組合員の潜在的能力を引き出し、組織拡大を勝ちとる
組合員の潜在的能力を引き出し、組織拡大を勝ちとる
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
港合同、動労千葉とともに「闘う労働組合の全国ネットワーク」づくりに尽力してきた関西生コン支部の高英男副委員長が11月23日に逝去されました。故人のご功績を偲び、謹んで哀悼の意を表します。
関西生コン支部はこの1年あまりで2000名の組織拡大を実現しています。高副委員長はその先頭に立ってこられました。今回、動労千葉を通じて、関生支部の組織拡大にむけた文章を「月刊労働運動」に掲載させていただけることになりました。関生支部の組織拡大闘争から学び、全国の職場で闘う労働組合づくりに邁進しよう。
1.なぜ、組織拡大が必要なのか
(1)従来の獲得した成果を守り、発展させるため。
①関西地区生コン支部は、1965年の結成以来、業界および全労働者の年間所得を上回る賃金、労基法を上回る労働条件、会社が雇い入れる労働者は正社員であっても日々雇用であっても支部の組合員を優先するという優先雇用協定、完全週休二日制を含む年間休日125日、組合業務を個人の年休以外に有給で保障するという組合活動保障、職場での組合活動の自由、職場での労使対等、職場における自由権の確立など多くの成果を獲得しています。
②この成果は、闘いによって得られたものであることは言うまでもありません。労働者の権利を守るために、背景資本への追及・闘争で獲得した成果、集団交渉により中小企業を統一戦線に立たせ、我々の側に引き寄せる産業民主化を追求する闘い、企業の横暴を許さないために、資本家と結託した警察権力や暴力団との闘いにひるまず挑んだ先輩たち、1973年と80年には、資本家が雇った暴力団により、2名の仲間が殺害されました。数回にわたる武委員長拉致や殺害計画。大手資本や大手企業の利益を守るために、その手先である警察権力による弾圧で、逮捕・長期勾留された多くの先輩や仲間たちなど、支部に結集した仲間の汗と犠牲によって獲得した成果です。その成果、すなわち財産を守り、さらに発展させるためには組織拡大が必要です。
③セメント・生コン産業における、産業政策闘争の成果も数多く得られています。産業政策闘争の成果は、支部に結集した先輩や仲間が学習し、実践したことによるものです。生コン業界では、中小企業の生コン業者が原料であるセメントをメーカーから一方的な価格で取引を強要され、売り手のゼネコンからは価格を買い叩かれるという実態があることから、支部は中小企業の生コン業者を弱者と捉えて、生コン企業で働く労働者の雇用と生活を守ることを目的に、一致できるところで共闘しました。
具体的には、中小企業の生コン業者を協同組合に結集させ、生コン業者を価格競争させない仕組みを作り、適正な価格を収受すること、すなわち大企業と対等な取引を行うことで、生コン業者の経営が安定し、生コン業者で働く労働者の雇用確保と要求が実現することが可能になると位置づけをして実践してきたのです。
産業政策闘争により、多くの成果を獲得しましたが、支部に結集する多くの先輩や仲間の汗と犠牲により得た成果です。80年に、当時の財界のトップである日経連会長の大槻文平が「関生支部の運動は、資本主義の根幹に触れるもの。関生支部の運動は箱根の山を越えさせない」と発言。「日経連タイムス」のコラムに記載された。その発言後、すぐに大阪府警が関生支部特別対策チームを設立して、支部に結集した先輩や仲間に対して激しい弾圧を加えました。その資本と権力が一体となった攻撃、すなわち関生支部つぶしは、資本・権力側が、単組である支部の産業政策運動の成果を認め、恐れていることは言うまでもありません。
支部の産業政策闘争で培われた成果としては、業界をコントロールするという統治能力、めまぐるしい情勢の変化に対してすぐに対応する政策立案能力、企業がつぶれても組合管理・自主運営を行い、労働者の生活を確保する自主生産能力など、この間の歴史的な運動による成果としての知的財産があげられます。この知的財産を守り、さらに発展させるためにも生コン産業政策闘争と連動した組織拡大が必要です。
(2)「敵の攻撃は成果を奪う」ことから思想闘争が重要
①資本・権力による攻撃(手法)の基本は、競争・分断であり、目に見えるものとして、権利侵害・差別・弾圧など、目に見えないものとして「思想攻撃」があります。資本・権力側の物理的な攻撃よりも、思想攻撃の方が強いとの意識を持つことが肝要です。
労働現場(職場など)で起こる不当労働行為(不利益取り扱い、団交拒否、支配介入など)や権力弾圧は攻撃が目に見えてわかりやすいのですが、現象が見えにくい攻撃として、資本側の発言(支部は特殊・特別だ、支部が出来ると会社が潰れる・日雇いになる、支部は動員やカンパが多いなど)や大企業の利益を代表するマスメディアの報道(弾圧時のうがったTVニュース・雑誌「宝島」などの偏った記事など)、共産党による資本・権力側の発信(労働者の味方面をする。根拠のない支部の誹謗・中傷など)に惑わされず、打ち勝つための思想学習の強化が求められています。
②克服する闘いが求められています
資本側の目に見えない攻撃に早く気付くためには、常に学習することが必要です。物事の本質を見るということを意識し実践することです。新聞やニュースの報道は誰の利益になるのか?などと問題意識を持つこと。書籍や機関紙を読むときも、問題意識を持って読み、仲間と議論することが必要です。
支部が推進する生コン産業の産業政策闘争の優位性を学び実践することが組織拡大活動に大きく影響します。具体的には、大企業の利益を優先するという社会の仕組みの中で、中小企業の経営者と労働者の位置づけを分析し、80年代に産別闘争として掲げた、中小企業の二面性と協同組合論を学習して実践することで、資本側の目に見えない攻撃を克服することが出来るのです。
油断をすると、この間の闘いによって得た成果を奪われることになります。支部に結集した先輩や仲間の成果・財産を守り、発展させるためにも資本側の思想攻撃に負けずに克服するという、たゆみない努力が必要です。その日常の努力が組織拡大活動の成果に繋がるのです。
2.改善策の提案
(1)組合役員は、
ブロック組合員が確信を持った組織拡大を行うためには、ブロック担当役員の組合員に対する責任と姿勢が重要です。
ブロック担当役員は、ブロック組合員の信頼を得るために、
①組合員の立場に立って物事を考えること。
②組合員との約束を守ること。
③発言と行動を一致させること。
④結果をこまめに報告すること。
⑤組合員のミスを積極的にカバーすること。
また、ブロック担当役員は、他人や他のせいにするのではなく、自分はどうだったか?という自分を省みる自己反省が必要です。
さらに、執行委員同士の相互批判を支部組織部担当者が担うことを提案します。
組合員の不満や批判が表面に出ないのは、執行委員が互いに「助け合い」「かばい合い」「馴れ合い」を行い、誰にも傷がつかないよう「顔」をたてていたからです。
これは「役員(個人)の顔」をたてたのに過ぎず、「関生支部(組織)の顔」は丸つぶれとなっています。役員個人の顔と組織の顔とどちらが大切かは言うまでもありません。そのことは皆がわかっているのに、逆のことをやっているのです。
(2)まとめ
今期は、その期間に、ブロックが掲げた目標数を達成することが重要です。前期の先進ブロックのプロセスと成果に学んだ活動を経て、目標数を獲得することが求められています。
組合員の意識、組織拡大への使命感が弱い傾向が見られます。組合員の潜在的な能力を引き出すためには、客観的な事実を検証して、間違っていることを気付かせるなど、質的な強化が支部執行部に求められています。