国鉄闘争全国運動呼びかけ人会議 不当解雇から30年! 2月国鉄集会へ!

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0323号03/01)(2017/02/01)

国鉄闘争全国運動呼びかけ人会議から
もうたくさん!民営化と競争原理をやめろ!
不当解雇から30年! 2月国鉄集会へ!

(写真 11・12民主労総大会で演壇に登った田中委員長)

 国鉄分割・民営化から30年を迎える2017年2月、全国で国鉄集会が開催されます。昨年12月に国鉄闘争全国運動の呼びかけ人会議が開催されました。そこでの論議を編集委員会の責任で掲載します。不当解雇から30年、第二の国鉄分割・民営化との闘いは、社会丸ごとの民営化、安倍の「働き方改革」をめぐる最前線の攻防です。「民営化は悪」という世論を作りだし、韓国に続くゼネストへ決起しよう。

●田中康宏委員長 

 2016年は国鉄闘争全国運動という形で国鉄闘争を継続できて本当によかったと感じられる一年でした。闘いの総括と2017年国鉄闘争の課題を中心に報告します。

▼11月東京・ソウル国際共同行動の意義

 11月集会をどう訴えたら日本の労働者に通じるのか数年間悪戦苦闘してきました。今年は国際共同行動を民主労総ソウル本部から呼びかけられ、韓国で民主労総の闘いの息吹を受けることを通して11月集会が求心力を取り戻すことができたと思います。その求心力を本当の力にすることが問われています。
 2017年は11月集会20年の節目です。僕らは小さな存在で、民主労総は80万人の存在で、ソウル地域本部も17万の組合員を擁している。なぜこういう関係が築けたのか。一つは、国鉄分割・民営化以来30年間の動労千葉の闘いが土台にあり、信頼関係が生まれていること、二つは、小さいながら全国の仲間たちを組織して日本の労働運動全体の再生、復権に向けて努力をしていること。この二つが信頼関係を作っていると思います。この努力を続けることが、闘う労働組合を再生する展望です。
 それと本当に良かったのは、訪韓闘争に220人の各地の労働者が参加したことです。100万人がソウルに結集する歴史的闘いを見て、日本に帰って本当に生かせれば、全国の無数の小さい火になると思っています。訪韓闘争の中で、歴史が動き始めたと強く感じる。全世界の労働運動の先頭の位置に民主労総があると思いました。韓国では30年余りの新自由主義や資本主義の延命策が労働者にもたらしたことへの深い怒りが噴出していると感じました。しかも民主労総という社会の根本的変革を掲げた階級的労働運動が全体を牽引している。しかも1000~1500の団体が主催母体になって100万~200万人の行動が土曜日ごとに組織されている。これが労働運動の歴史的な使命だと感じて帰ってきたところです。
 民衆決起に繋がったのは、2015年4月から1年数カ月にわたる民主労総が挑み続けたゼネストの挑戦です。ハンサンギュン委員長ほか執行部が大弾圧で獄中に奪われたことや、様々な政治的傾向を持った産別労組を一つに団結させてゼネストを必死になって追求すること自体が困難な課題だと感じていましたが、努力をやり続けたことです。そして、2013年鉄道労組の23日間のストライキが始まりでした。大弾圧を受けながら「一労組のストライキで民営化に反対する世論の7~8割を獲得する驚くべき事件であった」と韓国で報道されたように、「競争することをやめよう」と世論を獲得した。本質的には資本主義を否定する思想、価値の転換を生み出し、100万~200万の決起が起きました。
 これからどう前に進むことが出来るか注目しています。
 一つは、ハンサンギュン委員長も委員長代行のチェジョンジンさんも「60年4・19革命、87年の労働者大闘争は未完の闘争だった。60年は軍事クーデターで潰され、87年はノテウ政権に簒奪された。今度は大統領の顔を変えるだけの闘争ではない」と提起しています。
 二つ目は、この過程で民主労総自身が組合員を200万人に拡大することを打ち出した。そして2017年に最低賃金1万ウォン要求を焦点にした政治ゼネストをめざすと言っている。
 三つ目は、政治勢力化を目指すと言っている。ものすごく大きなことだと思っています。
 2017年にめざした政治ゼネストが前倒しになった形ですが11月12日の百数十万の決起が引き金になって、民主労総が「11月30日に自分たちは4時間のストライキに立ち上がる。学生は授業をボイコットして欲しい。大学教授は授業をやめて欲しい。商店は店を閉めて欲しい。農民は仕事をやめて欲しい」と前倒しの形で打ち出し、一旦挑戦した。鉄道労組が74日間の史上空前のストライキを打ち抜いた。一旦は集約されているが、本当に決定的なことだったと思う。この過程で1週間、貨物トラック労働者が連帯してストライキに入って物流が完全に止まる力を持ったのだろうと思います。鉄道とトラック労働者が連携してストライキを追求できれば、新しい労働運動の展望が切り開かれるのではと思いました。
 この闘争の中から、なによりも僕らが日本で何に挑戦するのか議論し、どんなに小さくても追求しなければいけない問題だと思いました。日本では「働き方改革」や「第2の国鉄分割・民営化」を進めようとしている。この過程で「民営化は社会にとって悪だ」と世論を獲得するまでいかなくても、鉄道や公共サービス部門で働く労働者全部に「ああ、そうだ」と獲得する運動をやることが、民主労総に続く一歩ではないか、2017年に挑戦したいと思います。

