闘う合同一般労組 動労千葉に続く労働組合を目指し11年闘ってきた

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0347号16/01)(2019/02/01)

闘う合同一般労組
動労千葉に続く労働組合を無数に作ることを目指して11年闘ってきた

白井 徹哉(ちば合同労組書記長)

 ちば合同労組は結成から11年を超えました。小さくとも動労千葉のような労働組合を地域に無数につくることを目指して闘ってきました。
 何よりも職場に分会(労働組合)をつくることを基本方針として闘っています。とはいえ、これは容易なことではありません。

●組合の土台となったM分会

 組合最初の分会であるM分会は、偽装請負の職場において非正規雇用の青年労働者が労働組合をつくって闘うことができることを示しました。喜怒哀楽、言葉にできない苦労や組合員同士や職場の仲間との衝突を恐れず、闘いを共にする中で労働組合をつくることの展望を示したと思います。
 M分会は、請負会社ごと切り捨てる卑劣で強権的な攻撃に対してストライキをはじめあらゆる闘いを展開し、新たな組合員の結集など感動的な闘いを展開しました。M分会としての闘い自体については勝利的に総括して一旦は集約し、分会員も新たな道を踏み出しました。M分会の闘いがあってこそ、今のちば合同労組があると断言できる分会でした。闘いの歴史としてだけではなく、M分会を担った組合員の存在は、現在進行形で組合の団結の土台となっています。

●職場に労働組合をつくる

 〈職場に労働組合をつくる〉挑戦は、M分会の闘いを共に担った青年部を先頭に組合全体の挑戦として引き継がれました。職場分会を一つでも二つでも結成して、労働者の団結や職場支配権をめぐる日常的な資本・経営との攻防にかちぬく経験と教訓、指導力を蓄積することを何よりも組合の指針としてきました。
 20代から70代まで老若男女の組合員が悩み抜いて職場の仲間に声をかけ、勇気を出して小さな闘争に踏みだしています。小さな勝利を教訓化・共有化しながら闘うことができるかが課題です。「合同労組」なので、やはりいろいろな職場に大中小の労働組合をつくって、地域的に合同し団結して闘う労働組合として闘っていきたいと考えています。
 「労働者が団結して闘うことが事態を転換させる。団結して闘うことが労働者の現実を変える」―このことを一人でも多くの労働者に示せる存在になりたいと思います。困難に直面し、あるいは状況を変化させるために闘いを選択しようとする労働者に、自分と同じような労働者が団結して闘った歴史とその物語があることを伝え、何よりもこの瞬間に共に闘う仲間がいることを示す労働組合になりたいと思います。それだけの実体・実態を持つ組合だと言えるようになりたいものです。
 職場に労働組合をつくり、なおかつ、その団結と組織を維持することは並大抵ではありません。職場での攻撃や労働者の分断に立ち向かい続けることは生易しいことではありません。あらゆる事情により、組合活動を続ける困難はたくさんあります。組合内の対立や裏切りだってないわけではありません。力が及ばないこともあります。
 しかし、これに立ち向かい続けて、労働者が団結を維持して闘い続けることの中に、職場を変革し、労働者の雇用や賃金、権利を守り、何より労働者の誇りを取り戻す道があるはずです。「あらゆる職場に労働組合を! 一人の百歩より百人の一歩!」。このスローガンにこだわり、職場全体を対象に闘いを呼びかけていきたいと思います。

●介護職場の分会での闘い

 介護職場で結成した分会での闘いは、介護業界の深刻な人手不足がもたらす過酷な勤務シフトの矛盾に対して、夜勤規制や有休取得を訴えた分会に対する同僚の怒りさえ生じさせるほど困難なものです。それでも分会は、こうした困難を前にして一睡もできないまま夜勤にいくような悪戦苦闘の中で、数年を超える分会活動を維持し、支持を集め、新たな闘いへ踏み出しています。
 介護業界では、数年後に千葉県は全国ワーストワンの要員不足の県となります。要員不足は耐えがたい過酷な労働条件をもたらすものですが、同時に、労働者が団結して闘うことで状況を変える道を開くとも言えるはずです。

●地域合同労組の有効性

 この数年、製造業・物流・運輸・サービス業・介護・学校……様々な産別・職種からの労働相談があり、様々な闘いを展開してきました。その大半の職場には労働組合がなく、あるいはあっても個別の問題は取り上げない状況の中で、地域合同労組の有効性が発揮されました。
 闘いの一定の成果の上に、さらに職場の普遍的な課題を取り上げ、他の労働者の加入を呼びかける挑戦も始まっています。

●労働者が団結して闘うことに希望と展望があると示す

 1980年代の国鉄分割・民営化や総評解散、連合結成から30年、残念ながら労働組合の存在が労働者の日常生活から遠ざかる状況が続いています。こうしたことは、労働運動の困難さと同時に、また労働運動の新しい可能性の両方をつくりだしています。
 政府や資本は、新自由主義政策を破滅的・破局的に推し進め、「働き方改革」と称して、労働者の雇用や賃金、労働条件や権利を解体し、過労死や失業、貧困をすべて自己責任とする社会を推進しようとしています。
 労働者をめぐる状況は困難も多く、団結して闘う困難さを突破することはけっして容易ではありませんが、労働者の中に怒りや危機感、闘う意欲はあります。小さな経験とはいえ、その可能性を示す闘いは、私たちの周りでも始まっています。
 労働者が団結して闘うことに希望と展望があることを示すこと、働く者こそが社会の主人公であり、社会を変革する力を持つことを示す労働運動をつくりだすこと、何よりもこれをちば合同労組の課題・方針としたいと思います。 闘いには敗北や後退もあります。しかし全体として闘いと組織化が前進していくような闘い方と総括が必要です。

●非正規労働者の団結の場

 2018年4月の「無期転換5年問題」や9月の「派遣3年問題」など、非正規雇用をめぐる矛盾は拡大しています。無期転換を回避するための雇い止めや非正規公務員の問題など、非正規雇用化の攻撃は加速し、矛盾は拡大しています。非正規労働者の団結の場として合同労組が飛躍しなければなりません。地域における反撃力・対応力を見えるようにしていく必要があります。
 千葉でも「改憲・戦争阻止!大行進」運動が始まりました。12月16日には、教育労働者を先頭に集会が成功しました。戦争や改憲に反対するのは労働組合として当然の任務であると同時に、労働運動の組織化の前進につながる運動方針・組織方針を考えていきたいと思います。