地平線 共謀罪法案の今国会通過を絶対に阻止しよう

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0326号18/01)(2017/05/01)

地平線
共謀罪法案の今国会通過を絶対に阻止しよう

(写真 3・22新共謀罪反対集会【都内】)

西村正治(弁護士)

 通常国会で共謀罪の審議が始まっている。3度廃案になったものを名前を変えて持ち出したゾンビ法案だ。
 共謀罪は、277の犯罪をテロリズム集団その他の組織的犯罪集団に属する2人以上で計画した場合、その計画をした者の誰かにより資金または物品の手配、関係場所の下見その他の「犯罪」実行の準備行為が行われた時、犯罪となるものである。これは、「犯罪」を実行する前に、実行しようとする「意思」を処罰するということに根本的問題がある。
 安倍政権は、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団が適用対象であり、一般の者には関係がないと強調するが、大ウソである。テロリズム集団の定義もなく、テロ対策の偽装でしかない。もともと犯罪目的の組織だと公言する者などいない。「犯罪集団」かどうかはすべて警察が決めるのであり、普通の集団が「犯罪集団」に一変したとみなすのも警察だ。警察次第で、どのような労働組合でも市民団体でも対象になるのだ。その上、「目的遂行罪」があり、「集団の権益を目的とする行為」とされれば、誰であっても対象にできる。悪名高い治安維持法の「目的遂行罪」の再来なのだ。
 要件とされたという「準備行為」は、特異な行為のことではない。預金を下ろす、買い物をする、街を見て歩くなど、日常的活動を警察が準備行為と認定するだけのことである。逆にこれは組合の日常活動を捜査対象にする口実にもなる。
 罪数を676から277にしぼったと言うが、これまで労働運動、学生運動の弾圧に使われてきた罪名がすべて残っている。組織的信用毀損・威力業務妨害、組織的逮捕・監禁、組織的強要、組織的詐欺、恐喝、建造物損壊等々。労働組合の団体交渉やピケッティング、宣伝ビラ貼り行動などすべてが対象なのだ。それでいて、権力のテロ犯罪である特別公務員暴行陵虐罪等は除かれている。偽証罪も対象で、救援活動も弾圧の対象にされる。
 また共謀罪は捜査のやり方を根底から変え、盗聴・監視と密告・スパイが不可欠になってしまう。
 安倍政権は、朝鮮半島での戦争・核戦争の危機が切迫する中、秘密保護法、戦争法体制下、刑訴法改悪(新捜査手法)・盗聴法拡大と共に、治安維持法の再来として、戦争体制に不可欠の究極の団結破壊法、治安弾圧法として、共謀罪を強行しようとしているのだ。まさに、言論・思想・団結(組織や運動)とりわけ労働組合の団結破壊を狙った攻撃であり、治安維持法の再来そのものである。
 政府は、今国会での成立を至上目的にしているが、絶対許すわけにはいかない。共謀罪の国会成立を阻止するために、みんなで力を尽くして闘おう。

地平線,連載0326

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