無人運転は破綻した 「運転士・車掌廃止」提案を撤回しろ

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0352号03/01)(2019/07/01)

無人運転は破綻した!「運転士・車掌廃止」提案を撤回しろ!

横浜シーサイドライン―逆走で14名重軽症

無人運転は破綻した!「運転士・車掌廃止」提案を撤回しろ!

 6月1日、横浜シーサイドラインの無人運転列車が新杉田駅での折り返し時に約24㍍逆走し、車止めに衝突する事故が発生した。乗客約50人のうち重傷6人など14人が負傷している。
 直接の原因はケーブル断線だと考えられている。モーター制御装置に指令を伝える2本のケーブル(F線・R線)のうち、「前進」を指示するケーブル(F線)の断線が確認された。
 他事業者の自動運転列車では「前進」「後進」のどちらの指示もない場合、力行しない設定になっている。だが、シーサイドラインでは直前の状態を維持する設定で、「前進」の指令がないためモーター制御は「後進」のままだった。
 駅ATO車上装置には地上装置からエンド交換の指示が伝わった。断線している以上、何があっても車両異常の信号が上がるべきだが異常は認識されず、車両は地上側に「前進」への進行方向切換を報告した。地上側は車両から異常の情報があがらないため出発指令を送信した。
 ATCは後退検知を搭載していたが、進行方向の検知にF線・R線を利用している。事故時はどちらの線からも指令がなかったため進行方向が判別できず「後退」を検知できなかった。そして、車止めに向かって力行最大ノッチで加速しながら衝突するという衝撃的な事故が引き起こされた。

 ジョブローテーションの前提は完全なウソだった
 ケーブルが断線していながらATOが「正常」と認識し、車止めに向かって力行する。モーター制御とATOが統一されてさえいない。まともに安全を維持できるシステムではなかったとしか言いようがない。だが、JR東・深澤社長はシーサイドライン事故を受けた定例記者会見で「ドライバレス運転は引き続き進める」と宣言した。事故原因が判明もしていないうちからだ。
 事故の対策として、断線検知やモーター制御装置の変更などが挙げられている。だが、この事故は自動運転でなければ絶対に発生しなかった事故だ。運転士なら仮に逆走してもただちに非常停止をかけたはずだ。約7秒間も力行し続けるなど考えられない。「自動運転推進」について根本から考え直すことこそが必要なのだ。
 われわれは多くの乗客の命を預かっている。そうである以上、「自動運転は欠陥を起こす」「保安装置が作動しない場合もある」という前提に立つ以外にない。その時、安全を守れるのは運転士であり車掌だけなのだ。
 だが、なぜこんな不完全な状態で運行され続けたのか? シーサイドラインが採用する「新交通システム」は導入コストが安いことが特徴だ。合理化は資本の論理で行われる以上、自動運転には削減できる人件費以上にコストはかけられないのだ。その矛盾はケーブル断線にも直接かかわっている。断線部分は外部から見えない箇所であり、目視による確認は4年に1度。運行会社は「多数の配線すべてを確認することは困難」だとしている。より徹底した検査とそのための人員が必要だったということだ。
 JR東が自動運転試験を行った山手線でも、現在の自動運転路線よりはるかに複雑だ。さらに、1日当たり百万人単位という膨大な乗客がいる。同様の事故が起きれば大惨事は免れない。運行停止や間引き運転だけでも大混乱に陥ることは明らかだ。ローカル線にいたっては、コスト上も路線条件からいっても完全に不可能だ。
 ジョブローテーション提案は、「自動運転もできるのだから運転士・車掌という特別な職名や手当は必要ない」という前提に立っている。だが、その前提は完全にウソだった。JRは「運転士・車掌廃止」提案を今すぐ撤回しろ! (日刊動労千葉№8642より抜粋)