★結成30周年 交流センターの組織を各産別、職場、地域に

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0347号02/01)(2019/02/01)

全国労組交流センターの組織を各産別、職場、地域に!
★結成30周年にあたって

 飯田 英貴(全国労組交流センター事務局長)

全国労組交流センターの組織を各産別、職場、地域に!

 全国労組交流センターは、1989年総評解散―連合結成という日本労働運動の歴史的転換を前にして、動労千葉の中野洋前委員長と元中立労連議長の佐藤芳夫さんの呼びかけで、「反連合・反全労連」「自力・自闘・連帯」の旗を掲げて闘いを開始しました。その原動力となったのは、国鉄分割・民営化に反対して闘われた動労千葉の2波のストライキと国鉄1047名解雇撤回闘争の開始です。
 私たちは結成にあたり、「真に階級的な労働運動の全国潮流の形成を目指す」と宣言しました。連合や全労連に代わる新しい労働運動の全国潮流の形成という点で、私たちの30年は動労千葉労働運動を基軸とした新自由主義に対抗する労働運動創造への挑戦であったと言えます。
 新自由主義政策は、1974年~75年の世界恐慌を転機とし、それまで労働者を保護してきたあらゆる規制が撤廃され、国家と資本が生き残るためには何を犠牲にしても良いというあり方へ暴力的転換が行われました。その新自由主義の最大の障害となったのが労働組合の抵抗です。それゆえ、新自由主義の導入のために、国家的な労働組合破壊が行われました。日本においては、国鉄分割・民営化がその象徴的な攻撃となりました。後に中曽根は「国鉄労働組合をつぶし、総評、社会党をつぶしてお座敷をきれいにし、床の間に新憲法を安置するために分割・民営化をやった」とその意図を語りました。この国家権力の総力を挙げた戦後最大の労働組合破壊に対し、労働組合としての存在をかけて真っ向からストライキで闘い抜いたのは動労千葉だけでした。

■動労千葉の反合理化・運転保安闘争

 動労千葉は「労働組合はいざというときに力を発揮する存在でなければならない」として、常に職場で団結と闘いを組織することに力を注いできた組合です。
 特に合理化との闘いを資本との最も本質的な闘争と据えました。1972年船橋事故闘争の中で生み出された反合理化・運転保安闘争は、現場労働者が闘いを通して揺るぎない団結を作りだす具体的で実践的な路線として確立されたのです。
 動労千葉は、事故との闘いを労働組合の最大の闘いと位置づけ、合理化との闘いに立ち上がりました。科学技術や機械は万能だとして合理化を進める資本の側に対し、労働者の側が現場の経験や判断力をもとに「安全は労働者の闘いによってしか守れない」と具体的闘いを展開し、資本との力関係を逆転させてきたのです。それまで受動的にしか対応できなかった反合理化闘争を攻撃的なものへと転換させました。
 また、合理化との闘いを、その結果ではなく団結の強化で総括し、たとえ強行されたとしても、そこで生み出される矛盾を突いて闘うことで「合理化絶対反対」の闘いを継続した職場闘争として展開してきたのです。
 さらに、動労千葉の反合理化闘争は、「労働組合の団結とは何か」という問題を明らかにしています。
 労働組合の闘いによって、事故を起こした組合員を守り抜いたという経験は、執行部と現場組合員との間に揺るぎない信頼と団結を作り出しました。労働者の権利と命を守るために、資本と非和解で闘い抜いた組合に対する組合員の信頼は高まり、それまで日本の労働運動の中にあった「激しい闘争をすれば組織は分裂する」という「悪しき神話」を打ち砕くものとなったのです。
 しかし、実際に労働者の団結を作り出すためには、職場で一人ひとりに、問題を逃げずに率直に話し、相手の話を聞き、時には自分の目で見て判断してもらう、そういう日常活動の積み重ねが求められています。動労千葉の実践は、組合員を絶対的に信頼するが、団結は自然に生まれるのではなく、つくるものであることを示しています。
 そして「安全を守る闘いは鉄道労働者の最大の使命である」という思想と闘いは、組合員だけの利害を守るという狭い殻を打ち破り、自らの労働の誇りや責任を生みだし、組合の団結は闘うごとに強化されたのです。
 反合理化・運転保安闘争は、ジェット燃料貨車輸送阻止の闘いとして三里塚農民との強固な連帯をつくりだし、戦争協力拒否や改憲阻止、国際連帯の闘いに組合全体で取り組む力を生み出しています。さらにこの闘いは3・11福島原発事故に際して、動労水戸の被曝労働拒否闘争を生み出す土台となり、反原発闘争の展望を切り開くものとなりました。
 結成30年にあたって、今一度、動労千葉の反合理化・運転保安闘争から学ぶことは重要です。

