衆議院選挙決戦の意義と課題

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0332号03/01)(2017/11/01)

衆議院選挙決戦の意義と課題

衆院選決戦で切り開いた戦争・改憲反対のゼネストへの力を11・5集会の大結集へ

小泉 義秀(東京労組交流センター事務局長)

◆安倍は北朝鮮に対する戦争と改憲のために衆院を解散した

 安倍政権は、「国難突破」を掲げて衆議院を解散し、総選挙に打って出た。産経新聞は「年末、来年早々にも米日韓が共同で北朝鮮に対して武力行使を行う。したがって衆院解散は今しかない。北朝鮮に対する戦争と改憲のために安倍は衆院を解散した」と言い切った。北朝鮮への核戦争攻撃は労働組合解体攻撃であり、労働組合を改憲翼賛勢力にする攻撃である。改憲がなされた後で戦争になるわけではない。戦争がはじまって改憲攻撃が本格化するのだ。北朝鮮に対する戦争は核先制攻撃として開始される。安倍の改憲とは核武装を是とするということだ。「戦争が開始されると200万人が死ぬ。韓国と日本に甚大な被害が出る」(米の研究グループ)と言われる。
 米帝トランプは、核の先制攻撃と全面的な虐殺戦争を行うことを宣言している。拉致被害者を取り戻すというのはペテンであり、拉致被害者もろとも焦土にする作戦を計画しているのだ。
 小池も、北朝鮮に対する核戦争と改憲のために「希望の党」を結成した。安倍と小池は一体である。なんの違いもない。マスコミが自民・公明と希望の党との対決構図を描いているのはまやかしだ。
 希望の党結成は小池と民進党代表・前原と連合会長神津の三者会談で決まった。民進党は希望の党へ全員が合流することを決めた。誰も反対しなかった。全員が希望の党の公認候補として立候補する決意を固めていたのである。神津も、連合が希望の党を全面的に支援することを決定しようと決断した。しかし、小池が「全員を受け入れる気はさらさらない」と言ったことで希望の党公認を受けることのできない連中を中心に立憲民主党が結成された。
 しかし、立憲民主党を結成した議員が改憲反対派のリベラル議員というわけではない。立憲民主党の枝野は、2013年の『文藝春秋』10月号で改憲私案を発表している。集団的自衛権賛成の極悪の改憲私案である。安倍の9条改憲案も枝野私案を踏まえている。共産党も同じだ。3極こぞって改憲政党なのだ。

◆連合解体・崩壊の引き金を引いた希望の党結成と小池の凋落

 今回の衆院解散総選挙で決定的な事態は、連合が解体・崩壊を開始したということである。JP労組は、組織内でも希望と立憲民主に候補者が分かれるなど、また裂き状態だ。連合675万人のうち、情報労連(22万人)は希望の党支援を中止、航空連合(3万5千人)と海員組合(8万人)は、共に運動員を出さず自主投票。電機労連(60万人)は、希望と立憲民主の原発ゼロ公約に反対、運動員を出さずに自民支持へ。UAゼンセン(160万人)は、北朝鮮の拉致被害者支援・外国人参政権反対で希望か自民へ。自動車総連(75万人)は、希望の党支持の姿勢、一部は自民支持。
 連合の役員を歴任してきた部分でも改憲絶対反対、原発反対、戦争絶対反対の人は多い。逢見や神津のような連合幹部に対して同調する人間ばかりではない。だから労働法制改悪、改憲・戦争をめぐって連合が崩壊をはじめたのである。連合東京は、代表がUAゼンセンの岡田敬であり、自民党支持に回った。連合東京の主力である東交は立憲民主党・社民支持に分かれた。
 小池が民進党の一部を排除したことで、連合を丸ごと改憲賛成勢力にする目論見が破産した。安倍と小池は連合を丸ごと改憲と戦争推進勢力にすることに失敗したのだ。動労千葉、動労水戸、動労総連合の30年の闘いが連合解体・崩壊情勢を作り出したのだ。

(写真 阿佐ヶ谷駅前で訴える斎藤いくま候補)

◆斎藤いくま全学連委員長の決断と決起

 この大政翼賛会一色、改憲勢力の渦の中に躍り出て「この国に革命を! 安倍、小池、立憲・共産―ウソまみれの『3極』をぶっとばせ 全学連委員長29歳」と斎藤いくま全学連委員長が東京8区から自民党・石原伸晃打倒のために立ちあがった。 「朝鮮戦争絶対反対! 改憲阻止! 消費税は廃止! 全原発を廃炉に! 非正規職撤廃! 青年に未来を! 労働者に権力を!」というスローガンは、完全に青年と学生の心をとらえた。朝鮮戦争絶対反対と訴えている候補は誰もいない。命をかけて戦争を止めようという必死の思いが壮年、高齢者の魂をつかんだ。学生の時に全学連の活動をしていたという高齢者が、涙を流して斎藤いくま委員長に握手を求める。新しい学生が、自分も学生運動をやりたいと斎藤委員長のもとへ駆け寄る。
 自公が300議席を獲得すると言われる。しかし安倍の不支持率はますます高まっている。仮に300議席を取ったとしても、砂上の楼閣の300に過ぎない。希望の党は、選挙後直ちに解党すると言われている。与党も野党も離合集散を繰り返し、支配体制はガタガタになる。小池の政治生命は終わりだ。週刊誌は「小池 みどりのたぬきの化けの皮を剥ぐ」というすごい見出しで小池批判を煽る。
 しかし、化けの皮を最初から剥いで弾劾していたのは我々だ。都議選で小池弾劾を叩きつけてきたその基礎の上に、斎藤いくま全学連委員長の登場で大政翼賛会情勢を一変させた。「社会の主人公は労働者だ。労働者には戦争を止める力がある。労働者が生産を止めたら戦争を阻止できる」と、斎藤委員長は繰り返し街頭で訴えている。マスコミも斎藤委員長を密着取材してテレビで放送する。斎藤委員長のアジテーションと主張が、連合傘下の労働組合、全労連傘下の労働組合の中に入り込み、ゼネスト情勢を切り開きつつある。
 10・13動労東京八潮支部の24時間ストライキは、その号砲であり、その第一歩だ。一点の火花が労働者階級の怒りの火薬庫に火をつけ、北朝鮮に対する核戦争など絶対に許さないゼネスト情勢を作り出す。
 11・5労働者集会がその転換点だ。衆議院選挙で生み出した力のすべてを11・5労働者集会で爆発させよう!

レポート,記事0332

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