1月8日国鉄闘争全国運動呼びかけ人会議の発言要旨

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0299号05/01)(2015/02/01)

「国鉄改革法23条は違憲だ」と真正面から問う!

暴かれた真実は最高裁を徹底的に追い詰めている!

―国鉄闘争全国運動は国鉄闘争を継続発展させる唯一の運動体だ―

(1月8日国鉄闘争全国運動呼びかけ人会議の発言要旨)

葉山岳夫

(弁護士・動労千葉顧問弁護団長)

 2014年の暮れに最高裁判決が来るのではと構えていましたが、そうならなかった。動労千葉の上告理由については最高裁も簡単に切れない状況にあると思います。
 一つに、一審・二審で、名簿不記載は、動労千葉の組合員であることを理由とした不当差別であり、その適用自体も不当労働行為であると認定された。これは事実認定になるわけです。最高裁は事実認定をひっくり返すことはできない。それをベースにしてどうするかと検討している状況だと思います。
 その大きな枠として高裁の難波判決では「不当労働行為があろうとなかろうとJRに不採用になった者は清算事業団に行く。国鉄改革法ではそうなっている」と開き直った。これで不当労働行為があれば解雇撤回という路線をふさいだ。それが国鉄改革法23条。不採用者はことごとく清算事業団に行く、と。
 これを粉砕するため、国鉄改革法そのものが憲法違反であるとを上告理由で批判しました。
 23条については、作成の沿革自体も問題がある。当時、職員局次長だった葛西敬之と最高裁調査官だった江見弘武が共謀してつくりあげた。 江見が葛西に新規採用という形で構成したいと進言した。〈国鉄は清算事業団と一体。国鉄から清算事業団に行くのが通常のルート。新会社のJRに行くのは新規採用。そのために名簿に記載された中で選ばれた者がJRに行く〉と。これはとんでもない虚構です。
 そうなれば名簿記載の過程で脱退強要など不当労働行為もやり放題です。不当労働行為をやった場合、通常は制裁措置として元の位置に戻すことが原則です。しかし、名簿作成に関わるので不当労働行為についても何ら制裁措置がない。そういう状況の中で職場もメチャクチャにする。
 そういう改革法をわずか1週間足らずの審議で一括審議、一括採決で全部通した。その根底はやはり国鉄改革法であり、その中心は23条。その違憲性を指摘することを上告理由の中心軸の一つにした。
 法律上はどうあれ、実際上は職員も鉄道も何もかも国鉄から新会社に引き継がれた。しかし人事だけはそういう形でぶった切った。この違憲性が最高裁にとって大きな問題とならないはずはない。どう処理するか頭を悩ましているのではないか。
 もう一つは、井手正敬の『国鉄改革前後の労務政策の内幕』を暴いた問題は非常に大きい。
 1987年の恐らく2月2日午後、葛西と井手の2人が設立委員長の斎藤英四郎に会い「労働処分を度々受けた人間についてこのまま採用するのはいかがかと思う」と説得。斎藤は「その通りだ」となって、葛西が不採用基準を作る状況になった。
 それが白石判決でも難波判決でも不当労働行為と断定された。改革法23条4項に「設立委員会が行った行為は新会社が行った行為とする」という条文がある。設立委員会が行った不当労働行為は、新会社が行った不当労働行為になる。
 そうすると、改革法23条で国鉄とJRを分離したが、23条4項によればJRが不当労働行為を行ったことになる。仮に改革法が違憲でないとしても、今ある改革法の中でも設立委員会の行った不当労働行為は、新会社JR東日本の行った不当労働行為になる。
 高石さん、中村さんをはじめとした9人の名簿不記載行為は、新会社JR東日本が行った不当労働行為となる。そうならストレートにJRに復帰するのが当たり前だ。そういう意味からすると、年末にばっさり切る形には到底できるものではなかった。

長谷武志

(全金本山労組副委員長)

