関西のたたかいの中から 派遣解雇を許さず、恭誠社分会全員でストライキ

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0340号15/01)(2018/07/01)

関西のたたかいの中から!
派遣の解雇を許さず、恭誠社分会全員でストライキ

(写真 5・30のストライキ決行中の闘い)

派遣労働者の解雇を許さず、組合員全員で24時間ストライキに決起

関西合同労働組合恭誠社分会

派遣労働者の仲間の解雇を許さず、ストに決起!

 私たち関西合同労働組合恭誠社分会は、5月30日、分会員8人全員で終日ストライキを貫徹しました。派遣労働者として働く仲間の突然の雇い止めを絶対に許さない決意を固め、正規職と非正規職の労働者が共に立ち上がったのです。
 関西青年労働者集会実行委員会での討論をきっかけとし、関西合同労組本部が私たちにストを提起、たくさんの仲間と討論し決行しました。 当日も多くの方が駆けつけてくださいました。本当にありがとうございました!
 スト前日まで、分会長である私は号泣の日々でした。しかし、たくさんの仲間と分会員のみんなに支えられ、「命を守るストライキ」を笑顔で貫徹された高槻の病院のみなさんを見習って、私たちも笑顔で貫徹することができました 。
 4階で働く労働者全員が組合に加入して、ストライキを貫徹したので、ひとつの部署の仕事は完全に止まりました。

印刷関係の仕事をしている社長のパワハラ

 恭誠社は印刷関係の仕事をしている老舗の会社です。今の社長は創業者の息子で、自分に実力も人望も展望もないために「ここは俺の会社や!俺が社長や! 俺の言うこと聞け!」と怒鳴り散らし、パワハラで労働者に言うことを聞かせてきました。「印刷業界は、このペーパーレスの時代に衰退していっており、ウチも労働者を低賃金で長時間働かせないと会社が成り立たない。売上ないから人を切る」と言い、私たち労働者は実際モノのように扱われ、ボロ雑巾になるまで働かされてきました。
 最近では、御用経済学者の人々ですら、こぞって言っているのは「資本主義の終焉(しゅうえん)」「資本主義のその先」です。今の資本主義の世の中は行き着くところまで行き着いてしまい、もうこれ以上金儲けが出来ない。だから「その先の世の中を切り開いていきましょう」と。
 しかし、この国が切り開こうとしている「その先」は、「働き方改革法案」に代表されるように、さらなる合理化、さらなる民営化、安全破壊、総非正規職化、そして金儲けのための戦争です。まさに言葉通り「命より金儲け」。
 そんなん絶対おかしい!!

「従業員の命より金儲け」の恭誠社

 ウチの社長がこんなことを言っていたと聞きました。「お前らは兵隊や。替えはなんぼでもおる」。正規だろうが非正規だろうが、私たち労働者が替えられる=首を切られるということは「死ね」と言われていることと同じです。 私たち従業員の命より金もうけの恭誠社。関西合同労組泉州支部書記長の中川いくこさんが市議選を闘い抜いた泉佐野市では、泉佐野市民の命より金儲けの千代松市政。そしてこの国は国民の命より金儲けの安倍政権。
 「そんなん絶対おかしい!!」って思っているけど、声を上げることが出来ない。抑圧されすぎて、おかしいとさえ気付いていないのかもしれない。たとえ声を上げても抹殺される。私もずっとそうでした。どうせ何も変わらんやろと思ってるから声を上げないのかもしれない。

闘う労働組合こそ会社のあり方を変えられる!

 丸ごと変えることが出来る唯一の存在、それは闘う労働組合です。声を上げることが出来なかったり声を上げても抹殺されたりするのは、闘う労働組合が無かったから、労働者の団結の力が無かったからです。私は、それを関西のみんなや、全国で闘うたくさんの仲間の方々から教えてもらいました。

 私たち恭誠社分会は、今、闘う労働組合を軸にして、労働者の団結の力で絶望的な会社を変えようとしています。私たちが求めているのは「人間らしく生き生きと安心して働ける会社」です。それは例えば子どもたちにとっては「人間らしく生き生きと安心して学べる学校」であると思うんです。
「人間らしく生き生きと安心して小さな子どもたちを預けられる保育所」
「人間らしく生き生きと安心して診てもらえる病院」
「人間らしく生き生きと安心して託せる自治体」
 れらが全部集まると「人間らしく生き生きと安心して暮らせる社会」になると思うんです。しかも学校も保育所も病院も自治体も、一つひとつの会社も、みーんな動かしているのは私たち現場労働者だ! この社会の主人公たる労働者、ほんとにすごいことだと気付かされました。
 「雇い止め絶対反対」を貫き、非正規職のあり方そのものについて問う。今回の私たちのストライキは、私たちだけの物語なんかじゃ決してありません。私も高槻の病院のストライキに行ったから、私たちのストライキもあったと思うし、同じように私たちの行動が次の決起につながるはずです。
 そして、非組合員のみんなや、あの様子をちらりとでも見てくれた地域の方々が、恭誠社には闘う労働組合があることに気付き、「おかしいことをおかしいと言っていいんだ」ってちょっとでも思ってくれたらいいなって思うし、まだ見ぬ労働者の力になりたいな、なれるんじゃないかなって思います。
このちっぽけな会社すら変えられないなら、この社会なんて変えることは出来ない。だけどこの社会を変えることが出来るのは、このちっぽけな会社を変えることから始まると確信しています。
 いろいろな事情や考えから組合を去る人もいます。個人の利益を優先しており、労働者階級全体の利益を掴むまで転換し切れていないことが討論で浮き彫りになりもしました。乗り越えるべき課題は山のようにありますが、ぶつかる壁を越えていくのもまた私たちの団結の中にあると思います。

私たちが要求書に書いたこと

●私たち労働者は労働力を売っているのであって、私たちそのものを売っているのではありません。
●私たち労働者はモノではありません。奴隷でもありません。
●会社や社会を動かしているのは現場労働者の私たちです。
●現場では正規も非正規も全く関係ありません。同じ現場で共に働く仲間です。
●私たちは仲間の解雇・雇い止めを絶対に許しません。
これが私たちの原点です。なにより当該の派遣労働者はクビを切られても、恭誠社分会として解雇撤回まで闘う決意を固めています。正規も非正規も労働者は必ず決起する! 共に立ち上がり、会社を変え社会を変える団結を拡大していきましょう。