関生弾圧「京都3事件」で無罪判決かちとる
2月26日、京都地裁前には関生支部組合員、全国からの支援者300名、韓国オプティカルハイテク労組の仲間が駆けつけて公判前の集会が行われました。全国労組交流センターも、動労千葉をはじめ、東京、埼玉、関西など各地の労組交流センターの仲間とともに公判闘争に参加しました。経営側(大阪生コン広域協組)も約250名が動員されていました。
「京都3事件」とは、①ベストライナー事件(2014年からの生コン輸送会社の解散争議で、労働組合が経営者団体である京都生コン協同組合に1億5千万円の解決金を支払わせたことが恐喝とされた事件)、②近畿生コン事件(近畿生コンの廃業に伴い、協同組合が労働組合に6千万円の清算金を支払ったことが恐喝とされた事件)、③加茂生コン事件(就労証明書の発行と廃業に当たってプラントの解体とミキサー車の引き渡しを求めたことの共謀が問われた事件)です。
10時に開廷した法廷では、懲役10年の求刑を受けていた湯川裕司委員長に3事件すべてで無罪の判決が出されました。
判決は、生コン業界では過当競争の抑制が必要とされ、通産省も共販を奨励していて、京都協同組合でもアウト業者による廉売対策が課題であったという背景を認定。他方、関生支部のストライキは、時に就労してない者も動員し、車両の前に立ちはだかる等して出荷を止めるようなこともあったが、事業者側が出荷を自粛する、あるいはアウト対策としてコンプライアンス活動を行う等というものでもあったと認定しました。
そして、「京都3事件」以前の10年間は直接出荷を止めるようなストライキがない等、生コンの価格維持に共同して取り組んでいた京都協組と関生支部の具体的関係に踏まえ、検察の「関生支部が京都協組を畏怖させ、思いのままに支配していた」という主張を退けて、恐喝行為を認めませんでした。
さらに、「争議行為が生産の一定の阻害を想定している」ことからして、労働問題の解決を目的にした関生支部のベストライナー事件におけるストライキの通告を「害悪の告知」による脅迫とすることはできないとしました。また、京都協組側が争議の金銭解決を提案し、関生支部側がそれに加えて7人の組合員の雇用保障を求めたという組合側の主張を信用できるとしました。
近畿生コン事件においては、京都協組内の人事交替で労働組合と協調路線に転換しており、アウト業者に転売されないよう労組がプラントを占拠した費用を京都協組が負担したことに恐喝は存在しないと認定。
加茂生コン事件では現場の概要の認識はあっても、現場での詳細なやり取りにまで被告たちが関与したとは言えず(湯川委員長は「事件は私の記憶と全く異なる物語となっている。そこに捜査機関の明確な意図があった」と弾劾している)、あるいは、プラントの解体要求は労組以上に協組の利益となるものであり、協組の独自の利害から出た言動と考えられるとしました。
また、検察は「関生支部はストライキを手段とし、組織の威力を背景に自らの要求に応じさせている」とストライキそのものを「脅迫」にしようとしましたが、裁判長は「ストライキをはじめとする争議行為はその性質上、労働組合が使用者に一定の圧力をかけ主張を貫徹することを目的とする行為で、業務の正常な運営を阻害することはもともと当然に予定されているものである」「要求行為が脅迫に該当するとは言えず、犯罪の証明がない」と述べ、「検察の主張は到底認められない」とこれを退けています。
判決後の報告集会には会場を埋める約100人組合員・支援者が参加。冒頭に湯川委員長が参加者に御礼を述べ、「私たちの産別運動が労働組合活動として認められたのが嬉しい。権力と一体化した使用者側には運動で返していく」と決意を新たにしました。「関生支援東京の会」からは山口弘宣代表(JAM日本機械工業労組委員長)が「自分たちは後退した日本の労働運動を変える闘いとして支援してきた。今日の判決は本当に嬉しい」との発言を行いました(写真)。