新たな挑戦―動労総連合建設に向けて
階級的労働運動建設の新たな挑戦
―動労総連合建設に向けて
吉野 元久(国労上野支部)
★分割・民営化以来28年、改憲阻止した国鉄労働運動
9月19日未明、安倍政権は絶望的な凶暴化の果てに、安保・戦争法案の参院採決=法案成立を強行した。だがそれは国家転覆―安倍打倒―戦争阻止の巨万の怒りのるつぼに油を注いだだけだ! 徹底粉砕あるのみだ。
87年国鉄分割・民営化から実に28年の歳月が流れた。分割・民営化攻撃は、「国労を解体し総評を潰せば社会党は崩壊する。新憲法を安置するために、意識してやった」(「アエラ」)と中曽根が言うように、改憲のための組合潰しそのものであった。
だが、日本労働運動は完全に死滅したのか。断じて否だ。
今年6月30日、動労千葉鉄建公団訴訟の最高裁決定において「採用名簿不記載基準」の策定自体が不当労働行為であり、採用差別=不当解雇を確定させた。
2010年「4・9和解」を拒否して闘う国労闘争団4原告と共に結成された国鉄闘争全国運動と動労千葉労働運動こそが、28年間に亘ってこの改憲策動を阻止し続けて来たのだ。
以後、今日の労働運動はどこにたどり着いたか! そして国鉄労働運動はどのような軌跡をたどったのか! 安倍政権の誕生と新自由主義の最末期にあって、改めてわれわれ自身による戦後労働運動全体の歴史的総括が求められている。
★労働運動の根源的な再生と創生が始まった!
(1)国労共闘とは何だったのか!
わたしたちは、国鉄労働運動の伝統と根源性に依拠し、労働組合と労働運動のあらゆる可能性をかたくなに信じて、JR体制と果敢に闘い抜いてきた。
国鉄分割・民営化絶対反対闘争は、86年10月修善寺大会から始まり、90年7月、満を持して「三里塚・反合理化を闘う国鉄労働者共闘会議」という左派フラクションを乗り越えて「国労共闘全国協議会」を結成し、今日まで1047名解雇撤回闘争の先頭に立って、職場から闘ってきた。
以来われわれは、98年5・28東京地裁判決や2000年4党合意攻撃に対しても、さらには00年7月臨大―01年1月続開大会―02年5・27臨時全国大会においても、「解雇撤回! JR復帰」を貫き、「4者4団体」路線を打ち破る闘いの最前線に立ち続けた。
そして国労5・27臨大闘争弾圧を一身に受け、敢然とこれを打ち破って勝利した。2010年「4・9政治和解」に対しては、敢然とこれを拒否し抜き、動労千葉と共に「国鉄闘争全国運動」の両輪として4名の闘争団員が不退転の決起を開始した。
こうした国鉄闘争の新たな地平に立って、2011年3・11以降、国労郡山工場支部を先頭として検修外注化阻止・非正規職撤廃の闘いに立ち上がり、被曝労働拒否を闘う動労水戸とともに、安倍政権の基軸資本=JR体制との決定的戦端を切り開いた。
それは間違いなく労働運動の無限の可能性を信じ挑戦してきた国鉄労働者としての国労共闘一人ひとりの生き様であった。 だからこそ、国鉄分割・民営化攻撃がもたらしたこの「朽ち果てた現実」=総結果に対して徹底的に責任を取り切ること、こここそがわれわれの新たな出発点だ。
(2)あらゆる分断を乗り越え開始された国鉄闘争
第一に、JR体制とその攻撃がもたらしたもの、その集大成こそが今日の安倍政権そのものだ。安倍政権は、戦争法案の強行採決と完全に一体で、9割非正規職化に向かって労働者派遣法根本改悪を強行した。
だが、私たちは、この大攻撃を根底から覆す新たな可能性と現実性を全階級の前に提示し実践する、この重大な階級的任務を引き受けた。
それが動労総連合建設方針だ。いま動労千葉、水戸、高崎、西日本に続いて神奈川、新潟、そして福島でも正規―非正規の分断を自ら乗り越えて、JRで働く新たな結集=建設が始まっている。
第二に、こうした建設情勢の中で特筆すべき事態が、JR外注―下請け作業現場で陸続とした決起として始まった。東京東部―「全溶」労働者の闘いがそれだ。今年1月に組合結成を実現し、7月以降3か月で6波にわたってストライキに立ち上がった「全溶」労働者の闘いは、「決起の可能性」を突き破り、動労総連合建設の具体的現実性(実現性)を開示する闘いだ。
最大背景資本=JR東日本社長の富田は、1月定例記者会見でも「徹底した経費節減と人・金・物の一極集中」を号令した。JR本体はもとより、80数社のパートナー会社(元請け会社)と数百社にわたる下請け会社は、一斉に「マスタープラン作成」を命じられた。
数年前から赤字経営に転落した「全溶」は、諸手当の大幅減額を強いてきた。だが「黒字転換」を果たしてもなお「減額措置」を継続し、強搾取を続けた。ついに労働者の怒りは頂点に達し、1月組合結成以降6波にわたるストライキに立ち上がったのだ。すべてのJR関連・下請け・孫請けを含めて首都圏十数万人のJR労働者が、満を持して立ち上がる大情勢がここに切り開かれたのだ。
第三に、今こそ分割・民営化絶対反対を貫いてきた私たちの登場が求められている。動労総連合(建設)の力で、今こそ戦争を止めよう! 原発を止めよう! 非正規職化をとめよう! 安倍は、動労千葉最高裁決定直前の6月28日、UAゼンセン会長の逢見と密談し、判決当夜にJR東日本大塚相談役、社長冨田と会談中に血を吐いた。安倍成長戦略(第三の矢)の柱に鉄道パッケージ・原発・武器輸出を据えるためだ。これこそ分割・民営化攻撃が行着いた「実体」ならば、このすべてを葬り去る闘いが日本労働運動の核心だ。
私たちは、誠実かつ堅実にあらゆる分断を突破し、労働組合と労働運動の無限の可能性を開示する新たな挑戦を東京から猛然と開始する。その期は熟した。新潟、高崎、福島、水戸、千葉、神奈川、「扇の要」である東京における闘いに、すべての力を結集しよう。