※都議選決戦の総括

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0329号06/02)(2017/08/01)

※都議選決戦の総括

改憲・戦争と闘う労働運動を! 労働者のゼネストで安倍を監獄へ!

飯田 英貴(全国労組交流センター事務局長)

 全国労働組合交流センターは、7月2日投開票の東京都議会議員選挙を杉並区において北島くにひこさんを候補に闘い抜いた。「安倍を監獄へ! 小池を倒そう!」「ゼネストで改憲・戦争阻止」を真正面から労働者に訴えた選挙闘争は、いま重大な情勢を切り拓いている。
 都議選での歴史的大敗以降も安倍の支持率は急速に落ち、時事通信の7月7~10日の世論調査では内閣支持率が29・9%とついに「危険水域」にまで落ち込んだ。
 重要なのは「首相が信頼できない」が不支持の最大の理由となっていることだ。都議選を共に闘い抜いた動労東京の組合員が「安倍と自分の会社の経営者の態度は全く同じだ」と語った。労働者を見下す傲慢(ごうまん)な態度、人と真正面から向き合わない不誠実さ、労働者の財産を私物化し、自らを守るためには真実を隠ぺいし平気でウソをつく。この国の首相が守っているのは一握りの資本家の利益であり、労働者の利益ではない。「安倍は信頼できない」というのは真実をつかみ取った労働者人民のこの社会に対する根底的な怒りであり、批判だ。労働者の「安倍を倒そう」の怒り、都議選を通してつかんだ「安倍を倒せる」という経験・決起は決して消えない。
 この闘いは、安倍の改憲日程を今秋の臨時国会から来年へと前倒しさせ、改憲阻止の大闘争を引き出した。「都議選の衝撃」は階級闘争を新たな段階へと押し上げている。

安倍の危機は連合支配の崩壊

 安倍首相と連合の神津会長が、7月13日首相官邸で会談し、いわゆる「残業代ゼロ法」の創設について合意した。連合は、繁忙期には時間外労働を「100時間未満」とする政労使合意に続いて、今回は自らが提案する形で秋の臨時国会で労働基準法の抜本的な改悪を狙う安倍政権を助けた。
 冗談ではない! 先日、新国立競技場の工事に携わっていた23歳の労働者が月に211時間もの残業を強制され過労自殺へと追い込まれた。労働組合が闘っていれば決して奪われることのなかった命だ。今回の連合提案は、資本が労働者を自由にこき使い、命まで奪う自由を認めるものであり断じて許されない。
 しかも、郵政をはじめ「無期雇用転換」の名で最低賃金で働かされる「正社員」が膨大に生み出されている。いま、JR東日本が進める鉄道業務全般の分社化―転籍の核心もここにある。数百万の労働者が最低賃金・過労死に至る長時間労働に向かって突き落とされ、教育、年金、医療、地方…・・・社会の全てが崩壊しようとしている。しかし労働運動はこの現実に対抗できる力を持っている。労働者を徹底的に信頼し、社会で起きることを自らの課題だとして伝え闘うとき、その中から労働運動は必ず甦(よみがえ)る。
 この闘いは改憲阻止闘争そのものである。安倍政権は、発足当初から一貫して連合を揺さぶり、「官製春闘」や「働き方改革実現会議」に連合を引き込み、賃金や労働政策に関与する余地を奪い、改憲勢力として取り込むことに全力を挙げてきた。
 マスコミ報道によれば、今回の合意に向けて、連合は3月末から安倍と極秘に会談を進めてきたという。主導したのは神津連合会長ではなく、事務局長の逢見だ。逢見は150万人とも言われる日本最大の産別組織「UAゼンセン」の会長であり、「憲法改正」「集団的自衛権行使」「徴兵制賛成」「原発推進」を掲げ、日本会議にも深く関わり、何よりも「非正規職の反乱」を抑え込むことを自らの最大の役割としてきた人物だ。安倍は逢見とともに「連合の分裂」を画策してきたと言っていい。
 しかし、「7・13合意」に対して、直後から連合内における現場労働者の反対の声が続出している。結果、連合中執は「残業代ゼロ法」容認を撤回し、予定していた政労使会談は中止。逢見を次期連合会長とする人事も吹っ飛んだ。また改憲・戦争という点では反対の先頭に立ってきた日教組や自治労の現場の闘いは解体されていない。国鉄分割・民営化攻撃と30年闘い抜いてきた労働者の経験や闘いは生きかつ引き継がれている。
 労働者は「安倍を監獄へ」とともに「連合は勝手に労働者を代表するな」のスローガンを掲げた。起こっていることは連合結成以来の事態であり、労働者支配の崩壊だ。

戦争・民営化と闘う新たな労働運動つくり出そう

 今一つ、改憲阻止・安倍打倒の闘いは、東京都知事・小池打倒の闘いと一体である。安倍は小池と組んで改憲をやる以外にない。都議選後に小池都知事の側近である若狭勝(元自民党、元東京地検公安部長)がテレビに出演して国政における新党結成を語った。その際「安倍首相と小池知事は憲法改正が必要という点は共通している」と語っている。小池も都議選において連合東京と政策協定を結んだ。小池を支えているのも連合であり、小池を打倒する力もまた、とりわけ都労連を軸とした職場生産点における労働運動再生の力である。
 改憲阻止決戦の最大の主戦場は労働運動の現場だ。しかもこれが朝鮮半島をめぐる戦争の危機と一体で進んでいる。韓国では、民主労総の2年に及ぶゼネストがパククネを監獄へと送り込んだ原動力となった。情勢を動かしたのは、全体からすれば一産別にすぎない鉄道労組の民営化反対のストライキであった。この韓国の闘いを教訓にすれば、日本におけるゼネストも決して不可能なことではない。
 動労千葉・田中康宏委員長は、動労千葉労働運動の最大の教訓として「どんなに小さな労働組合でも、労働者階級全体の利益、労働運動全体の前進という観点を貫くこと。そうしたときにどんな攻撃にも揺るがない団結が生まれる」と言っている。「戦争と改憲」の問題は必ず日本における労働運動再生の新たな条件を生み出す。「安倍のために戦争に行くのか」「一握りの資本家のために子どもたちの命が奪われてなるものか」――一昨年、安保戦争法に反対して国会前を埋め尽くした数十万の怒りの声が再び改憲阻止の闘いとして結集を開始している。
 問題はこの怒りを国会の中だけに、体制内的に閉じ込めていくイデオロギーと運動を突破することだ。労働者は団結して闘うことで自らの持つ力を自覚する。もう一度、職場から労働組合を甦らせることだ。今度こそ、労働者の力で安倍を監獄へ! 改憲阻止の歴史的決戦へ闘いを始めよう。