私の職場第10回 介護職場の仕事は大変! 組合結成して展望がある!

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0320号11/01)(2016/11/01)

私の職場 第10回
介護職場の仕事は大変! 組合結成して展望がある!

木村 大和(関東・介護労働者)

―どういう職場ですか。

木村 関東の特別養護老人ホーム(特養)で介護職をしています。特養は認知症の人が多いです。職員は介護職や看護師、ケアマネ、事務職、洗濯・清掃、ドライバーさんなど、合わせて80人くらいで、入所者は100人くらいいます。建物は3階建てで、1階はデイサービス、2階は多床室(相部屋、32床)とユニット型個室(20床)に分かれ、3階はすべて多床(58床)です。他に居宅サービスもやっています。
 私は2階多床で働いています。今年11月で勤めて丸4年です。2階多床の介護職員は12人おり、シフトを組んで回しています。夜勤(16時30分~9時30分)は2人体制、昼間は早番・日勤・遅番・リーダーで、時間帯にもよりますが大体2~4人の体制です。12人中、正規は8人、非正規は4人です。入職した頃は夜勤は月に5~6回でしたが、今は8~10回あり、
およそ週2回です。

―介護職場での仕事の内容を教えて下さい。

木村 食事、排泄、入浴の介助が基本です。服薬介助もしています。
 朝は起床介助して食堂へ誘導しながらおしぼりをお出しし、水分提供します。厨房から食事が来たら、自力摂取できない方の食事介助をします。その後は口腔ケア(歯磨き)をして、オムツの方は居室へ誘導、臥床介助。その他の方はトイレ誘導します。自分でトイレに行ける方は3~4人で、部屋のトイレに行きます。日中もトイレに行けない人はオムツです。
 夜間は自立の方以外は大体オムツを当てます。朝5時に起こした時にトイレに連れて行き、オムツをはずします。日中もオムツの人は朝4時にオムツ交換をします。尿量が多い方は0時もオムツ交換します。
 ほとんどの入所者は車椅子です。80代の人が多くて100歳の人もいます。胃ろうの人も4人くらいいます。

―事故の危険はありますか。

木村 一つは、転倒が多いことです。車椅子に乗ってトイレに行って自分で立とうとされて倒れることがあります。だから勝手に行けないように、食堂のトイレには鍵をかけています。
 二つは、服薬の間違い(落薬や誤薬)も多いです。本来は看護師がやるべき仕事ですが、看護師も人員が少ないので介護職員が行っています。食事時は配膳から食事介助(食介)、下膳、口腔ケア、臥床介助、トイレ誘導と、とてもバタバタする時間帯なので、充分な服薬確認をしてられません。

―他に仕事がありますか。

木村 食事の量や、水分量、排泄の記録も付けます。入浴介助は早番がやります。日勤は入浴介助を手伝って着替えや髪を乾かすこともやります。
 食事は1階の厨房に請負会社が入っていて作っています。管理栄養士は同じ直雇いです。

―勤めていて、感じていることはどんなことですか。

木村 個々人に合ったケアができないことです。一斉に起こし、食堂に集め、一斉に食事を食べさせます。ともすれば収容所みたいですね。入所者は食事から食事の間、ほとんどずっと食堂にいます。認知症の人が多いので、個人でやりたいこともなく、テレビを見て過ごしています。レクリエーションもほぼやれてないので、カラオケの機械で歌入りの曲を流したりしています。リハビリは、機能訓練指導員がいますが、他の階の入所者も見なければならないので、1日に数人しかできません。

―職員の状況はどうですか。

木村 辞めていく人が多く、常に人員不足です。人間関係はよくないですね。イジメとか。挨拶しても返事をしない人とか。
 夜勤は正規にしかやらせないので、正規職になるとあまり日勤帯に入れないです。正規の人も次々と辞めていき、主任クラスも平気で辞めていっちゃいます。毎月のように誰か辞めていく状況で、補充も追いついていません。2階は現在、正規が8人、パートが3人、派遣が1人です。求人をしても応募が来ないので、だんだん派遣が多くなってきています。月給は正規が手取りで20万円、フルタイムパートは17万円くらいです。

