医師の宿日直許可申請に反対し、ストライキ! 船橋二和病院労働組合

私たちは、昨年末に、低すぎるボーナスに賃上げ要求と、医師の宿日直許可申請に反対し、ストライキを行いました。このストライキを決意する原動力になったのは、昨年の11月労働者集会に参加した組合員が、「戦時下だ」「遠い国の話じゃない、自分の肌に触れるところで起きている」「職場で起きている問題が、究極の理不尽として襲いかかるときがきた」「ストライキをするべき時だ」と直感したことです。

私たちは、これまでのストライキを含む職場闘争の積み重ねで、「医療は社会保障。労働者や患者の犠牲で成す『儲けの手段』ではない!」と、建前でも理想論でもなく、それは労働者の団結した闘いで奪い取るものだと確信してきました。今回のストライキは「社会保障を解体して戦争に注ぎ込むな!」という怒りを組合で一つにしたと同時に、社会保障の切り崩しがどれだけ多くの人々の命を脅かす問題で根源的な怒りを生んでいるかを理解し、社会保障を取り戻す闘いが戦争を止める力になると確信させるものでした。

とは言え、このストライキは決して簡単にうてたわけではありません。組合員の決意は、ストライキ方針を出してから、これまでのどのストライキよりも早く強く形成されました。それだけ、私たちが強くなってきたのもありますし、職場の賃金などに対する怒りがとても大きく、ストライキ支持の声があったのもあります。

しかし、2024年4月から施行される「医師の働き方改革」を前に「宿日直許可を労基署に申請するな!」と真っ向から対決するのはとても勇気のいることでした。「宿日直許可」とは「夜間や休日出勤を、拘束はしているけれど軽微な対応で、主に寝ている」として、時間外労働としてカウントしない許可です。だけど! 医師の夜勤、主に寝てなんかいないんです! 仮に電話対応3分で済む仕事・・・としても、その電話は患者の命を左右するような問題について、指示を出すのです。うっすら寝ていた頭を働かせて、考えて、薬や点滴の指示を出し、その後脳をクールダウンするのも大変ですが、そんな電話が1件で済むなんて事はまずありません! しかも、電話で済むような仕事ばかりではありません。夜中に集中治療室で患者の急変対応中、他の病棟の急変コールがかかることもしばしばです。救急外来は、夜間も患者さんが待合の長椅子にまで寝ているときがありますし、救急車を何台も受ける日もあります。仮眠室に戻った数分後に「救急隊からの連絡です」と電話でたたき起こされることも。これを「主に寝ている」として労働時間としてカウントしない申請をするというのです。

ところが、現場では「宿日直許可が下りないと、バイトの医師に労働時間の規制がかかって来られなくなる」「宿日直の多い産婦人科はやっていけなくなる」「地域医療が崩壊する」というプレッシャーがあり、こういう中で「宿日直申請するな」と言い切って闘うのは本当に勇気のいることでした。

しかし、「宿日直許可申請を組合が許せば、医師不足を固定化させてしまう国策を現場が許すことになるし、実際いたるところで許可が出れば医師はどんなに足りなくても、今後減ることはあっても絶対に増えはしない。長時間労働を押し付けたい放題になる」「これはいまだに絶えない医師の過労死問題そのものだ」「このような医師の夜間労働実態ですら『主に寝ている』とされるのだから、全労働者に8時間労働の最後的解体が襲いかかる。これは医師だけの問題ではない」と、組合員が議論し、闘うことを決断しました。

かくして私たちは、法律の詳しい勉強よりも先にストライキを決行したのです。そしてこのストライキがこじ開けた、ものがあります。宿日直申請を病院にするように指導してきたのは厚労省だったのです。厚労省の第一線機関である労基署が、現場の労働実態にも見合わず「宿日直許可」を出しまくっている異常事態が、厚労省の肝いりで行われていたわけです! 私たちは厚労省と対決する道をこじ開けたのです。

そして、先月26日にみんなで有給休暇を取って厚労省に抗議と申し入れに行きました。報道も動きました。そして急な呼びかけにもかかわらず、過労死医師の家族会の中原のり子さんも、たくさんの労働者、労働組合もかけつけてくれました。今度は、3・8厚労省攻め第二弾です! 私たちは「宿日直許可」をとった病院事業所名を公表しろと迫ります! 労働実態に見合わない許可が出ていることを厚労省は認めておきながら、許可された事業所名は絶対に明かさないと言っています。

労基署が労働実態をちゃんと見ないのであったら、職場と世間がその病院の実態を見るしかないのです! 救急車が何台も運ばれる病院に、宿日直許可が出ていたら皆さんどう思いますか? 「事業所名を公表しろ!」です。二度と過労死を許さない労働組合の闘いを厚労省にぶつけます!

1999年に過労死された小児科医の中原医師は、夜勤の労働時間を「宿直」だとして病院は労働時間として認めようとしませんでした。2022年に過労死された26歳の専攻医は、100日間連続勤務、時間外労働は月200時間を超えているのに、病院は「自己研鑽」などとし労働時間と認めようとしませんでした。日本の若手医師の7人に1人が日常的に自殺について考えているというアンケートがあります。

過労死は減らず過労死認定だけが減る、この「医師の働き方改革」と対決します! 「社会保障の解体」と「労基法破壊」を串刺しにして闘います! この力で究極の理不尽である「戦争」を止めます!

(2・11国鉄集会での発言)『月刊労働運動』2024年3月号に掲載