの怒り、思いが動員や署名やいろんな形で表されたことが大きかったかなと思います。

Q 部会の仲間はどう闘いましたか。

A 交流センターの仲間は、それぞれみんないろんなことをやりました。特に江戸川、江東では特区連にちゃんと闘えという独自の署名を取りくんで、それがかなり集まりました。『月刊労働運動』12月号にも載っていて感動的でしたね。あれは凄い取り組みだったなあと思います。
 初めて自分の名前を入れたビラを出した仲間がいます。みんなで情報交換しながらやれたというのが非常に良かったと思います。交流センターのビラも意見を出し合って作って、それを各ブロック集会で撒いてもらいました。みんなよく読んでいたそうです。全体で団結して、この闘いに取り組んできて良かったと思います。

Q 今回の闘いの中で、大谷さんがつかんだことは何ですか。

A 組合員、労働者は怒りを持っているということです。しょうがないんだよ、みたいな感じは一見あるんだけれども、やっぱり心の中では怒りがあるから、それをちゃんと闘いにしていければ凄いことができる力を労働者は持っているんだなと思いました。今の人たちはあまり経験もないし、できないんだみたいに見るんじゃなくて、ちゃんと方針出せば「やるよ」「できるよ」という気がしましたね。

自治体の仕事とは

Q 自治体の仕事とはどんな仕事ですか。

A 私の最初の仕事は、学校事務でした。学校は当時、用務員さん、給食調理員さん、警備員さん、区の事務職員の私がいて、都費の事務がいました。私が入った頃は子どもの数も多かったので、21学級あると区費事務が入るんです。現業の人と一緒に学校分会が作られていました。
 ちょうど臨調行革の時で、警備の機械化と学童養護の廃止という攻撃が来ました。「職の廃止」ということを巡って、執行部と対立する状況になりました。私は20代だったけれど、とにかく職の廃止絶対反対、「転職は首切りだ」と言っていました。執行部は「そういうことを言われたら困る」と、事務部会の部会長だった私は、区役所に異動させられました。組合潰しだと言ったんだけれど、ダメでした。結局、その時執行部は絶対反対ができなかった。何故かというと時間内組合活動を認めないぞと当局に脅されていたからです。それに執行部は屈した。
 次の職場は福祉事務所。2カ所あった福祉事務所が一つに統合される攻撃がありました。その時は、福祉事務所に家庭奉仕員(ホームヘルパー)がいました。闘って正規職化を勝ち取った「公的ヘルパー」です。区当局は、福祉事務所を一緒にする理由を、(バブルでどんどん生活保護率が下がり)「これからは生活保護の時代じゃない、高齢者福祉の時代だ」とさかんに言ったのです。
 ところがその後、介護保険法が出てきました。話が出てきた時から絶対反対でしたが、導入されてしまいました。公的ヘルパーが積み上げてきたものは、一夜にして瓦解です。
 その後、国民健康保険課にいた2000年に、介護保険が実施されました。国保に上乗せして介護保険料も取る、区民と接する仕事です。その頃から雇用が悪化し、親の年金で生活している人を見ました。当時、貧困問題はそんなに言われてなかったけれど、区民と接しているから、大変なことになっているなと肌で感じていました。
 今は納税の仕事です。
 自治体の仕事というのは、生まれる前から死んだ後までの人間と接する仕事なので、労働者階級がどんなふうになっているかということが本当に良くわかるんです。

Q 仕事を通して、つかんだことは何ですか。

A 長く勤めているといろんな部署を経てくるから、窓口に来たいろんな人が抱えている問題の解決方法がわかってきます。こっちの面からも、こっちの面からもと。だから国保とか納税とか、お金取る仕事だと本当に「つなげる」ということが大事だと痛感します。
 例えば、課税する部署の仕事というのは本当にハードです。全住民の所得を把握する、膨大な量の仕事です。眼も良くないといけないし、すさまじい残業です。超勤単価は若い人の方が安いから、若い人ばっかりの職場になっています。すると現場から「中堅以上の職員も寄こしてくれ」という要求が出てきます。住民対応には、年配者も若者も必要なんです。老若男女、みんなで同じ仕事をやっているからうまくいく。管理監督じゃなくてみんな「ヒラ」でいいと思います。

