国際連帯特集 歴史教科書国定化は第2の維新宣言だ( 理念交流 )

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0310号04/04)(2016/01/01)

国際連帯特集
「声明書」歴史教科書国定化は第2の維新宣言だ!
全国教職員組合 イソンデ全教組ソウル支部長 提起( 11・15韓国での理念交流 )

国内の全てのものが「閣下」の意のままに左右される時代が再び来ようとしているのか

 人はそれぞれ異なる哲学と歴史意識で生きていくのが当然であるにもかかわらずパククネ政権は自分たちの趣向に合う歴史観だけを許容するというファシスト的意志を歴史教育で貫徹しようとしている。全教組は今日14時に教育部が発表する歴史教科書国定化推進を「反歴史的暴挙であり第2の維新宣言」として糾弾する。マスコミ掌握に続いて教育過程掌握、そして歴史教科書掌握をとおして、育って行く子どもたちの思考まで統制することで親日残滓勢力と腐敗した財閥の連続的な支配のための足場を整えようとする欲望の前には数多くの歴史教育者、歴史学者、教育主体、市民たちの国定化反対の訴えは無意昧だった。親日反逆行為と帝国主義、そして独裁体制を正当化する曲がった歴史観に自ら絶対性を付与してこれを批判する常識的な国民たちを「敵」に追いやる魔女狩り式の理念戦争のやり方でパクチョンヒ独裁政権と維新鉄拳統治、ヒットラーと国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ) 亡霊がちらつく。
 国民を意識改造の対象程度とみなす倣慢この上ない政権は人を敬う政治に対する期待を完全にしぼませる。歴史教科書国定化強行は一つの科目の教科書問題ではなく民主主義に逆らって逆走する我が社会の危機を克明に示す事件だと言うことができる。

反民主政治権力が教育の自主性を壊している

 進歩教育監が国民たちの支持で大挙当選すると教育監選挙自体を「政治的」だと罵倒して選挙自体を無くしようとした勢力が厚顔無恥にも政治権力の直接行使で教育を揺さぶっている。教育が外部の不当な干渉に影響を受けず教育専門家たちによって主導され貫徹されなければならないという憲法精神が否定されているのだ。政治圏がこのように教育の内容性に露骨に介入するのは民主化を勝ち取った後はほとんど無い事例だ。教育をすっかり政治権力の侍女に作り上げるという考えでない限り「閣下」の意向に従って教科書を変える妄動は可能ではない。

政権の歴史教科書画一化は国際基準の正反対方向に進むものだ

 国定教科書制度は文民政府時代の1996年に廃止され、検定、認定体制が級別、科目別に時差を置いて適用された。その後、学校現場では教科書による問題が発生しなかった。政府によって認定された教科書は教育専門家の教師たちの教科協議会と学校運営委等をとおして玉石が分けられて最終探択される。世界的に検定、認定体制を超えて自由発行教科書に進む趨勢にある。学問の自律性を保障する現代民主国家ではたった一つの教科書だけを認定するのは時代錯誤の発想なのだ。
 しかし疎通を拒否して強権で怒鳴りつける政権によって国際的な基準や勧告は簡単に無硯されている。国連2013年総会で報告された歴史教育指針は「歴史教育は愛国心を強化して民族的な同一性を強化、公的なイデオロギーに従う若い世代の育成を目的としてはならない。
幅広く教科書が探択され教師が教科書を選択することができるようにしなければならず、教科書の選択は特定イデオロギーや政治的必要に基盤を置いてはならない。歴史教科書(内容)の選択は歴史学者に任せなければならず、特に政治家等の他の人たちの意思決定は避けなければならない」と勧告している。これは進歩理念ではなく常識に基礎を置いたガイドラインだ。ところがパククネ政権はこれと正反対の方向に進んでいる。画一化された官製歴史教科書の強制は、「常識に対する没常識的な挑戦」と言える。

右翼団体らと韓国教員団体総連合の軽挙妄動を嘆く

 政権の国定化に調子を合わせるいわゆる「愛国」を標傍する団体とニューライトの学者たちは現行教科書が未来世代を左傾化する洗脳教育のためのものだと罵倒して自分たちの歪曲した歴史観で学生たちを洗脳してくれと注文している。セヌリ党院内代表だという議員は教科書執筆陣に全教組加入教師たちが何名か含まれていることを針小棒大にして歴史学会と歴史教育界の業績で作り出した成果物を「全教組教科書」と命名して理念戦争の引き金を引いた。全教組を利敵性論難のある団体と称する妄言も忘れていない。また右翼団体らは国定化支持宣言者名簿に教師たちの名前を盗用する不道徳な行為も辞さないのだから国定化賛成陣営の醜態は子どもたちが見ても恥ずかしいものだ。
 教総は幹部級会員たちだけを対象にしたアンケート調査の結果で国定化賛成が優勢だという結論を出して、「国定化の条件付き賛成」というとんでもない立場を出した。教総が主張するとおりに社会的合意過程によって均衡を持ったただ一つの教科書を出すということは現実的に不可能だ。国定歴史教科書は結局、歪曲した歴史意識にとりつかれた親政権性向の執筆陣によって作られるしかない。また、「大韓民国の歴史を正しく知り、正す全国民運動」を展開するということは政権の国定化推進に第2中隊として立つということに他ならない。
 教総が教育者の良心として国定化に反対することを願っていた全教組は、上半期の年金改悪局面と同じく、現場の意見を依然として裏切る教総上層部の姿を見て嘆かしさを禁じ得ない。