(写真 2018年2月全国労組交流センター総会)

■闘いの本格的発展はこれから

 19年は、「改憲発議阻止」が労働運動の最大の攻防になる重大な一年です。この時、連合はかつての産業報国会のような変質を深め、国鉄分割・民営化に協力してきたJR総連は権力と会社から見限られた途端になすすべなく分裂と崩壊を開始しました。しかし、国家権力や資本の奴隷となってきた運動と組織が崩れ始めた現場の中から、労働者が新たに立ちあがり始めています。全国労組交流センターの組織拡大に向けての闘いはいよいよこれからです。
 とりわけ、改憲・戦争阻止の闘いは労働組合をめぐる決戦です。ストライキを背景にした労働者の生活と権利を守る闘いが、「恐喝未遂」や「強要未遂」とされ、40人もの組合員が不当逮捕された連帯労組関西地区生コン支部への弾圧、首相官邸の意を受けてJR東日本が労働組合の解体に乗り出し、「労働組合なき会社」を実現しようとしていること、こうした動きが自治労と日教組の解体へと向かい、連合の再編に向かって今一度動き出していることを改めて真正面から据える必要があります。
 また、労働組合破壊と一体で、大幅賃下げ、総非正規職化、解雇自由に向かった「働き方改革」が職場生産点において全面的に仕掛けられようとしています。
 その攻防の焦点がJRです。JR東日本は「生産性向上と柔軟な働き方」を掲げ、乗務員勤務制度解体を3月ダイヤ改正から全面的に開始しようとしています。支社課員や内勤、指導員にハンドルを握らせて、乗務員という概念そのものを解体し、将来的には運転士も車掌もなくして、乗務員を「輸送サービススタッフ」という保安要員の位置づけにしようというのです。 年末年始には山手線で「無人運転」に向けた試験も開始されました。同時に、職場では極限的な労働強化と人員削減が始まろうとしています。
 さらに、国鉄1047名解雇撤回闘争をめぐっては、不当解雇の責任が直接JRに及ぶ新事実が暴かれたにもかかわらず、千葉県労働委員会がわずか2回の調査で事実調べも行わずに打ち切りを強行しました。労働委員会は労働者の団結権を擁護するために政府や裁判所からも独立した行政機関です。しかし、その労働委員会が「最高裁判決以上の決定は出せない」としたことは、安倍の「働き方改革」攻撃そのものであり、労働委員会制度の解体、労働者の団結権の破壊です。1月22日から始まった行政訴訟には50人にもなる弁護士が名を連ね、労働基本権の破壊を許さない大裁判闘争となりました。
 また、日本郵政や大手物流会社・日通などで、「同一労働同一賃金」導入の検討が労使で始まっています。「条件や能力が違えば格差は当然」として、年功序列型賃金、定期昇給を廃止し、評価制度の全面的な導入と格差の固定に道が開かれようとしています。個々人をバラバラにして、集団的な労使関係の解体=労働組合の解体を狙う攻撃を労働組合の側が積極的に推進しようとしています。
 自治体では、安倍政権は国家公務員法や給与法の改正案など関連法案を年内にも提出することを狙っています。そこでは国家公務員の定年を60歳から65歳に延長するために、60歳以上の給与水準を7割程度で良いとする大幅賃下げが狙われています。あわせて2020年4月から導入されようとしている会計年度任用職員制度は、現行の臨時・非常勤職員制度を根本から変え、「毎年解雇、人事評価による選別採用、試用期間が毎年1カ月」の制度を新設し、労組解体、民営化と総非正規職化に向かう重大な攻撃です。
 これらは、昨年総務省が発表した「自治体戦略2040構想研究会報告」の実施と一体です。「2040報告」では「少子化による急激な人口減少と高齢化という未曽有の危機」を口実に、「AIを活用し、半分の職員で事務を処理する」ことが提言され、自治体における大量首切りが狙われているのです。
 さらに自治体や学校を焦点に、社会の全面的な崩壊を引き起こすような民営化攻撃との対決も19年の課題です。
 昨年の臨時国会では、水道の民営化に大きく道を開く水道法の改悪が強行されました。教育の民営化をめぐっては、大阪市で4月から中高一貫校で初めて公設民営学校が開設されようとしています。こうした攻撃すべてに自治労、日教組つぶしが貫かれています。
 しかし、自治体現場ではすでに職員は大幅に減らされ、慢性的な人手不足で長時間労働が常態化しています。正規も非正規も極限的な労働強化と労働の誇りを奪うような民営化・外注化の強行に、怒りは限界を超えています。
 「働き方改革」が職場に貫徹されることに現場の労働者が黙っているはずはありません。昨年末に「史上最悪の大幅賃下げ」を狙った人事委員会勧告をはね返した東京23区(特区連)の闘いは、そのことを示してくれました。民営化が強行され、攻撃が貫徹されたかに見える職場から、労働組合の反撃が新たに始まっています。現場の怒りと結びつくなら、労働組合を甦らせることは必ずできます。 
 また、教育の崩壊した現実の中からこそアメリカの教育労働者は闘う労働組合を組織して全米を揺るがす、「教育戦争」とよばれる大ストライキに立ち上がりました。労働者の命、子どもたちの未来を守るために、労働組合を軸とした民営化絶対反対の地域からの総反撃を組織するのはこれからです。日本でも必ず闘いが始まります。
 今年の春闘は決定的です。労働者の団結した行動だけが戦争を止め、命と生活を守る力であることを示す闘いをあらゆる職場・地域から作り出しましょう。そのためにも再度、1047名解雇撤回を軸とした国鉄分割・民営化反対の30年の闘いを大きく位置づけ発展させることが重要です。