▼国鉄1047名解雇撤回闘争

 1047名闘争をめぐって11月24日、JR東日本から回答ならざる回答がありました。2回目は、「JR設立委員会の斎藤英四郎委員長が自分が不当労働行為であった不採用名簿を作成しろと命じたと自身が語っている。このことについてどういう見解か」と問うたところ、「当事者ではないから回答しない」とありました。第1回目の回答は「裁判の当事者ではないから」、今度は「不採用問題の当事者ではない」という意味だそうです。「JR設立委員長・斎藤英四郎は確かにJRの当事者です。しかし井手文書については関知しません」と、何とか逃げを打とうとしている。地道な取り組みになると思いますが、この点をつかんで離さず2017年決定的に追及し続ける。次の申し入れを出す、団体交渉を開けと追及するなどテーブルに引っ張り出していきたい。
 動労総連合に結集してくれている元国労闘争団がいます。動労総連合1047名協議会のような形で、この旗の下にもう1回結集して欲しいというアピールなども発して、動労千葉争議団と一つになってやろうと総連合大会では決めました。2月くらいまでに立ち上げて国鉄集会で公けにし、アピールを出して全国的に一歩踏み出しているところです。一つの挑戦としてやってみたいと思っています。

▼第2の分割・民営化攻撃 ※運転士への締め付け

 3月ダイ改を期して、異様な形で運転職場へ締め付けが始まり、各支部とともにどう立ち向かうか挑戦し続けてきました。背後にあるのはJR総連問題だと思います。運転職場を徹底的にやれば東労組革マルとの関係を断ち切って第2の分割・民営化に進めると意図してやったことは間違いない。
 ハンドルからちょっと手を離せばそれを口実に当局が攻撃して処分、配転が行われる。動労千葉は、当局に抗議行動を展開し、運転士が危険だと思ったら背面カーテンを降ろすことを当局に認めさせたりした。
 6月には、工事用の臨時列車(砕石だとかレールを運ぶ列車)で、断続的に指名ストライキに入れたりして立ち向かった。運転士が我慢しきれず運転台から途中駅でトイレをしたところ、問題が大きくされた。本人はハンドルまで奪われて清掃業務に強制出向で、俺はもう定年だと退職してしまった。この過程で得た教訓は大きなもので、本気になって声をあげた途端9割以上は支持の声だった。つまり多かれ少なかれ無数の労働者が形は違えど同じ境遇の中にいる。この教訓を生かして僕らは第2の分割・民営化に立ち向かいたい。

※エルダー問題

 もう一つは大量退職問題です。大量退職を組織破壊攻撃として使い、業務の全面外注化の手段として使う攻撃が大きな焦点になっている。繁沢副委員長が12月末で60歳を迎え、2月の再雇用契約をめぐって不当な再雇用先の提示を拒否した結果、再雇用の意志がないと言われた。しかし拒否し続けた結果、希望通りの再雇用先を再提示してきた。年末で退職し、1月から希望職場に勤める。これは必ず一つの意味を持ってくる。

※外注化問題

 外注化阻止闘争では強制出向無効確認訴訟をめぐって大法廷で毎回朝9時50分から17時まで集中審理をした。この法定に当局が毎回50人をこす動員をかけて臨んできた。JR東にとってこの裁判が最大の問題だという。動労総連合は出向協定拒否で、外注化を完全別会社化、転籍までもっていけない中で、この裁判が歯止めになって入り口から一歩も進めないことが問題になっていたとわかった。この闘争もっと強化していきたい。