第5共和国教科書、問題だらけの教学社教科書が国定歴史教科書の仮面をかぶることになるだろう

 国史編纂委員会がいわゆる「統合」教科書を出す時多様な執筆陣を組むことは不可能だ。政権の嗜好に合わなければ左派変更といいなされて学者的良心を持つ人たちが執筆陣に立つはずがない。第5和国の国定歴史教科書は12・12政変と光州虐殺等を美化したが、当時この教科書を作った研究陣だった人物が現在の国史編纂委員長だ。彼は去る2013年教学社教科書の親日・独裁美化論難が提起された当時、問題の教科書を擁護する声明書に署名しており、一時期国定化に反対していた態度を変えて今はかえってこれを主導している。このような人物が責任者になっている機関に歴史教科書を注文することは猫に魚をあずけるというものだ。彼らが作る国定教科書には親日独裁化と意図的歴史歪曲が盛られることになるだろう。全斗煥独裁時代の教科書への回帰、あるいは教育主体たちに拒否されていた教学社教科書の帰還が遠くはない。
 政権が押し出すいわゆる「自虐的」歴史観克服という主張はどれほど虚構であるか。歴史から教訓を得ようとすれば暗い歴史の断面もさらけ出して教育しなければならない。ドイツがナチの犯罪に対して子々孫々教育するのは模範的な姿であり、我々は日本にこのような歴史観をたえず追究してきた。政府が親日と独裁を隠蔽する教科書を作り出したならば日本の極右勢力の歴史歪曲と中国の東北工程(中国の歴史研究国家プロジェクト)を批判することができる根拠を自ら崩してしまうことになるだろう。

親日・独裁美化教科書は憲法を否定する

 我が憲法は「大韓民国は3・1運動で建立された大韓民国臨時政府の伝統と不義に抗した4・19民主理念を継承して、祖国の民主改革と平和的統一を使命とする」と規定している。大韓民国の正当性が独立運動と民主改革にあり親日清算と民主主義発展が歴史的課題であることを宣言したものだ。これを否定する親日・独裁美化教科書は大韓民国の憲法を否定するものであるから国定教科書として出てきたからといって受容はできない。日本帝国主義に対する独立運動の精神と4・19、5・18、1987年反独裁民主化運動を貶めるねじ曲がった歴史叙述は教科書の多様性保障の範囲を超えるものだ。大韓民国の憲法を守護しなければならない大統領が憲法を否定する歴史教育を強要するならば国民も大統領を否定するしかない。

全教組は歴史教科書画一化阻止のために、民主市民たちと連帯闘争を行うものであり、国定化教科書を拒否する

 歴史教科書国定化は歴史学会の学問的業績と成果をそっくり無視する政治圏の越権だ。歴史教科書は歴史学会と歴史教育界に任せて政治権力は教育から魔の手を引っ込めろ。政府は歴史教科書国定化推進を今すぐ放棄して国民に謝罪しなければならない。
 全教組は過去の独立運動に臨んだ烈土たちの心情で歴史歪曲を画策する親日残滓勢力に対して闘う。国定制歴史教科書推進を阻止するために良心的な民主市民たちと共に織烈に闘争するものであり、たとえ国定教科書が作られても我々の歴史教科書として認めない。授業のための教材と資料の選別及び再構成は教育的、学問的良心と専門性を備えた教師の固有領域に属する。教師に付与された裁量権を使用して歪曲された歴史教科書から我が学生たちを保護して多様な歴史解釈への接近を保障して批判的で自主的な知性を向上することができるように助けるために苦労を惜しまないだろう。
 さらに、来る10月14日「韓国史教科書国定化阻止ネットワーク」拡大運営委員会の結果と歴史教師たちの集まりでの論議結果を基に教育主体、学会、市民杜会が一緒になった対応方向を模索し実践するだろう。(確定方策は追って発表予定)

○対国民署名展開:国定化中断要求、国会立法措置をとおした国定化中断要求
○司法的対応:仮処分申請、法律諮問をとおした憲法訴願
○教師不服従運動宣言発表とお話共同授業展開
○ろう城及びろうそく集会
○行政予告期間内の汎国民大会開催:市民たちと共にする闘争で国定制を白紙化
○国連(UN)、国際教員団体連盟(EI)等国際機構に状況を伝え、立場発表を要請
○国定教科書の問題点分析を発表
○代案教材開発と民主市民教育拡大のための市・道教育監たちとの協議
○教授団実践行動を組織
○国定制白紙化及び教育過程立法公約で総選挙政局対応
○マスコミでの討論と寄稿に積極参加

2015年10月12日 全国教職員労働組合

特集0310

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