■闘う合同・一般労組東北石けん分会に対する地労委の反動命令弾劾!必ず解雇撤回を勝ち取る!

2019年7月31日

月刊『労働運動』26頁(0286号07面01)(2014/01/01)


 

■闘う合同・一般労組

東北石けん分会に対する地労委の反動命令弾劾!必ず解雇撤回を勝ち取る!
 

 

(写真 地域の仲間と職場門前闘争)

みやぎ連帯ユニオン
 昨年10月29日、宮城県労働委員会は東北石けん労働組合(現みやぎ連帯ユニオン・東北石けん分会)の不当労働行為救済申し立てを棄却する反動命令を出しました。絶対に許せない! 私たちは11月12日に中央労働委員会に再審査の申し立てを行いました。

新工場建設で組合員を排除

 東北石けん分会(以下分会と略)の仲間は、仙台市の町工場で無添加の石けん(「坊ちゃん石けん」、「赤いほっぺ石けん」)を作っていた労働者です。2007年に労働組合を結成し、地道に学習会などを続けていました。08年、突如として仙台近郊の名取市に新工場建設・移転の話が出されます。高齢により石けん事業の継承者を探していた東北石けん代表取締役佐藤吉範が畑惣商店・畑文雄に石けん事業を継承することで合意し、畑文雄が東北石けんの代表取締役に就任し、その主導で新工場の建設が始まりました。
 移転の話は労働者にはまったく伝えられず、初めて労働者が知ったのは新工場の建設が進んでいた08年の7月でした。新工場の予定地は仙台中心部から約20キロ離れています。新工場での労働条件はどうなるのか、労組はそれを確かめるため労使協議を要求しました。同年9月の第一回説明会には初めて事業の継承者として畑文雄が出席し、労組は今後の労働条件の変更については労使協議の原則に基づいて行うことを佐藤と畑に約束させました。
 しかし、佐藤と畑は労使協議の約束を履行せず、協議の前提となる現行労働条件の確認を拒みつづけるばかりか、新工場での労働条件通知書を組合の頭越しに従業員一人一人に交付してきたのです。組合破壊・切り崩しを狙った不当労働行為そのものです。組合は怒りに燃えて全組合員の通知書をつき返し、11月26日に団交を要求しました。それに対して佐藤と畑は11月28日の新工場の上棟式で協議・意思一致し、翌11月29日の朝礼で従業員全員に09年2月末での会社廃業と従業員全員解雇を通告したのです。
 労働組合排除の解雇を「合法化」するために佐藤と畑は何を行ったか? 彼らは事業継承のスキーム(枠組み)を東北石けんから畑惣商店への雇用の継承を伴う株式譲渡から、雇用を引き継がない資産の個別売買方式に変更しました。そして畑文雄は使用者責任を逃れるため、12月中旬に東北石けん代表取締役を退任しました。畑惣商店・畑文雄は石けん製造事業のすべてを継承しながら労働組合員を新工場から排除し、組合脱退者を新工場に採用し、09年3月から石けん作りを新工場で再開しました。労働組合排除の不当労働行為そのものです。

解雇撤回を求め3波のスト!

 労組は地域の仲間とともに解雇撤回を求め、09年冒頭から3波のストライキを打ち抜きました。そして2月末の解雇攻撃に対し、新工場門前での就労要求闘争と地労委闘争を開始しました。組合員はアルバイトをして生計を立て、時には悩み、衝突しながら、徹底討論・徹底一致で5年にわたる解雇撤回闘争を貫いてきました。2010年7月にみやぎ連帯ユニオンに加入し、アルバイト先でも組織化・分会作りに挑戦し、誇るべき拠点分会として闘ってきました。

地労委命令の破綻点

 私たちは地労委闘争を資本を徹底的に糾弾する闘いとして自己解放的に闘い抜いてきました。そして地労委の審理の中で資本の不当労働行為を徹底的に暴きました。今回の地労委の反動命令は真実を歪め、資本を守る立場から判断しているがゆえに、きわめて矛盾に満ち、脆弱なものです。
 地労委命令の破綻点の第一は、組合員全員の解雇を東北石けん・佐藤の高齢化・廃業を理由とした解雇であるかのように描きあげ、解雇には合理的な理由があり、不当労働行為ではないとしていることです。そしてそのために解雇予告日を08年11月29日から09年1月16日にねじ曲げています。しかし、佐藤と畑が労組を嫌悪して解雇を行ったことは明白です。
 破綻点の第二は、不当労働行為に当たらないという結論を導き出すために、この事件の争点を偽装解散であるか否かにあると恣意的に設定し、この事件は偽装解散には当たらない、だから不当労働行為ではないと結論付けていることです。
 偽装解散とはA社が労働組合を排除するために解散し、全員解雇し、看板だけを付け替えて新たにB社を設立し、選別再雇用するということです。A社の支配がB社に完全に及んでいるなかでの不当労働行為です。東北石けん労組への不当労働行為は偽装解散による不当労働行為ではありません。地労委は労組が偽装解散による不当労働行為だと申し立てたと言っていますが、私たちはそんな主張はしていません。
 破綻点の第三は、資本による労働組合への団結侵害を排除するという労働委員会の建前を投げ捨て、完全に資本の側に立って判断を下していることです。例えば、畑文雄が労使協議要求に応じず、労働条件通知書を組合の頭越しにひとり一人に通知したことに対し、地労委は「組合から提出された確認書に対する労働条件の対案として提出されたものと考えるのが相当である」と言っています。組合として対応を求めているのに個別に通知することが組合無視・切り崩しであることはイロハのイです。地労委はそんなこともわからないほど腐りきり、資本側に立っているのです。

全金本山労組に続き、解雇撤回かちとる

 5年にわたって分会とユニオンが解雇撤回闘争を意気高く闘いぬけているのは、マルクス主義をみやぎ労働学校から体得し、自らの闘いを新自由主義を打倒する一翼としてとらえ、国鉄闘争と一体で闘い抜いているからです。地労委が資本の御用機関に成り下がったことは、国家がますます労働者人民の怒りの標的となるということです。
 私たちの大先輩、全金本山労働組合は解雇を有効とした最高裁判決をぶっ飛ばして2名の解雇撤回・全員の原職復帰を勝ち取りました。私たちはその闘いに続き、解雇撤回を勝ち取る決意です。門前で、地域で、職場に労働組合をよみがえらせ、つくるために闘います。中労委闘争へのご支援をよろしくお願いします。