■交流センターの組織を各産別、職場、地域に

 新自由主義は、一握りの巨大独占資本の延命のために雇用破壊と極限的な非正規職化を推し進め、教育を、医療・福祉を、地方を崩壊させて暴れ回り、労働者民衆の生きる基盤そのものを奪い尽くそうとしています。 しかしそのことは、資本主義体制が一社会として成り立たないところまで崩壊し、その中から労働者が社会を根底から変革する闘いに立ち上がる条件を圧倒的に成熟させています。
 こうした時代の重大な転換の局面にあたって、今一度、私たち全国労組交流センターの組織的基本路線について明確にさせたいと思います。
 私たちは、「真に階級的な労働運動の全国潮流の形成」の立場で、連合傘下の労働者、6千万人の労働者階級をかたくなに信頼して必ずつかむことを組織の基本路線として据え、連合や全労連の支配の中から立ち上がろうとする広範な労働者とつながり、連合支配を現場から揺るがす闘いを展開してきました。今こそその真価が問われています。連合、全労連の支配を食い破る全国労組交流センターの組織を各産別、職場、地域にどれだけ物質力を持って作り出せるかに勝負がかかっています。
 また、新自由主義の破綻がもたらす社会全体の崩壊の現実に対する怒りがいたるところで噴出し始めています。この現実に対し、鉄道、自治体、学校、病院、郵政など、職場で断固として闘う力があれば、地域と一体となって大反乱を組織することは可能です。
 19年は各産別運動、拠点建設に徹底的にこだわり、具体的な路線と方針を作り出していくことが重要です。
 問われているのは私たち自身です。30年の闘いに確信を持ち、2019年、さらなる飛躍に向かって新たな一歩を踏み出しましょう。

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全国労働組合交流センターとは

 国鉄分割・民営化攻撃で総評が解散し連合が結成された。これに抗して1989年2月、動労千葉の中野洋委員長と全造船石川島分会の佐藤芳夫さんが呼びかけて結成された。「自力・自闘・連帯」を原則に、「連合」に反対し、「全労連」に反対する真に階級的で戦闘的な、本物の労働運動をつくりだすことを目的に、その一歩として、全国で闘っている労働組合、職場のグループ、個人の交流と連帯を深め、たたかう統一戦線をめざす。国鉄闘争を軸に、労働者の生活と権利を守るために職場闘争を強化し、労働者の団結と実力闘争をつくりだすために闘う。同時に、反戦・反基地、反安保、反原発、三里塚闘争、社会的差別と闘う。国鉄・郵政・教労・自治体、医療・福祉、合同一般などの部会がある。各地方・各地区に組織がある。