▼安倍の「働き方改革」の先取りが第2の国鉄分割・民営化=水平分業と上下分離

 2017年は国鉄分割・民営化から30年の節目です。もう一つは安倍政権の「働き方改革」が具体的に全面的に動き出した。その中で、文字通り第2の分割・民営化攻撃が始まる。
 それにJR東日本が踏み出すことが明らかになった。水平分業、転籍まで行く。来年、ポテンシャルという本社採用の幹部候補生から転籍を始め、別会社に移籍してそこに責任を持てという形にする。
 北海道は半分廃線にし、四国は鉄道として維持する必要ない、基本的に全部バス転換でいいと言っている。
 第2の分割・民営化が、単に企業としてのリストラではなく、地域丸ごとリストラし、雇用のあり方、社会のあり方を変えてしまう分割・民営化以来のリストラだと思います。
 柱は恐らく二つで、一つは外注化の異次元の拡大、転籍を伴う別会社化に踏み出す。JRが踏み出すと関係する労働者はJR20万人、下請け、孫請け含め100万人単位です。これが社会にどういう影響を与えるか、安倍の「働き方改革」の社会全体の貫徹と見ないといけない。
 もう一つは、「選択と集中」「戦略的ダウンサイジング」という言い方で、社会的大リストラ、公共鉄道の放棄です。2、3年前から国交省が上下分離方式を言い始めていた。北海道の半分廃線は2段階で、乗客200人以下は完全に廃線、200~2000人は上下分離方式を追求し、それがいかない場合は廃線。地方都市で上下分離方式にした時、鉄道施設を保有できる地方都市など基本的に皆無です。上下分離は廃線の口実。四国の社長が上下分離方式にしなければ四国はもう経営が破綻すると言っていた。国交省を先頭にした廃線のステップだった。北海道は西野という副社長を東日本が計画して送り込んだ。人口減少時代のモデルを作る国家戦略です。これは、東京都知事選に出た増田が「付加価値を生み出せいない地方、外貨獲得能力のない地方は淘汰する必要がある」と言っていたことです。
 来年3月のダイ改で、千葉の内房線は、館山から千葉への直通線がなくなり、系統分離と称した。群馬のほうは新前橋で系統分離する。淘汰です。
 NHK報道では、北海道は半分、JR全体では3分の1が第3セクターか廃線、西日本では三江線が廃線。こうしたことが労組の再編等をともなって進む。現場は、去るも地獄、残るも地獄の労働条件が強制され、安全が崩壊する。
 つまり一企業の再編だけでなく国鉄分割・民営化がそうであったように社会のあり方の大転換を含む国家改造攻撃、安倍政権の「働き方改革」「正社員ゼロ」「解雇自由化」攻撃そのものとして仕組まれています。

▼大阪市バスと地下鉄の民営化

 12月に大阪の市議会で、市営地下鉄とバスの民営化が採択された。地下鉄もバスも一旦全員解雇で採用試験をやって採用された者だけが雇われる。バスの場合、大阪シティバスという新会社に行き、地下鉄の場合は新会社の名前は決まってないが、その際に退職金は払う。つまり労働条件は引き継がないということです。恐らくは全面的な賃下げに応募して採用される。余りに乱暴すぎるため自民党ですら相当反対意見があってなかなか決まらなかったが12月の市議会で通った。ところが「労働組合とは平成25年1月26日の団体交渉で民営化に向けた協議を進めていくことを合意している」。市議会で市営地化鉄の廃止条例が通ればGOになる。恐らく小池がやることもこれと同じです。だからJRだけではなく、一斉に起こる。安倍がやろうとしている限定正社員も職場がなくなったら自動的に解雇。これが働き方改革の正体です。つまり民営化がもう一度社会全体の焦点になると思います。
 JRの駅もグリーンスタッフ採用を今年度で中止し、民営化しようとしています。

(写真 韓国鉄道労組ストライキ)

