動労総連合青年部の結成かちとる

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0328号04/01)(2017/07/01)

動労総連合青年部の結成かちとる

★青年たち自身の力で困難を乗り越えて結成まで進んだ経験が大きな力

片峯 潤一(動労総連合青年部書記)

 6月10日、動労総連合は新たに青年部の結成をかちとりました。結成大会は、「動労総連合を全国に」の方針の下に各地で結成された単組に結集した青年たちが集まり、成功裏にかちとられました。

青年部準備会で様々な議論

 結成に至る過程では、青年部準備会という形で様々な議論が行われてきました。今の時代に、青年労働者が先頭となって動労総連合の闘いを牽引していくことは、本当に大切な課題です。しかし、自分たち自身の力で組織を運営し、継続し、さらなる発展に向けた方針を作り上げることを真にやり遂げるのは、本当に困難な課題です。その課題に、青年労働者たちが真剣に向き合う議論でした。
 形だけの組織や、単なるサークルのような組織にはしたくない。いったい、何を目的に、どういう運動体として青年部を立ち上げるのか。青年たちの意見は、必ずしも初めから同じではありません。しかし、青年が一堂に会して互いに思いをぶつけ合う中で、全体として「青年部結成という形で一歩を踏み出そう」と決断できるところまで進んでいきました。
 「みなさん掃除の話なんて興味ないでしょう」。これは、青年たちの間でよく語られるエピソードです。JRの関連企業を含めた青年労働者が集まる場に初めて参加した清掃労働者は、発言を促されてそう応えました。「いや、お互いの職場のことを出し合うことが大切なんだ。それが自分たちの職場でも参考になる」。再び促された彼は、ここのところグリーン車等の座席を回転させる際、固くて回すのが大変だと話しました。
 これは、車両清掃だけでなく、検査・修繕部門にも関わる問題でした。この話が青年たちの間で共有されたことで、他の職場でも清掃労働者との新たなつながりも生み出されました。この後、1年足らずで彼は動労神奈川結成を中心で担っていきます。青年部の結成大会では、「ここにいる仲間と話をして、『悩んでいるなら動労総連合に来いよ』と言えるくらいの力をもらいました。こんな仕事でも役に立っているんだということを感じました」と語りました。そして、「正規・非正規」という分断への怒り、仲間がいるからこそ共に団結して闘っていけるという思いを訴えました。
 2014年9月の郡山総合車両センターでの業務外注化に反対する行動には、青年労働者として抗議行動を企画し、全国から青年労働者が集まりました。それは、郡山総合車両センターで働く青年たちにとっても、大きなインパクトを与えるものになりました。こういった青年労働者自身の力で議論し、運動を進めていく闘いの経験は、青年部結成へと向かう重要な過程でした。

第2の分割・民営化との闘い

 青年部結成に向かう重要な契機となったのは、JR東日本における「第2の分割・民営化」攻撃です。鉄道業務を全て外注化・分社化して、労働者を転籍に追い込んでいく。同時に、たとえ生活に必要とされている路線でも、儲からなければ切り捨てる。金儲けのために労働者の雇用や権利を奪い、鉄道の安全も犠牲にし地域社会そのものまで破壊していく攻撃です。この攻撃を跳ね返すには、青年労働者が反撃に立つことが必要です。
 一方、社会に目を向ければ、沖縄では基地建設再開が強行され、共謀罪はまったく矛盾だらけの説明のまま委員会採決まで省略して国会を通してしまう。戦争が始まろうとしている。未来を担うのが青年であるからこそ、戦争を止めることは青年自身の課題です。青年部結成に向かう具体的な討論が真剣に開始されました。

青年自身の力で組織拡大へ

 「仲間がいたから自分はやってこられた。青年部結成し、仲間を集めたい」「正規・非正規、JR本体・グループ会社が一体で闘っていることを示したい。青年部は、まさにそれが形になったもの」「動労総連合として産業別組合をめざしていく上で、青年部も総連合として立ち上げたい」
 こうした討論の中で、多くの青年労働者にかけられる攻撃に青年部が先頭となって自らの職場・地域で闘い、青年自身の力で組織拡大をめざす闘いとして青年部結成へと進んでいきました。それは、青年労働者が互いの思いを真剣にぶつけ合う中で、お互いの思いを共有しあう過程でもありました。
 結成大会で青年部長を引き受けた動労千葉の北嶋琢磨さんは、「腹の中を全部出してこその団結だと思っている。それを引き出せる青年部長になりたい」と発言しました。
 動労総連合の青年たちは、困難を承知で組合に結集しています。しかし、「茨の道」をあえて選び、仲間とともに困難を乗り越えて進もうとしています。青年労働者が、自分たち自身の力で困難を乗り越えて結成まで進んだ経験が、青年部運動を本物の運動へと発展していく重要な力となっています。
 結成大会には、他の産別で労働組合の一員として闘う青年労働者たちにも参加していただきました。同じ青年による自らの闘いに基づいた訴えは、結成大会成功の大きな力になりました。動労総連合青年部を本物にしていくのは、これからです。 結成大会の成功は、その闘いに向けた重要な出発点を築きました。副青年部長となった動労水戸の照沼靖功さんが提起した結成宣言には、青年部が目指すものが詰まっています。
 「解雇されても、仕事を外されても、仲間を信頼し、団結してきた強さが動労総連合にはあります。労働組合とは労働者一人ひとりの為、労働者の生活や命を守るために闘う組織です。おかしいことをおかしいと言うことは当たり前のことです。その当たり前のことすら出来ない世の中を根底から変えましょう」「職種の違い、正規・非正規といった壁を乗り越えて、共に団結して闘う青年の組織として登場するのが動労総連合青年部です」
 青年たちの闘いは新しい段階に入りました。私自身、動労総連合青年部の発展に向けて、仲間とともに困難を乗り越え、闘い抜きたいと思います。