映画紹介 『ブラス!』 (1996年 英国)

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0309号16/01)(2015/12/01)

映画紹介 『ブラス!』 (1996年 英国)

 1990年代半ばの英国、閉鎖騒動に揺れる炭坑の町グリムリー。この町には伝統あるブラスバンド「グリムリー・コリアリー・バンド」がある。炭坑労働者たちのバンドだ。指揮者のダニーは、町に希望を取り戻そうと全英大会での優勝をめざす。しかしメンバーたちは練習に身が入らない。
 サッチャー政権の炭坑つぶしに抗して長期にわたるストで闘った炭坑労働者たち。しかし経営との折衝の結果、炭坑存続か退職金をもらって閉鎖かを組合で投票することに。
 ダニーの息子フィルは借金で家財道具まで差し押さえられる。妻は子どもたちをつれて実家に。フィルは10年前のストで投獄され、その時できた借金が返済できずにいたのだ。
他のメンバーも生活は危機に瀕し、もはやブラスバンドを維持するカンパにも事欠くようになる。予選大会で準優勝し、町へ戻った彼らを待っていたのが閉鎖決定の結果だった。労働者たちは経営陣に切り崩されたのだ。
 路上で崩れ落ちるダニー。長年の炭坑労働は彼の肺を蝕んでいた。メンバーたちは解散を決意し、ダニーの入院する病院の庭で最後の演奏を行う。自分の元を去った息子を思い続ける親の切ない心境を歌った名曲「ダニーボーイ」。キャップライトで楽譜を照らし演奏するシーンは胸に迫る。
 紆余曲折を経て決勝では見事優勝。病院を抜け出したダニーが演説する。「この10年間、政府は産業を破壊してきた。産業だけでなく共同体や家庭をも発展の名を借りたまやかしのために」「職だけでなく生きる意志までも奪っている」
 実話が元になっている。細部で描かれる労働者の魂と連帯感が沁みる。(S)【ちば合同労組ニュース第64号より転載】
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編集後記

 「11・13パリ事件」は世界中を震撼させ、米仏ロによるシリア空爆が激化、安倍も参戦に積極的だ。他方、11・1集会5700人結集と11・14民主労総など15万人決起は、階級的運動と国際連帯が戦争を止めることを示した。歴史が動き始めた。(S)

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【お詫びと訂正】
先月号の25頁、バヤリース物販のFAX番号が06-6832-7516とありますが、正しくは098-948-1651です。お詫びして訂正します。

記事0309

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