安保法案を安倍政権もろとも葬り去ろう
安保法案を安倍政権もろとも労働者の闘いで葬り去ろう
小泉義秀(全国労働組合交流センター常任運営委員)
「個別的自衛権について認めている」という立場で砂川判決をとらえるのは誤り
6月4日の衆院憲法審査会において自民・公明・次世代の党の推薦した長谷部恭男、民主党推薦の小林節、維新の会推薦の笹田栄司氏の3人全員が、現在国会で審議されている安全保障関連法案について「憲法違反」との認識を表明した。中谷元防衛相は「憲法解釈の変更は政府の裁量の範囲内」と述べたが、これは「立憲主義」に反する新たな大問題だ。
昨年7月1日に閣議決定された武力行使の新3要件は「必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべき」とした。しかし、72年の政府解釈は「集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない」と述べている。7・1閣議決定、安保法制の関連法はそこから完全に逸脱しているのだ。
自民党の高村正彦副総裁が集団的自衛権の行使容認の根拠として1959年の砂川事件最高裁判決を挙げていることに対し、砂川事件弁護団は6月12日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、新井章弁護士は「集団的自衛権について認めてはいない。判決の指摘は個別的自衛権についての趣旨」と述べた。しかし、「個別的自衛権について認めている」という立場で砂川判決をとらえるのは誤りである。砂川判決は当時の最高裁長官田中耕太郎が駐日米大使と相談しながら一審判決をひっくり返した三権分立というブルジョア国家の建て前をかなぐり捨てた歴史的反動判決なのだ。
砂川事件は、一審伊達判決が米軍駐留を違憲として無罪判決を出したため、政府はすみやかに逆転有罪判決を目指すべく、高裁をすっ飛ばして最高裁に「跳躍上告」した。最高裁長官は、何度も米国大使館などにおもむき、駐日米大使に対して、判決の時期や審理の進め方、見通し、一審判決批判などを説明している。大使が本国に送った報告の電文などが、米国側ですでに開示されていて、その事実を裏付けている。判決前に裁判長がこのような情報を外部にもらすなど、通常では考えられないことだ。
安倍は「自衛隊を認めるという最高裁判決がそもそも砂川判決としてあった」(2013年10月22日衆院予算委員会)と述べているが、「アメリカの駐兵の問題が問題だったわけでございますので、その点以外のことについて、判決はそれ以上にわたって判断を下しておりません」(1967年3月30日参院予算委 高辻内閣法制局長官)「砂川判決が自衛隊を合憲と判示しておるというようなことは全く言っておりません」(1973年9月13日参院内閣委 山中防衛庁長官)〔『集団的自衛権』(水島朝穂著 岩波書店 2015年4月28日第1刷39頁)〕というのが法律の世界の常識である。この砂川判決を集団的自衛権行使容認の唯一の根拠としなければならないことが破産的なのだ。
ストライキのうてる労働組合を建設し、戦争法案を葬り去ろう
6・7集会は、国鉄闘争全国運動の本格的発展を勝ち取り、国鉄闘争を基軸にゼネストを切り開く、階級的労働運動の新たなうねりを作り出した。6・7集会において世界に向けて発信された「民営化と闘う日韓鉄道労働者共同声明」は新自由主義と闘う全世界の労働者階級の闘いの基本綱領だ。「私たちは、闘いの道を歩み続けてきた鉄道労働者としての誇りをかけて、新自由主義という怪物を打ち倒す国境や産別をこえた労働者の固い団結をつくりあげたいと願い、自らその先頭に立つことを決意して、この呼びかけを発することを決断した。労働者の団結した闘いこそが歴史をつくり、社会を変革する力だ。全世界の労働者の力をひとつにつなげよう。ともに前進しよう」
この「共同声明」に民主労総ゼネストを根底から切り開いた鉄道労組の23日間のストライキの決定的意義がある。そして、動労千葉の国鉄分割・民営化絶対反対の30年に及ぶ解雇撤回闘争・業務外注化阻止・非正規職撤廃闘争と民主労総ソウル本部との日韓連帯13年の歴史が凝縮されている。
動労千葉は30年に及ぶ国鉄分割・民営化攻撃と闘い、今、第2の国鉄分割・民営化攻撃に立ち向かっている。その最大の激突点は、7月1日から開始されようとしている駅業務などの全面外注化である。全面外注化とは、分社化であり、転籍かクビキリか、さらには非正規職化、賃金引き下げの大攻撃である。なによりも労働組合の全面的解体の攻撃である。首都東京において、「駅業務全般の運営、普段の管理体制をJR東からJRステーションサービス(JESS)に移す」、すなわち駅の全面外注化を、分社化・転籍として強行しようとしている。こうしたJRの全面外注化攻撃は、動労千葉・動労水戸・動労総連合の解体を先端とする国鉄労働運動の解体、団結破壊攻撃である。同時にこの大攻撃は、新自由主義の崩壊のもとで、今日の日帝・安倍・葛西・櫻井よし子らによる連合の崩壊・反動的大再編であり、連合をはじめとする労働組合を、改憲・戦争、徴兵制を推進する産業報国会に変質・動員する攻撃と一体である。
国労は「解雇された労働者は組合員ではない」という立場を鮮明にした。これでは非正規雇用の労働者が国労で闘うことはできない。正規雇用の労働者も同様だ。
7・1から始まる外注化を絶対に許さない闘いに決起するためにも動労総連合の東京における建設が必要である。この「動労東京」建設こそ、階級的労働運動を強大に形成し、安倍の改憲・戦争攻撃を根底から打ち破るのだ。この7月全面外注化阻止・動労総連合建設の推進、7~8月安保国会―改憲・戦争法案粉砕の闘いが、民主労総第2波ゼネスト連帯をはじめとする国際連帯闘争そのものの闘いである。戦争法案を葬り去るためにストライキのできる労働組合を作り上げよう。それが動労総連合建設であり、合同・一般労働組合1000人建設方針だ。労働者のストライキで安倍政権を打倒しよう!