▼団結さえ崩さなければ必ず展望は生まれる

 いかにこういう状況に立ち向かうのか。職場では基本的に原点に立ち返ることです。動労千葉は分割・民営化の時も外注化の時も、団結さえ崩さなければ展望は必ず生まれることに確信もってやり抜こうと、この一点で頑張ってきた面がある。うまい手段、方法があるわけではなく、団結さえ崩さなければ必ず展望は生まれる。もう一回この原点に返ろうと組合員と意思統一をしています。
 それともう一点は、僕らが全力を尽くして起きようとしている本質を知らせる、これは単にJRだけでなく国鉄分割・民営化がそうであったように社会全体の大転換だと訴える。
 攻撃の弱点、闘いの展望はどこにあるのか。これは分割・民営化の時と違って、あらゆる条件、雇用だけでなくて社会制度、医療制度、何から何まで全部含めてもう限界に達している中で、やればやるだけ矛盾の坩堝になる。ここに敵の弱点が何よりある。
 もう一つは、国鉄分割・民営化の時とは違い、誰もがこの30年間起きたことについて多かれ少なかれ経験してきている。労働運動の力が弱くなっているので明確な意識や輪郭を持って認識されているわけではないが、もうこりごりだと思っている。また戦争法とか時代への危機感が存在している。そこに依拠することが一番大きなことだと思います。
 闘いの展望はこの間、運転保安闘争とか分割・民営化反対闘争、外注化阻止闘争でやりぬいてきた中にあります。特に動労千葉が外注化、強制出向という外注化の入り口で正面から立ち向かってきたことが10年以上全体の攻撃を遅らせてきていることは事実で、この中に展望があると改めて確信を持とうと思っています。
 ただ、分割・民営化の時と比べて労働組合が抵抗する力はもう一線を越えて後退している。だから全体がもう一回労働運動の再組織化へ取り組まなければいけない。そういうことも自覚してやりたい。そうした時に大量退職が最大の攻撃の矛先でもあれば矛盾点でもある。動労千葉の組合員も大量退職する過程で、このことを本当に大事にして取り組んでいこうと考えています。

▼2月国鉄集会の挑戦

 当面する2月国鉄集会は、二つのことを掲げて組織したい。
 一つは、国労闘争団の仲間が総連合に結集してくれたことを通して、これをもう1回活かすことができたらいいと思います。彼らと相談して、1047名動労総連合争議団みたいなものを結成して、2月集会でもう1回1047名解雇撤回の旗を掲げることを全体に訴えたい。分割・民営化30年、第2の分割民営化との対決にあたって自分たちはもう一回この旗を掲げる。
 もう一つは、第2の分割・民営化攻撃との闘いを安倍政権の「働き方改革」を粉砕する焦点として、全体がこの下に闘って欲しいと訴える。当面は民営化が焦点になるので、民営化反対の大キャンペーンを組織したい。JRと東京都丸ごと民営化、大阪の民営化との対決です。特にJRの職場と国鉄闘争の最大の支持母体であった都労連傘下の職場に今起きようとしていることに絶対反対しようと徹底的に宣伝し、2月の国鉄集会を迎えたい。タブロイド版を10万部作って、2月国鉄集会の過程でJR職場と都労連の職場に全部入れたい。第2次キャンペーンを2月の集会から3月ダイ改までやる。これを1年間くらい繰り返して、当事者である労働者はもうこれ以上民営化なんて許したら全部が潰されるという認識をどこまで広げられるのか、その挑戦をやり2月の国鉄集会をかちとりたいと思っています。

▼内房線をめぐる闘いなど

 千葉では、内房線を焦点にした地方の全面的な切り捨てが始まり、独自に動きだして館山市議会での反対決議などかちとっています。2月に地方からの反乱の一つの姿を示すような闘いをやりたいと地域の人たちと相談を始めている。地域の人も自分たちが地域で生きていくことそのものが困難に見えている。反合・運転保安闘争をもう一度強化する。関連会社、グループ企業の5年解雇問題、CTSを焦点にした春闘やり抜いて組織拡大をしたい。2月国鉄集会をきっかけに全国運動としても第2の分割民営化の本質との闘いを共に闘っていただけると本当に心強くありがたく思います。

●金元重さん

 三つくらいの議題があると思います。
 一つは、民主労総の11・12全国大会と民衆総決起闘争、これは2年来のゼネスト闘争の締めくくりになるものでした。それと11月、12月と1~2か月にわたって大衆的展開を見せているパククネ退陣民衆闘争ともいうべき、労組革命ともいわれている情勢をどう見るか。
 二つ目は、東京集会から11・12ソウル国際連帯行動、われわれにとっては新しい未来を持った民主労総ソウル地域本部との関係、もう少し言えば韓国労働運動全体との関係について、先ほど田中委員長から非常に適格で簡潔な評価点が出されたので、これはそれに代えてもいいと思います。
 三つ目が、鉄道労組のストライキ、今年の9月27日から12月7日まで復帰は9日からとなっ
たが、72日間行われた。これの成果と問題点です。
 それぞれみな大きいテーマなので、簡単に話します。