Q 多忙化の原因は何ですか。

A とにかく国会で法律を作ると、仕事は全部、自治体に降りてくるのです。何故なら住民票をもっていて、所得を掴んでいるからです。許せないです。勝手なことを決めて、仕事を複雑化するんです。多忙化の原因はくだらない国会の法律です。「所得に応じて」だとか、誰がやるんだと言いたい。今、職場で怒りの対象はマイナンバーです。今すぐなくして欲しい。組合は労働条件のことをやるだけというスタンスだから、各政策について何も言えないというふうにされているけれど、そうじゃないだろうと言いたいです。マイナンバーはものすごいストレスです。ちょっとでもミスしたら大騒ぎですから。複雑化と、一件当たりの所要時間増で多忙化しているのが、自治体労働者の今の状況です。自治労として、なんで問題にしないのかと思うんだけれど。介護保険もそうだけれど、むしろそういうのを推進してしまっているのです。マイナンバーも民主党政権で実施したから反対できないとか、本当に悔しいです。

Q 職場の人員構成の実態を教えて下さい。

A 年齢構成の真ん中が窪んだような状態です。中堅が少ないので、経験者採用を今になってやっています。毎年100人前後の職員を入れて、血の入れ替え状態です。一方で、民間委託も上手くいっていない。委託は部分的にしかできないけど、仕事ってトータルで回しているから、一部を切り取っても意味がないのです。委託が安上がりということではなく、むしろ金がかかる場合もあります。でもやらざるを得ないのは、国の方針だからです。足立区で先行的にやられましたが破綻しました。
 北区の場合は、事務の正規を非正規に置き換えるということをやってはいないけれど、やっている区もあります。正規一人に非正規を二人つけるからっていうので組合がのんじゃって。だけどそういうのは絶対だめです。非正規が入ると、大変になるのです。非正規に委託した分を「管理する」仕事は正規が担う一方、正規のトータルなスキルが奪われます。仕事というのは分割してうまくいくものではありません。業務に対するスキルが奪われることは怖いなと思います。

新人事任用制度とは

Q 新人事任用制度は、どういう制度ですか。

A 一言で言うと、試験に受からないと給料が上がらない制度です。だから大学を出て採用されて5年で試験を受けられる。それを受けて上がらないとずっと1級の一番低い賃金表です。
 結局、仲間同士で競い合う「分断」攻撃。今回、筆記試験で受かったけれど、面接で落ちている人がいます。若い人にすれば、それもしょうがないという感じでしょうか。仕事の面からいっても、この制度がいいのかどうか、特区連執行部は検証したのか。職場の雰囲気がどうなっていくかが心配です。だから今回、全体重をかけて、賃金問題を取り組まなければだめだなと思いました。試験に受からないと上がらない。全員ではなく、3分の1しか上がらない。これは怖いよね。

Q 特区連執行部の見解はどういうものですか。

A 職務職階制について何の疑問も反対もないと思います。結局、「世の中そんなもんだ」ということでしかないのです。執行部は「皆が係長になれるように」と言っています。日経新聞を見ると、昨年妥結の新人事任用制度で組合は「皆が2級になろうね」と言ったけど、どこの区でも10%は1級に下がっていて、台東区ではそのうち8割が女性だったということです。「皆が係長になりましょう」なんて「はぁ?」ですよ。都や国ではおおむね3人に1人、34%くらいは退職時に係長だけれど、特別区は24%だということです。これを根拠に組合執行部が「係長になろう」と呼びかけている。

Q 自治体労働者部会の見解を教えて下さい。

A 部会としては、新人事任用制度について「ノーである」と打ち出すことになる。特区連はやらないから、そういう旗を立ててやっていく。こちらが持ち込めば絶対に疑問が噴き出てくると思う。

今後の展望

Q 今後の展望について話して下さい。

A 29分の早朝職場大会を巡っては、北区職労はやらないという方針が最初からあって、いろいろ言い訳をしていましたが、「昼休み集会だったらできるのでは? 次は検討しよう」というところまで行きました。今年凄かったのは、11月7日に定期大会があり、111人の定数で106人が参加したことです。声をかければ来る! 早朝ビラまきも一般組合員もやったりしている! ストライキだってできると思う。組合員には力があると思います。