『国鉄分割・民営化と闘って30年』を読んで 労働者の苦悩への回答を示す、うなずいて読める本

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0339号11/01)(2018/06/01)

『国鉄分割・民営化と闘って30年 労働運動の変革をめざして』を読んで
労働者の苦悩への回答を示す、うなずいて読める本だ!

橋本 光一(動労福島委員長)

 5月沖縄闘争は、改憲戦争情勢を打ち破るゼネストへの展望を確信するものとなったが、同時に、オール沖縄に賛同する労働者の苦悩を目の当たりにするものでもあった。この本は労働者の苦悩への回答を示す本である。「動労千葉は前例のない運動をつくり出し、それは普遍的である」と自負していることを信じて読んでほしい。
 第1章では動労千葉の歴史を振り返り、「事故は本人持ち」という労働運動の欠点的常識を覆すことから始まったことが、1972年の船橋事故を教訓に描かれている。「反合理化・運転保安闘争」を、「単なる賃上げのためではなく、鉄道の安全のためにやっているという自己行為の社会性の意識が組合員の内面に存在し、社会に働きかけるもの」と規定し、第3節では「効率化」「省力化」と人間性の対立が論じられ、労働とは何か、反合闘争とは何か、への回答が論じられている。
 第2章は、1982年に国鉄に就職し国鉄分割・民営化を経験した私にとって、新しいことではないが、改憲・戦争情勢下で改めて国鉄分割・民営化を考証し、認識を新たにすることが多い。
 第3章は、今年3月以降のJR東労組崩壊を規定し、一方、国労が「ストをしない会社と良好関係にある国労に加入しないか」とオルグしている(元国労の私としては悲しい国労の対応)が、1047解雇撤回闘争への既成労組のスタンスの根拠を解明している章だ。
 第4章は、外注化阻止闘争の軌跡が書かれている。私は、2014年9月のJR東日本郡山総合車両センター(郡工)の「JR外注化阻止」闘争までは、1995年日経連報告の非正規職9割方針の一環としてのJR外注化という認識がなかった。しかし、郡工でも2001年から外注化が始まっていた。動労千葉は、日経連報告当初から「新自由主義における外注化攻撃」と認識し、外注化反対闘争を開始していた。特に第2節のシニア制度に対する闘いは必読だ。
 第6章は、動労千葉国際連帯闘争の軌跡だ。私はフクシマ原発事故の当該であり、5・15沖縄闘争に参加して思うのは、フクシマ、オキナワの解決は安倍政権打倒と一体ということだ。安倍打倒は資本家階級を倒す労働者革命の問題だ。戦争阻止と労働者革命は、世界の労働者とどう団結できるのかが課題だ。それを具体的にやってきた動労千葉の取組みが書かれている。
 そして本のタイトルの第7章「労働運動の変革をめざして」である。「動労千葉の闘いの歴史は日本の労働運動の歴史に一つの革命を起こしたと言っても過言ではない」。この精神こそ、社会変革のエネルギーであると思う。労働者が主人公の社会を労働組合を軸とした革命によって実現することを、理論と歴史的事実によって論じている。
 最後に、「動労千葉も当初から外注化が新自由主義の核心的攻撃とまでの認識を持っていたわけではない。それは闘う中でつかみ取られていった」と本音が語られ、本への信頼を熱くした。うなずいて読める本だ。