―結核にかかったそうですね。

木村 去年夏に利用者さんが入院したのですが、その人が結核にかかっていた事が判明し、2階の職員は全員血液検査を受けました。今年1月に検査して、2月に結果が出たのですが、結核の陽性反応が出たのは私だけでした。今にして思えば、その利用者さんに至近距離でくしゃみを浴びせかけられたような記憶があります。
 今40代前半の働き盛りですが、免疫力が落ちていたのですね。夜勤が増えたからだと思います。感染はしましたが発症はしていない状態で、潜在性結核感染症というそうです。発症リスクは10人に1~2人といわれています。
 保健所で病院を紹介され、結核の発症リスクを抑える薬を6ヶ月間飲みました。まだ発症はしていません。

―介護の仕事は大変ですね。

木村 最初は夜勤は月に5~6回だったのが、今は8~10回になりました。7~8回あたりから身体が疲れやすく、睡眠コントロールが難しくなったように感じます。
 他の職員も、起きれなくて夜勤に来ず、辞めさせられた人もいます。シフトを作っている副主任が激怒し、しばらく休ませ、それ以降も夜勤に入れさせない対応をしました。それで追い詰められて辞めてしまったのです。
 夜勤は17時間拘束で、疲れが溜まり、ふくらはぎなど下半身が重くなります。肉体的にハードではなくても、夜中起きていること自体が身体を蝕んでいるのです。翌朝、食事介護した後に臥床介助をしているととても腰が痛いです。シフトもバラバラで毎日違うので、不規則な生活なのです。

―組合結成した話をして下さい。

木村 正式に結成したのは今年4月ですが、去年の春頃に結成通告をしています。きっかけは去年4月に清掃パートの女性が勤務時間を短縮されたことでした。本部から清掃の人数が多いからと、時間を減らされたシフト表を直前に渡されたのです。分会長もよく知っていた人だったので、何人か有志を集めて相談し、勤務時間の短縮に反対しようと組合を結成し、団体交渉を申し入れたのです。
 本部は他県にあるのですが、理事長は来ませんでした。今の施設長と本部の施設長と理事長の息子が来て団交をしました。事前に職場にビラをまいて訴えてたので、団交に組合員以外の人も傍聴に来てくれました。10人の労働者が出席し、その力で撤回させることができました。仕事が減った分の給料の補填(ほてん)もさせました。
 私の結核のことも、労災ではなく結核医療費公費負担制度を使えと言ってきましたが、無視して労災申請をし、労基署に労災を認定させました。

―組合活動についての意見があれば話して下さい。

木村 本部が他県にあり、理事長も忙しいとなかなか出てこないので、今は正式な団交ではなく、施設内で交渉というか、月1で意見交換会をしています。
 いじめで人が減っていく問題や、パートの女性にリーダーのやるべき記録付けの仕事をさせた問題などを追及してきました。
 でも施設長にはほとんど権限がないので、施設長が法人会議で交渉してくるという形で、なかなか事が進展していません。
 周りの労働者も組合に関心は寄せてくれているものの、組合に入ろうとまではしてくれません。正式に団交をやるにはもっと組合員を増やして職場内で力関係を作らないといけないと思っています。その為にもっと組合の存在や活動を知らせていきたい。定期的にビラをつくる体制をつくらなければいけませんし、ビラをまくのも勇気がいります。月1回の分会会議や交渉をやれると組合活動も軌道にのるのですが、なかなか集まるのも大変です。
 組合活動は、華々しくはないのですが、細々でも団結を維持し継続していることが重要だと思います。仲間がいることで頑張れると思います。そこに展望があると思うのです。
 確かに人間関係をつくるのは大変です。私はまだ40代前半ですが、分会長は70代です。同じことを言っていても、私が言うと反感を喰らうのに、彼女が言うとみんな話を聞いてくれる。経験の差が出ます。青年が主体的に登場することがことさら重要視されがちですが、経験を積んだ年配者の力はとても重要だと思います。動労総連合建設でも定年間際の労働者の決起が決定的だった場面がありました。両者が合わさって労働活動が展開できていけると思っています。

―今日は、どうもありがとうございました。