第18回出向無効確認訴訟ー証人尋問 第3回 JR証言

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0323号04/01)(2017/02/01)

第18回出向無効確認訴訟ー証人尋問 第3回
JR証言「一人で清掃・検修・運転をやらせ、人員を減らせば利益があがる」

★強制出向3年目を前に「JRに戻せ」とすとらいき!(2016年9月、10月)

(写真 ★出向無効確認訴訟にむけた東京地裁前行動【2016年10月】)
(写真 動労千葉 幕張車両センターのスト )
(写真 動労水戸 勝田両センターのスト)
(写真 動労連帯高崎 籠原派出所のスト)

 1月13日、第18回動労総連合・出向命令無効確認訴訟で第3回証人尋問が行われた。今回を含めて3度の証人尋問における裁判闘争では、すべて大法廷を埋め尽くして闘い抜いた。組合側は田中康宏委員長、JR側は本社運輸車両部の池田裕彦証人が証言に立った。

田中委員長がJR・裁判所圧倒

 はじめに証言にたった田中委員長は、動労総連合としてなぜ外注化に反対してきたのかを明らかにした。その内容は、①労働者の雇用と権利を破壊する、②バラバラにされることで鉄道の安全が崩壊する、③組合の団交権や争議権を事実上形骸化するというものだ。
 また出向協定について、「本人の同意を尊重する内容になっていないから締結しなかった」「シニア制度のときは協約がないからクビ、今度は協定がなくても強制出向ではダブルスタンダードだ」と強制出向の不当性を追及した。
 さらに、偽装請負をごまかすために、通告をただの「情報の提供」とごまかしていることについて、「通告がもっとも厳格な指示行為であることは、鉄道業務のイロハのイだ」と追及した。
会社側の反対尋問は過去の判決文の確認がほとんどで、まともな反論もできなかった。また、スト破りのための「覚書」について、臨時作業の条文と「同じ意味のことを千葉ではあえて覚書にしただけ」と言い放った。そもそもまったく性質の異なる条文を、スト破り=不当労働行為を隠すために、「同じ意味だ」などというごまかしをやっているのだ。

「一人で様々な仕事」の重大証言

 JR本社の池田裕彦の証言は、許しがたい発言とごまかしの連続だった。
 とりわけ外注化によるコストダウンについて、「労働単価を下げるわけではない」「一人の人が構内運転も清掃もするなど様々なことができるようになれば、人員が減らせてコストも下がる」と重大な証言をした。今後、同じ労働者に、検修も構内運転も清掃も行わせる計画なのだ。
 こんなことをすれば、労働者には凄まじい労働強化が強制され、鉄道の安全が根本から破壊されることは明らかだ。
 また、エルダー社員を原則出向させていることについて、「大量退職でJR本体の社員が急減する。安定的に業務を行うためにグループ会社と一体となった業務体制を構築することが必要」として、「エルダー社員の力を借りてグループ会社の体力をつけるため」と説明した。
 結局、エルダー制度が外注化を前提としたものであり、「雇用の場の確保のための外注化」という主張がウソだと完全に暴かれた。さらに、出向の必要性について、「グループ会社と一体となった業務体制構築のため、まず現に業務を行っている人に業務を行ってもらい、グループ会社の体制を整える」と証言した。
 しかし、コストダウンや技術継承のためになぜ外注化でなければならないのか、具体的には全く説明されていない。
 裁判長にまでこのことを追及され、「グループ会社の人たちの、清掃だけでなく色んな仕事がしたいという希望を叶えるため」と、あたかもCTSの仲間のためかのように騙った。そんなウソをつくのは、最低でもCTS労働者の賃金をJR並みにしてからにしろということだ。
 さらに、「出向者一人ひとりがいつ解除になるかは決めていなかった」「解除は状況に応じて判断する」「20代、30代は様々な業務についてほしい。年長者は再雇用との兼ね合いがある」として、「原則3年」が全くウソで、国鉄採は初めから戻す予定のない「実質転籍」だったことも完全に明らかになった。
 また、鉄道事業法と偽装請負の関係について追及され、「乗務員の資質管理はJRが行っている」「運転管理者は、幕張ではJR幕張車両センター所長」と証言した。結局、CTSなどは請け負った業務の最終的な責任を取ることができないことがはっきりしたのだ。
 他にも、CTSなどが外注化から4年たっても基礎的訓練をJRがやらざるを得ないほど技術・経験のない会社であること、出向者の選定も外注化された職場の労働者を丸ごと出向させただけであることなどを暴いた。 3回の証人尋問では、組合が完全に圧倒した。職場闘争と裁判闘争一体で外注化粉砕まで闘い抜こう。

 次回は、6月7日11時~ 東京地裁527法廷

特集0323

Posted by kc-master