▼民主労総を軸にした民衆総決起闘争

 第一に、民主労総大会とパククネ退陣民衆闘争についてです。
 今年の民主労総の11・12全国大会と民主総決起闘争は、10月末に急浮上したパククネ政権スキャンダルへの民衆の怒りの爆発、労組革命、パククネ退陣の巨大なうねりの中で闘われました。巨大な民衆決起といっていい状況の中で民衆総決起闘争本部、民主労総を中心にして全国農民会総連盟、全国貧民連合といった部分が共同して作っていますが、10月29日ソウルのチョンギ広場で「集まろう、怒ろう、降りてこいパククネ、市民ロウソク集会」を開催した。予想を超える3万人の市民が参加してデモ行進する。今回のスキャンダルに伴う労組革命の最初の第一次集会、ロウソク集会だった。以後会を重ねるごとに急拡大し11月5日第二次集会には20万に達し87年民主化闘争以来の民衆化闘争を実現した。毎土曜日やって現在まで第9次です。
 11月12日には民主労総の総決起があるとそれにあわせてカンファンヒル広場に集まろうとものすごい勢いづいた。この結合が非常にタイムリーだった。
 連続的に数十万、百万を超える集会がソウルと全国の主要都市で行われていること自体は、当初、民主労総が民衆総決起闘争本部と一緒に11・12集会を計画した時には6月から準備を始め9月に正式に決めたが予想もしない展開になった。
 この中で何が起きたのか。民主労総はどう対応したのかが大事と思います。民主労総としてはパククネスキャンダルがでたとき即時退陣というスローガンで全体を引っ張ろうとした。その後、保守野党が国民民主党をはじめ右往左往することに対して非常に強い圧迫を加えて、パククネに対する弾劾訴追を国会で実現させる方針を出し、非常に柔軟かつ積極的に事態に対応していった。
 今回の民衆決起をどう規定するか、私が見た限りは主権者革命という言い方で捉えるのが全体を見る上でいいと思う。主権者としての自覚を持つ国民が大統領から大統領権限を回収する、取り上げるという行動にでたというのが主権者革命ということ。重要なのは中学・高校生まで有権者になっていないような人まで出てそのことをやった。普遍的な主権者革命という言い方は政治的分析をしていく上で有効な概念だろうと思う。問題は主権者革命として起こったロウソク集会、デモと民主労総のゼネスト闘争の関係、相互作用をどうしていくのかということだと思う。
 この抗争はいったん憲法裁判所の判決を待ってパククネ大統領罷免を実現し、前倒しで行われる次期大統領選挙の闘いの場を開いたが、主権者革命を貫徹するためにはロウソクを消すことなくむしろその威力を拡大して大統領選挙になだれ込む与野党をけん制しながら制度としての大統領権限の縮小など主権者革命の要求を前進させなければならない。これは民主労総にとっても一つの課題ではある。パククネ退陣民主要求の重要な一翼を担った民主労総は今回の巨大な前進の牽引者であった。昨年来の数次のゼネスト闘争を闘い抜いてきた民主労総は今年6月から11月の闘争を準備してきたのであり、労働改悪反対の対パククネ闘争の粘り強い体制と闘いなしには10月末の突然のスキャンダルに即応した退陣要求構想の展開は困難なはずであった。パククネ政権下で引き起こされた労働改悪、とりわけ成果年俸制を撤回させるとともに非正規職問題、民営化阻止問題、最低賃金引き上げ課題などを前進させなければならない。パククネ罷免問題がパククネ労働改悪を自動的に撤回清算する保障にはならないということは、今回鉄道ストでも年俸制問題は未解決のままなのを見ても分かると思う。12月13日に民主労総、韓国労総、労働界出身国会議員5名が国会で記者会見し国政壟断と不正事案の核心である違法、不法な労働改悪撤回に突入しなければならないとやっている。
 パククネ弾劾が可決したら従来だったら運動は急速に沈静化してしぼむはずだが、民主労総と民衆総決起闘争本部はパククネ弾劾が一旦可決して憲法裁判所に移った後は、財閥解体を掲げて闘っている。

