8・14集会に参加して 韓日,鉄道労働者の課題は同じだ

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0318号04/01)(2016/09/01)

8・14集会に参加して 韓国も日本も鉄道労働者の課題は同じだ

― 今こそストライキと国際連帯で改憲阻止の大運動を!8・14集会に参加して
大木勇次(東京交通労働組合)
 今年の8・14集会は、7月参議院選挙を闘った地平から、7月26日の相模原殺傷事件、そして天皇メッセージをどう捉え、どう闘うのかが問われる中で、その答えを明らかにし、国際連帯の展望を指し示す集会だったと思います。

労働者の団結で新しい社会を!

 鈴木達夫弁護士は講演で、「私たちは今、世界史の転換点に立っている。人民の団結の力で人類史の新しい扉を開く時がきた。その決意を共通にするのが今日の集会です」と発言しました。 
 そして天皇メッセージについては、「あらためて天皇制を今日の危機の時代における支配階級の結集軸にしようとしている」「天皇のもとでのエセ共同性など、私たちは断じて認めない。労働者人民が、団結して新しい社会をつくっていく中にこそ本当の共同性がある」と訴えました。これは参院選を闘ったみんなの確信だと思いました。
 また、動労水戸の辻川慎一副委員長の発言で、相模原事件をどう見るかについて、「イスラム国で立ち上がっている青年と植松被告は同じ。この社会の中で排除され続けてきた。それだけでなく小さい時から評価の対象にされてきた」「評価されない人間は社会から排除される」ことに対して「公務員に対して襲いかかっている人事考課制度、資本が人間を評価する制度なんて、労働組合が絶対にぶっ飛ばさなければならない」「我々がやらなければ絶望しかなくなる」と訴えました。まさに自分たちの闘いであると思いました。

コドンファンさんの発言に感動

 私が8・14集会に参加して一番感動したのは、民主労総ソウル地域本部公共運輸労組ソウル本部長のコドンファンさんの発言です。公共運輸労組は民主労総所属で、公共部門の鉄道労組、地下鉄労組、国民健康保険労組、国民年金労組、ガス公社労組など韓国の主要な公共部門の労働者が団結して闘っている組織だということです。日本でいえば動労総連合―動労千葉・動労水戸と東交と、以前の社会保険庁の労組が一つになって組織されているような感じです。それが17万人いて、そのソウル本部長が日本に来て、動労千葉の30年にわたる国鉄分割・民営化攻撃との闘いと現在の外注化阻止・非正規職撤廃の闘いに連帯し、発言してくれたわけです。特に今年の11月集会が11・6日比谷野音の集会と11・12ソウルでの集会を共同のものとして世界に向けてアピールを発した、その中心にいるコドンファンさんが、なぜ訪日して発言してくれたのか、このことの中に民主労総の決意と、今年の11月集会は例年とは違う集会として準備されていることを痛感しました。
 「公共運輸労組は現在、9・27ストライキを予告し準備しています。2002年に鉄道、発電、ガス労働組合のストライキで争点化された『公共部門民営化』政策は、いま朴槿恵政府でも進行中です。先日も、朴槿恵政府は鉄道、ガスなどを民営化する計画を発表しました。公共部門に対する攻撃は、朴槿恵政府初期から、構造調整、民営化、賃金ピーク制、成果年棒制、低成果者退出制および非正規職拡大につながっています。これは公共部門縮小と民営化を通じて、財閥と資本の私腹を肥やし、公共部門労働組合を破壊しようとする戦略から出た攻勢です。公共運輸労組は、労働者の労働基本権を守るのはもちろん、国民のための公共サービスと福祉のための最後の防御線である公共部門を必ず守るという覚悟でストライキ闘争を組織しています」(コドンファンさん発言)

成果年俸制は業績評価制度

 成果年棒制というのは日本の業績評価制度と同じだと思います。韓国の労働者にかけられている攻撃は、日本の労働者にかけられている攻撃と全く同じなのだということを痛感しました。日本で行われた攻撃を韓国の資本が学んで韓国の労働者に襲い掛かり、その攻撃は日本の後を追うだけでなく、先行して進んでいるんだなと。

東交で進む外注化攻撃

 東交においては、2003年から始まった駅業務の外注化によって、現在、都営地下鉄駅のおよそ6割、59駅に拡大し、約700人の協力会駅業務の労働者が担っています。賃金については当初から低水準のまま据え置かれ、労働条件も未だに週休二日制が実施されていません。その他、雇用形態も不安定な状態に置かれています。民営化・外注化攻撃は毎年進行していて、鉄道労組にかけられている民営化攻撃が東交の労働者にかけられるのは必至です。
 去る5月28日、韓国の九宜駅で安全ドアを修理中、列車に当たり19歳の青年が亡くなる事故が発生しました。それ以降、鉄道労組と地下鉄労組は、これまでの不十分性を反省し、再発防止の取り組みを強化していると聞きます。第一に掲げているのが非正規職を正規職に転換しろという要求であり、安全を守れということです。安全確認のためには、運転士や車掌の目視が絶対に必要です。

小池知事との闘い

 しかし、いま小池百合子都知事は「満員電車ゼロ」を公約の一つに掲げ、公約の発案者は、とんでもない安全破壊の攻撃を地下鉄の労働者にかけてこようとしています。小池知事のブレーンのいうとおりに地下鉄の運行がなされたら、韓国の地下鉄で起きたような死亡事故が起きることは不可避です。小池の「満員電車ゼロ」発案者の阿部という人物が言っていることは、「事故を起こすな」から「効率を上げる」への意識転換です。「人による安全確認は無駄」「安全確保のための時間は無駄」だから、すべて計器類に頼り、そして電車の本数を増やそうというのです。こんなやり方で満員電車はなくなりません。小池がやろうとしているのは、労働組合の破壊と安全無視です。安全を守るために労働者がどれだけ神経を費やし、努力しているかを全く無視しているということです。

 私は8・14集会でコドンファンさんの話を聞いて、韓国も日本も本当に課題は同じだと感じました。11・6集会、東京・ソウル・全世界共同行動に向かって闘っていきましょう!

レポート,記事0318

Posted by kc-master