関西のたたかいの中から 大阪市の教育民営化と労組破壊を許さない

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0349号14/01)(2019/04/01)

関西のたたかいの中から!
大阪市の教育民営化と労組破壊を許さない!

(写真 2月8日自治体労働者学習会)

赤田 由行(大阪市職員労働組合)

 吉村前大阪市長による「学力テストを教員の賃金に反映する」という動きは、教育民営化と労組・地域の団結破壊することを企図した重大な攻撃です。
 大阪市では、あらゆる職場に民営化攻撃が吹き荒れてきました。その全てがうまくいかず矛盾を爆発させているにも関わらず、教育と水道の民営化に手を伸ばそうとしているのです。

◆学校選択制と学力テストがアメリカの教育破壊の出発点

 アメリカでは、学校選択制と学力テストが、公教育崩壊の出発点となっています。「教育の多様化」というかけ声で、学区の廃止・チャータースクール(民営学校)の開設、バウチャー制(私学助成)などを行う中で起きたことは、公立学校の廃止とチャータースクールの激増です。また、2001年に制定された「おちこぼれ防止法」では、学力テストの点数で、学力基準に到達しない学校へ制裁を行い、成績が悪い学校をチャータースクールに置き換えました。チャータースクールでは「儲からない」と判断した企業は学校を廃校にしたので、30万人近い子どもたちが学校から放り出されています。成績の悪い子どもは退学処分にされ、テストの日に休むことを強制されています。子どもを少年院に送る事例も増えています。民営化は黒人や移民の多い貧困地区から始まり、従来の公教育は富裕層の多い地域しか残っていません。

◆大阪市で同じことが行われている

 この動きは大阪市の10年間に当てはまっています。
 2011年、私立高校を無償化し、高校の学区を撤廃。
 2012年制定の府立学校条例では、3年連続定員割れの学校を「再編整備の対象とする」と明記。公立と私立を競争させて公立を廃校に追い込む政策を開始しました。「(教育に)格差を産んでも良い」(維新・坂井市議)と教育基本条例を制定。
 2013年大阪市が学校選択制を導入したのと足並みを揃えて、政府は学力テストを抽出式から悉皆式(全員)に変更。並行して学校を統廃合。
 2012年には「やたなか小中一貫校」、2014年には「小中一貫校むくのき学園」の開校。どちらも部落解放運動の大拠点で、学校の統廃合攻撃が始まりました。
 2015年に釜ヶ崎近くに「いまみや小中一貫校」が開校。学校の統廃合攻撃が、部落解放運動解体、地域の団結解体を目的に始まりました。
 また、生野区では2015年に「生野区西部地域教育特区構想」を打ち出し、2017年に策定されたプランでは、小学校12校を4校に統合、中学校5校を4校に統合し、すべて「義務教育学校」(小中一貫校)にしようとしています。戦争情勢下で、在日の街に息づく団結を一気に破壊しようという攻撃です。
 そして今年、学力テストを教員の評価に反映して、4月には国内初の公設民営学校、水都国際中学・高校が開校されようとしています。

◆今こそ地域全体を改憲阻止のうねりに

 「改憲・戦争阻止!大行進大阪市」は2月28日に市役所近くで集会とデモを行いました。参加人数は決して多くありませんが、「目に見える実力の闘いを」と挑戦し、「自分たちの背後には数万の人がいる」と感じられる手ごたえをつかむことができました。
 集会に向けて地区交流センターの総力で学校周りをし、「あんなものは自分たちがやってきた教育ではない」という現場教員の怒りに触れ、集会当日には職場の教頭が「頑張ってきて下さい」と送り出してくれました。
 住民の闘いが始まっていることも見えてきました。生野区では、2019年4月実施のスケジュールを目前に、今でも説明会も協議会も拒否して地元住民が「計画を白紙撤回しろ」と闘っています。
 市当局は学校統廃合の理由として「子どもが減っている」ことをあげていますが、「○校減らす」でも「半分にする」でもなく、いきなり「全部小中一貫校に」というのです。
 市当局の凶暴さの背後には、戦争・改憲があります。戦争情勢が迫っているのに、教育労働者の団結、部落や在日の町に息づく団結を潰せていないことへのあせりです。

◆橋下以来の団結破壊攻撃との闘いが、すべてを獲得するときがきた

 大阪市では、下水道・地下鉄・バスをはじめ、多くの職場が民営化されてきました。私たちはその度に全力で民営化絶対反対闘争を打ち立て、多くのつながりや団結を生み出しながらも、多くの労働者が悔し涙を飲んで攻撃に耐えてきました。
 今、その悔しさや怒りが一つの団結体として形になる時がきたと思います。今の情勢から私たちの闘いを改めて総括することが大事です。
 橋下の激しい解雇攻撃の中で、私たちは現場から橋下打倒闘争を打ち立てました。「日の丸・君が代」強制に対する処分撤回闘争や入れ墨処分撤回闘争には多くの労働者が支援し、心を寄せてくれました。
 教育労働者への団結破壊としてかけられた「税源移譲 」
攻撃に対しても、繰り返し大阪市教組主催で集会が開催され、本部が無方針の中でも、現場組合員は怒りを燃やして団結を固め続けてきました。
 団結を守り抜いてきた中で、資本家階級の側がいよいよ自らの破綻を取り繕うこともできなくなり、多くの労働者住民がそのことに気づき始めているのです。
 社会全体を見回しても、米中の貿易戦争、米ロのINF条約撤廃など戦争情勢が迫り、総務省の「2040構想」では、自治体は半分の人員にし、AIなどの「破壊的技術」を導入すると言っています。しかしこんな情勢だからこそ、2・4沖縄の港湾ストや東京特区連のスト配置など、様々な地域・職場でストのうねりが始まっています。

◆改憲・戦争阻止!大行進を武器に地域のあらゆる怒りとつながっていこう

 大阪市労組交流センターでは、改憲・戦争阻止!大行進の闘いを議論する中で「職場という点を軸にして、地域という面全体を獲得する」という新たな挑戦に踏み出しました。この転換なしに、教育の民営化攻撃や学校統廃合問題は見えてきませんでした。
 議論の中では「なぜ市職の自分が学校に行くのか。それなら自分の職場でもっと組織化するべきでは」という意見も出ました。しかし職場の怒りが地域を獲得し、地域の怒りが職場を獲得する時代だと思います。この豊かな実践があるからこそ職場でも勝負ができる。この地域全体を巻き込んだ闘いの中で、職場にゼネスト指導部となる「もう一人の自分」を作り出していきたいと思います。