国境を越え歌でも盛り上がった国際連帯集会

月刊『労働運動』34頁(0357号03/01)(2019/12/01)

国境を越えて歌でも盛り上がった国際連帯集会

11・2国際連帯集会の感想 田沼 雄一(国際的兼業ミュージシャン)

11・3全国労働者総決起集会の前日の11月2日、千葉市市民会館において、海外からの訪日団を迎えて、国際連帯集会が開かれた。
動労千葉国際連帯委員会が中心となって取り組み、毎年恒例となったこの集会に、今年はおなじみの韓国・民主労総ソウル地域本部の代表団21人、同じく韓国の大邱の仲間3人、ドイツの機関士労組ベルリン都市鉄道支部組合員など11人、台湾の鉄道産業労組と客室乗務員職業労組の組合員、在日・滞日外国人労働者などが参加し、日本の労働者と固く手を結び、職場の安全を守り、新自由主義攻撃と闘う絆を固めあった。
集会では、韓国から興国生命解雇者復職闘争委員会委員長のイヒョンチョルさん、ソウル交通公社労組のキムボムスさん、ドイツから機関士労組組合員、台湾から初来日した鉄道産業労組の徐仲能(シィーチョンノン)さんと桃園市空服員職業労組のの李怡静(リイチン)さん、在日の闘う労働者などから闘いの報告が語られた。
香港職工連盟事務局長からのビデオメッセージが映し出され、中国による暴力的な弾圧に屈することなく闘う香港の決意を参加者一同で共有した。
日本からは、全国金属機械労組港合同の木下浩平執行委員、動労千葉の関道利委員長、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の西山直洋執行委員、星野全国再審連絡会議の星野暁子さん、関西合同労組阪神支部長のホヨンホさん、広島連帯ユニオンのチョンイサさんが登壇して発言した。通訳の方々の本領も遺憾なく発揮されて熱いメッセージが行き交った。とりわけ関西生コン支部の西山さんの「労組つぶしの激しい弾圧と闘って必ず勝利する」という発言には大きな拍手が送られた。
労働者は国境や言語の違いものりこえて一つになれることを、誰もが実感した。
また、東京入管によって収容されている外国人組合員の家族の即時釈放を求めるさいたまユニオンの仲間を中心とした抗議行動のビデオが上映され、安倍政権のもとでの外国人労働者に対する搾取と収奪、入管当局による暴力的で非人間的な収容・拘束・虐待を許さず、国際連帯の名にかけて自由と生存の権利をかちとることが、最重要の闘争課題として浮かび上がった。

(写真 11・2国際連帯集会には250人が参加)

労働歌・闘争歌で盛り上がった

この集会において私は今回も「歌の時間」をまかされた。それぞれの国・地域に必ず存在する労働歌・闘争歌を、私のつたないギターと歌唱で再現した。
歌に込められた闘いの意気込みや決意、積み重なった知恵と経験などは、共にこぶしを振り、あるいは腕を組み、実際に声に出して歌うことで、それぞれの心に響き合う。
だからこうして文章で説明するのも野暮な話ではあるのだが、私なりに努力して選曲し練習し習得し実演したことで、参加者のみなさんから熱い拍手と声援を頂けたことは、心から嬉しい。今回はそれらの歌について、以下に紹介させていただく。
最初に香港の闘争の中で作られた「香港に栄光あれ」を歌った。広東語の歌詞には苦労させられた。
続いてメドレーに突入。冒頭は、新自由主義との民衆の闘いが爆発するチリの闘争歌「不屈の民」。続いて、動労千葉の組合歌「俺たちは鉄路に生きる」。さらに韓国の「鉄の労働者」に入ると、民主労総の人たちがこぶしを握り、力強く唱和してくれる。
次に中国語の「歴史的傷口」。6・4天安門事件で倒れた人々に思いを寄せる曲である。さらにトルコのメーデー歌へ。トルコの曲は西欧音楽とは一線を画す独特のメロディーとリズムを備えている。エルドアン政権のもとで苦闘しつつ前進しているトルコの同志たちを思う。
さらに「ベルリンの労働者」「統一戦線の歌」とドイツ語の2曲を続けた。前者は「ウィーンの労働者」の替え歌。後者は今回新たに仕込んだドイツの革命歌である。ヒトラー政権の下で活動禁止された社民党と共産党の統一戦線を目指すものとして1934年に作られた歴史的な歌だが、今日までドイツ労働者階級の間で歌われている。
続けて英語の「ソリダリティフォーエバー」。アメリカの労働運動の中では不可欠のレイバーソングだが、通常のフォークソングではなく、ファンクビートにアレンジして聴衆のみなさんを煙に巻いた。この中で「義理・人情」という日本のキラーコンセプトを強調したわけだが、海外の賓客にどこまで通じたかは定かでない。
そして、三池闘争の中から生まれてきたおなじみの「がんばろう」でフィニッシュ―と見せかけて、本当の最後は韓国の「ストライキ闘争歌」。シャッフルのリズムが共通するので、エンディングで2曲をつなげるのがこの間の定番になっている。
ということで今年も14曲を6言語でやった。こう言うと「6カ国語もしゃべれるのですか」と聞かれることがあるが、実は全然しゃべれない。あくまでそれっぽく発音を真似ているだけなのでお恥ずかしい限りだが、それでも世界の労働歌をこれだけまとめて実演できるのは、おそらく広い世界で私一人でしょう。しかし、台湾の労働歌を事前に仕込めなかったことは残念だった。来年は必ず台湾の労働歌を披露したい。
などと調子に乗って鬼が笑いそうなことまで書いたが、私の本当の願いは、若手のミュージシャンが「田沼はもう休んでろ」と次々と現れてくることだ。多くの若い人々に音楽の素晴らしさに気づいてほしい。「音楽で世界を変える」ことは難しいが、音楽は世界を変える一助にはなりうる。
チリの伝説のプロテスト・シンガー、ヴィクトル・ハラーは、反革命ピノチェト政権の血に飢えた軍隊によって虐殺されたが、連行され凄惨な暴行を受けてもなお革命歌を歌い民衆を鼓舞することをやめなかった。ハラーの歌は今この時もチリの民衆の間で歌われている。