教育労働者国際連帯の大きな一歩 訪韓闘争

2019年12月24日

月刊『労働運動』34頁(0357号04/01)(2019/12/01)

教育労働者国際連帯の大きな一歩を踏み出した!訪韓闘争

(写真 11・9労働者大会に参加した日本の訪韓団)

品川 孝司(三浦半島教育労働者部会)

11月9日韓国・ソウルに120人の動労千葉訪韓団が登場した。今年の民主労総による「チョンテイル烈士精神継承全国労働者大会」は1970年11月チョンテイルが自らの体に火を放ってから49年。労働者階級の解放に命を賭けたチョンテイルの精神を継承することを誓って100万人のチョンテイルの誕生を宣言した。「私がチョンテイルだ」の宣言が次々会場を満たし、参加した10万人の労働者は労働法の大改悪を狙うムンジェインと国会を包囲した。
国会前の警察車両による「車壁」と警官隊の阻止線に、最前線で対峙したのは、今年結成したという障害者団体の車椅子軍団だ。続いて、サウンド・トラックを先頭に鉄道労組が対峙し、左右から公務員労組など労働者隊列が警官隊を圧倒し、警官をごぼう抜きにし、次々に警官を脱落させ阻止線を分断した。これこそ労働者の団結の力だ。
集会は国会前のヨイド公園横の道路を埋め尽くし、民主労総キムミョンファン執行委員長は「弾力勤労制改悪と労組法改悪」によって2千万労働者の労働基本権を踏みにじる攻撃に対してゼネストで反撃することを宣言した。
ムンジェイン政権は「非正規職を正規職化する」と言っているが、正体は外注化・子会社化と「名ばかり正規職」であり、「弾力勤労制(変形労働時間制)」の改悪だ。
そして、全国教職員労働組合(全教組)への悪質な労組破壊攻撃だ。全教組は、2013年に解雇者を組合から排除しろというパククネの要求を拒否したために、労働組合として合法的権利をすべて奪われて「法外労組」を強制されている。大邱支部の例では、パククネが専従休職を禁止する不当労働行為に対する闘争を理由に組合員を解雇したことが、そもそものことの始まりであり、明らかな全教組解体攻撃だ。
ムンジェインは全教組の「法外労組」取り消しを公約としていたにも関わらず、今も状況は同じだ。全教組は法外労組即時撤回と解雇者の原職復帰を求めてソウル雇用労働庁での占拠・座り込み闘争に突入したが、政府は面談要求にも一切応じず、警察を投入し18人を連行した。

◆全教組大邱支部と交流

その全教組大邱支部の仲間と交流会が実現した。8月広島集会に参加した、中学校国語教員のキム・ソンヒョンさん、高校国語教員のチョン・ソンミさんをはじめ、中学英語イ・チューヤンさん、高校国語パク・スヨンさん、2015年から18年にかけて大邱支部長をされていたソン・ホマンさんらが参加してくれて、日本側は、広島、東京、大阪、神奈川の教育労働者と交流が実現した。
ソン・ホマンさんは今夏星野文昭さんの絵画展大邱開催に力を貸してくれた方で、パククネによる専従禁止反対闘争による解雇者であり、復職闘争委員会の委員長だ。
1970年代パクチョンヒ時代には日本の報道を見て、自分たちの闘いについて知ることができたほど厳しい弾圧と分断体制の中での闘いだったと語っていた。
そして、2002年から大邱支部と広島県教組は「新しい歴史教育」問題で交流を始め、共同で授業交換など行い歴史教育教材を作成し、今でも広島平和教育研究所に在庫はある。
交流といっても、はじめは歴史認識のギャップが大きく、それを埋めることが大変だった。伊藤博文を「悪」と言えば、日本では「良い」評価がされている。安重根は日本では「テロリスト」、韓国では「英雄」などについても多くの対話を通して日本が侵略者だと共通理解をもてた。
教員の勤務状況について、大邱の中学英語教員イ・チューヤンさんからは、時間外手当はあるが、ほとんど時間外勤務をしていないという衝撃的な話を聴いた。彼女は、学校研究のコーディネータをやっているので週15時間と持ち時間数は少ないが、通常は20時間程度。多くの教員は勤務時間で帰宅する。日本のような部活動はない。体育の授業とは別に、週2時間スポーツをする時間はある。ただ、「テコンドウ」や「乗馬」のように特定の種目が伝統的に強い学校はある。そうした種目の指導は選任のコーチがやり、教員の仕事ではない。地域によって違いがあるが、休みは一日も出勤しない。
高校の英語、数学などの教科では夏休みに受験向けの補修をやり1週間程度しか休めない。ただ、そのときには手当が支給される。こうした勤務条件を勝ち取っているのは大邱支部の団結の力だ。日本の教員の勤務こそ異常だ。
全教組が「法外労組」攻撃を受けたときに、組合員は減少したが、7割は残った。「民族教育」を実践し抜くという誇りと決意が裏付けになっているという。「民族教育」は日本で考えるものとは違い、抑圧された中で民族的自立をかけて闘い続けた抵抗の歴史のことだろう。
「安倍NO!」「安倍打倒!」が日韓教育労働者を結びつけ、最後には、日本の戦争責任と戦後の排外主義・再侵略攻撃を総括することを誓った。
韓国の教育労働者の勤務条件など具体的なことはまだまだわからないことが多い。こうした交流を通して、課題はより一層共有できるはずだと感じた。今回の交流を出発点として全教組から学び、連帯し日本の教育労働運動を復権させる力にしよう。改憲阻止!の先頭に教育労働者が立とう。

◆新たな闘いへの出発点

私たちの訪韓と労働者大会への参加は、安倍政権の8時間労働制以前まで労働法を解体し、改憲に絶望的に突っ走る攻撃に対して闘う鮮明な出発点となった。民主労総は11月30日にはソウル光化門広場で、ろうそく革命の完遂に向けた全民衆総決起大会を開くことを呼びかけている。ともに連帯して闘おう。

教労

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