▼鉄道労組の闘い

 鉄道労組の闘争は、最大の課題となっているが、同時に民主労総はロウソク革命、主権者革命の国民的継続を土台にした階級的労働運動の高揚、労働運動復権のための戦略を大胆に提起していくことが求められている。200万人組織化はそのうちの一つの中心的課題であると思う。2年間のゼネスト闘争の総括と組織拡大戦略、非正規職問題、労働組合の態勢など課題は山積みである。今回のパククネ退陣民衆総決起闘争の経験は民主労総が階級的労働運動としての自己の力量を強化、それは組織拡大ということと政治勢力化ということだが、同時に広範な民衆市民運動との共闘の経験を今後どう活かしていくのかという課題を突きつけている。社会的ゼネスト、ハンサンギュンの言葉だし、国民的ゼネスト、これは11・30ゼネストについて概念がどのような内実と戦術の内容を示しているのか検討しなければならないだろう。また目前の大統領選挙をどのように闘うかは民主労総の政治政党化にとって重要な課題。今年8月の民主労総の政策代議員大会でこの問題が一番大きな課題で紛糾したままになっている。
 パククネスキャンダルとチェスンシルとの関係、パククネスキャンダルで労働法制改悪の実態がわかった。これは非常に大きいこと。財閥の総帥たちとパククネが直接会って水財団などに何十億ウオンの資金拠出をさせて入金が確認された2、3日後にパククネが記者会見で労働改悪法案を出してきている。
 成果年棒制を掲げて9月27日から始まった鉄道ストは、12月7日電撃的合意で政治結着、このときには賃金問題もあわせて合意したが2013年12月のスソ発高速鉄道建設と鉄道民営化に反対した長期ストの3倍の最長期鉄道ストだった。しかし今回は輸送大乱とか物流大乱とかいう言葉は出てこなかった。高速鉄道のKTXは平素通り100%運行、12月2日時点で組合員復帰率は8・7%という低さですから団結は維持された。鉄道公社にしてみれば痛くもない。労組のほうもスト対応は崩れていないという形の膠着状態で、今回は必須公益事業労組のストの必須事業制度がストを長期化させる原因、背景にもなるし、ストの威力も弱めているのではないかという分析が出てきている。
 最初はソウル地下鉄と釜山地下鉄も一緒に入った。だからかなり勢いがあったがソウルは年棒制についてはいきなり導入はしない、釜山も4日目にはストから離脱するという形で、鉄道労組だけが一人ぼっちのストライキを続ける状況だった。そこに10月10日から貨物連帯が政府の貨物市場発展法案に反対をしてストライキに突入する。必ずしも同情ストではなくて自分たちの課題で、しかしトラックが物流阻止に入ると影響力が大きいから政府はものすごい弾圧をする。鉄道ストと違って一般市民の目につかない。ものすごい暴圧、暴力を振るうことができるので、各地で流血事態が発生してもう貨物連帯は耐え切れなかった。10日目にストを撤回する。釜山地下鉄も一旦再ストライキに入るが4日目に撤退、鉄道ストの一人ぼっちストが続く。
 ストの影響としては列車運送差別による被害、大体685億ウォン、スト参加者1人当たり賃金損失1704万ウォン程度、これは2カ月分の給与プラス65日分成果賞与程度だということ。職位解除された幹部組合員151名、職位解除というのはいわゆる懲戒ではないが一旦すべての職務をはずされるという形で不利益扱い。今回は会社側は職位解除された幹部級に対して今後は職位解除は職場を離れることにつながるという脅しをかけています。
 民主労総は、財閥解体要求の運動本部みたいなものも組織として立ち上げたりして、労働改悪の張本人たちが財閥だということを暴露しそれを撤回させるための闘争を組む闘いをしっかりとやっていくだろうと思います。それと200万組織、この間の民主労総のホームページを見るとものすごい宣伝のパンフレットとか作っていて、その中で労働組合に加入するとどういういいことがあるのかという教育資料もものすごく出している。恐らく従来なら非正規組織化みたいなところに限定されていて民主労総レベルでは非組織労働者に対する組織化そんなにやってなかったのが、社会的な運動の高揚の中でぜひ民主労総の技量、全体の労働者の5%しか組織していない状況を変える絶好の機会だという形で対応しているのではと感じました。そういった意味ではこれからの努力で組織拡大を一挙に深めることは可能だと思います。