 どんな不当労働行為があっても、当該がつぶれれば資本は生き残る。しかし闘い抜いて団結を守り抜いてきた結果、敵にボロが出てきた。闘って展望を切り開いた所に感銘を受けました。
 改革法と労働者派遣法の施行は1986年。74~75年恐慌以降、民間中小で激しい争議団闘争が起きた。資本の延命のため労働者に犠牲を転嫁すれば一気に階級対立になる。だから国鉄改革法はそこをすり抜け不当労働行為にならないようにするため制定した。労働者派遣法も考え方としては同じだと思う。
 民間の労働組合も、労戦統一と職場における減量経営、合理化と組織破壊攻撃と闘い抜いてきた。私たちはそこを闘い抜いて21世紀まで続けている。
 国鉄闘争は民間の労働組合にとっても一つの闘いととらえ、もう一回ここで団結しよう。その考え方をはっきりさせることが重要じゃないか。

下山房雄

(署名運動呼びかけ人/九州大学名誉教授)

 この全国運動は一つの潮流をなしてきたと思う。
 34カ所で国鉄集会や8万4千の署名を集めているとか。自治労や日教組からも集まっている。僕と似たような気持ちの人がかなりいると思う。この潮流以外はもう国鉄分割・民営化問題は終わったと処理している。
 たとえば社会保険庁解体について年金機構法は改革法23条とまったく同じ条文。
 社会保険庁のことは、全労連も必死にやって社民左派も一緒にやってますよね。その中で改革法23条と同じ条文を使ってやっていることはほとんど言われない。それは、国鉄の方は4・9で終わった、変わったとしている判断。
 しかし全国運動の潮流はそう判断しないでまだひっくり返せる可能性があるとがんばっている。私はその部分にだけコミットしているが、これからやれることをやりたいと思っている。

芹澤壽良

(署名運動呼びかけ人/高知短期大名誉教授)

 国労を中心とした国鉄闘争の終結後、抵抗を続けているグループがリニア建設に対する闘いを重視していて、これと連帯しながらJRに抵抗して闘いを継続しようという方向で一致してきています。
 リニア問題はかなり大きな影響を及ぼして、これからいろんな運動が起きていく課題ですから、この点はこちらも非常に重視して幅広い連帯を作っていく。これはぜひ念頭に置く必要があると思います。
 櫻井よしこの記事(11・3産経「民間労組、官公労決別を」)はかなり正確な認識を持っていますね。これは周辺が運動分析をかなりやった成果を彼女がまとめている。これの持っている意義は非常に重要です。そういう意味で徹底的に批判する必要があると思います。やはり労働運動の現状に対する危機感を支配層の側なりに相当持っていることを示している。

入江史郎

(スタンダード・ヴァキューム石油自主労組委員長)

 これから対決軸になるかなと思っているのは安倍政権の賃上げ攻勢ですね。これは闘いの俎上に労働運動の側からきちんとのせないといけない。
 そこにわれわれの運動と4・9政治和解で鎮圧されている人たちも含めた全国の運動がつながっていく。とりあえずのテーマで言えば自治労や教労だったり。櫻井よしこの記事に出ているが、敵は敵で自分たちの生命線をよくわかっている。
 重要なことは、どういう最高裁判決が出ようが改革法を俎上にのせられる条件が28年闘ってようやくできたこと。われわれの国鉄闘争とこれから対象になっている労働者が結びついていけば分割・民営化の時以上に大がかりな闘いができるんじゃないか。
 安倍とか櫻井とか賃上げを語るのに一番ふさわしくないやつが率先しているところに一番の弱点がある。今年はそこにかけたい。

伊藤 晃

(日本近代史研究者)

 署名と34カ所の集会は成功したと思います。特に、この集会で拠点づくりの出発点、契機をつかめる段階になるかなと思ったが、これを短期的に結びつけることは難しいということが分かったと思います。
 裁判に勝つにしろ負けるにしろ、分割・民営化の意味、運動体のもっている意味、こういったものをはっきりさせる。そのために署名のつながりを活かす。そのことを大きな目標にする必要があると思います。
 全国の運動拠点をつくるということについては、私たちは運動の考え方そのものを転換しないといけない感じがします。このままでは私たちの運動の範囲で留まってしまう。やはり署名に加わってくれた人に充満する言葉と意思を、そのまま一つの
運動として表現する。そういう努力をする必要があると思いました。
 櫻井よしこさんの記事が話題になっています。地方創生と言うとき、地方で反乱を起こす労働運動がある。それが自治労であり教員運動であるわけです。署名は自治労と教組の人が多いわけだから、その運動が今の社会の中で持っている意味を伝えていく必要がある。