ひめじょおん―女性部から 三里塚現地調査に参加

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0306号15/01)(2015/09/01)

ひめじょおん―女性部から
市東さんの農民としての誇り
―三里塚現地調査に参加して―

葛城紗江子(市東さんの農地を守る会・茨城の会会員)
 7月11日、「市東さんの農地を守る会・茨城」のメンバー8名で、三里塚現地を訪れました。
 私が現地調査に参加するのは、今回で3回目です。今回は東京高裁の「農民殺し判決」後でもあり、新しく加わった仲間もいて、市東孝雄さんとの交流会も行うという、今までにない現地調査となりました。
 市東さん宅に到着後、まず家周辺の畑と種苗ハウスなどを見学しました。種苗ハウスや作業小屋、離れの家屋には、「債権者・成田空港株式会社」の名で「公示書」が結束バンドによって貼り付けられていました。債務者は何と!! 市東孝雄さんです。
 そこに書かれていた事は「千葉地裁で仮処分が決定しているので、勝手に他人に移転したり、名義を変更してはならん。成田空港の占有を執行官が解いたけど、保管している。債務者に限り使用を許す。仮処分の物件と公示書を壊したりしたら刑罰に処する」。これは私の意訳ですが、同様の事が書かれています。傲岸不遜で憤りを覚えました。
 市東さんの土地は、市東さん一家が長い年月を掛けて大事に育てた土地です。その土地で出来た安全な作物は、命を支える源となります。市東さんは「一億円より1本100円の大根を作る」と、人の命を支える作物を作る事に誇りを持って取り組んでいます。その農民から農地を奪う事は「農民殺し」です。国家による犯罪と言えます。
 交流会で、市東さんは「この場所で農業を続けたいだけだ」とおっしゃっていました。
 有機農業の土は一朝一夕では出来ず、年月をかけて丹念に土地を育てなければならないのです。市東さんの畑の土地はサラサラして気持ちが良い土です。このような土には健康で生命力があふれる作物を育てる力があります。交流会で頂いた野菜はどれも大変美味しいものでしたが、とりわけ生で食したセロリは絶品でした。
 政府とNAAは、金さえ払えば何とかなると、高を括っていたのは間違いありません。しかし金より大事なことは世の中に沢山あります。市東さんの農民としての誇りと気概が、金で何でも解決できるという政府とNAAを追い詰めているのです。
 市東さんの畑と空港敷地の境に「星の木」がありました。この木は、米軍基地を残したままでの沖縄返還に反対し、闘い続けている星野文昭さんに連帯して植えた木だということです。木は「辛夷」でした。私は星野さんと市東さんの「闘いの象徴」、その「挙」であると思いました。振り上げられた拳は下ろさないで闘い続ける。国家暴力には屈しない。踏み付けられても、地に足を付けて農業を続けながら不屈に闘いを続けていくという市東さんの決意の表れではないかと感じられました。
 人間が人間らしく生きるためには、当然、原発も核も不要です。戦争も然り。
 しかし、生きていく上で、農業は非常に大事なもののひとつです。その農業が壊され、命よりも金と、戦争へ突き進む安倍政権を倒すために、農・労・学連帯で共に闘いましょう。