「緊急事態宣言」ではなく労働者の団結した闘いを!

(写真は昨年11月3日に日比谷野音で行われた全国労働者総決起集会)

新型コロナウイルスの感染が全世界に広がっている。世界経済に2008年リーマン・ショックをも超える大きな打撃を与え、感染拡大によって新たな世界大恐慌が現実のものとなってきた。

最高値を更新してきたNY株はこの1か月で1万ドル以上も急落し、金融市場の崩壊が実体経済の崩壊と一体で進んでいる。リーマン・ショックでは「アメリカの象徴」であったGMが経営破綻となったが、今回はアメリカ最大の製造業であるボーイングが経営危機に陥った。アメリカではレイオフ(一時帰休)や解雇の動きが強まり、失業保険の申請が急増している。国際労働機関(ILO)は世界で最大2470万人が新たに失業する可能性があると報じた。
アメリカを先頭に各国が自国防衛に動き始め、世界経済は一気に収縮を開始している。日本でも企業の倒産や工場の停止、一時帰休や解雇が起こり始めた。航空大手ANAは全客室乗務員(8000人)の6割を超える5000人を対象に一時帰休の方針を労組に提案、自動車最大手のトヨタは北米の全工場の生産停止に続いてリーマン以来となる国内5工場の操業停止を発表した。さらに中国経済の急減速により、パソコンや自動車、鉄鋼などの部品の輸入が半減し、供給網の寸断による日本経済への影響はこれから深刻化することは間違いない。

しかもオリンピックが延期となった途端に小池都知事は「首都封鎖」の可能性を言及し始めた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が社会の崩壊をもたらすのではない。感染拡大が明らかにしたことは、それ以前に社会が壊されていた現実であった。大規模イベントの中止は低賃金で働く非正規労働者の生活を直撃し、学校の一斉休校は給食が食べられずに飢えに苦しむ子どもたちの現実を明らかにした。都市封鎖が強行されれば事態は一気に悪化する。最後の最後まで安倍とともにオリンピックの通常開催を強固に主張し、そのために検査数を抑え、情報を隠し、感染拡大防止に有効な対策を取らなかったのは小池都知事だ。すべての犠牲を労働者に強いることは絶対にゆるさない。

すべては労働者と資本家の階級闘争の問題だ。アメリカのロサンゼルス統一教組は労働組合の要求として学校の休校を勝ち取り、同時に生徒や家族に対する支援資金を出すよう政府に要求した。コロナウイルス感染拡大防止の最前線に立つ都立病院の労働者は「住民のいのちを守る拠点になる都立・公社病院の独法化は許されない」と小池の病院民営化攻撃と闘っている。感染拡大を食い止める力は労働者の団結した闘いだ。命と生活を守る最大の力は、病院や介護の現場で、学校や自治体で、労働者、労働組合が団結を取り戻して闘いに立ち上がることの中にある。
事態は予断を許さない。しかしこれまでの闘いの経験と蓄積の中に現状を乗り越える道が必ずあるはずだ。1-3月の闘いはその端緒をつかんだ。職場、地域から始めた闘いをさらに力強く前に進めよう。