●伊藤晃さん 

 国労闘争団の人たちをすぐに動労総連合へ吸収という形にはしないでほしいと思います。われわれからすれば全国運動の立場が正しかったと主張するけれど、社会的にそれが認められているわけではない。彼らには彼らの立場があり、辛いことをした経験があり、言いたいことがいっぱいあるに違いない。そういう意見と対等の立場で議論をすることが大事です。小玉さん、成田さん、羽廣さん、石﨑さんたちの影響力があるし、もっと広げなければならない。そのためにその人たちが意見を言う場所を作ることを心がける必要がある。そのほかのいろいろな闘争との関係についてもいえる。田中さんが言った「団結さえ崩さなければ展望が生まれる」ことが核心です。その上で、もう一つ広い社会的規模で団結を作ることをわれわれは考えないと、この状況には対抗できないという感じがします。
 館山で起きていることが紹介されました。ここでそれぞれの立場で資本主義社会に対する自分の意見を言う場所を確立することが非常に重要ではないかと思います。今、社会的矛盾があり危機を感じていることは、事実だが、一番肝心なことは、数十年の過程で、社会的に自分の意見を言う場を失っていて、そういう習慣がない。その習慣を取り戻す主体に全国運動がならないといけないと思います。館山などで一つのモデルケースを作る。北海道や三江線などで、どうやって地域の運動作り出すのか、協力していろいろなモデルを作っていくことを考えないと、全国の運動的状況に対応していくことはできないという感じがします。
 それから、都労連傘下の職場に真実を伝えることも大事です。しかし、真実を伝えれば危機感が出て、決起が生まれるとは限らない。彼らが自分の主張を当局にぶつける前に、運動の中で自分の主張ができる場所を作るほうが先です。それがないと、当局に対してぶつけることはできない。そういう場をどうやって作るか、これが来年度のわれわれの非常に大きな課題になるんではないか。国鉄闘争団、各地域社会との関係で、館山のように一つひとつの団結を新しく作り出していくことではないかと思う。それを来年度われわれが一生懸命やる必要があるのではないか。

●鎌倉孝夫さん

 私は、情勢の捉え方について話します。
 新自由主義のギリギリの限界がここまで来た。それを動かしている現代の金融資本の特質の認識が決定的に重要と思っています。一面では株式を取引し売買してギャンブルする。擬制資本の面と徹底した株価至上主義、事業が儲かることだけの徹底的な利潤原理の方向だと思います。経営体はホールディングスです。コントロールする一部の本社正社員、経営者だけで、後は全部分社化、小会社化していく。儲かれば何でもやるが儲からなければすべてご破算。それが全産業・全国的レベルで日本だけでなく世界中がそうなっている。現代の金融資本の限界を示している。金融資本はどれだけ矛盾が拡大しても自動崩壊するものではありません。バブルを何回も何回も引き起こしながらさらにバブルを大規模化していく方向しか取れない。一番重要なのは利潤原理の徹底で、完璧な労働力化、モノ化、要するに解雇自由、事業閉鎖できる。理論的には新自由主義の最後のあがきが、第2の国鉄分割・民営化の中にはっきり表れているんじゃないかと思います。
 それからもう一つは、ネオナチ再興の問題です。トランプの登場やヨーロッパでネオナチが出てポピュリズムに吸収されていく。ポピュリズムで吸収してファシズムにいった1930年代と同じ方向では、まったく展望がない。金融資本の支配が続く限り国際的な大競争戦、その中で各国の労働者民衆に対する収奪の強化という方向しかないと思う。その中で労働組合、労働者の国際連帯をどう構築していくか。それを動労千葉が推進しているという点ですごい意味があると思っています。

●花輪不二男さん 

 私は都労連の「退職者会」会長をやっています。その意味でも都労連の闘いは私も身内。どう闘うかという課題を持っています。僕が反対していた築地市場の豊洲移転問題は、風が舞いながら労働組合的には正しく捉えられていないと思います。小池は日本会議で、田中委員長が指摘された方向で攻勢をかけてくるのは間違いない。これをどう迎え撃つかはまだ都労連では踏み切れないでいる。そういうところに不満があるのですが、都労連も新しい体制になりました。僕なりに少し動向を探って対応していこうと思います。年明け旗開きで都労連の委員長見解は出ますし、都労連内部の議論を始めないといけないと思います。都電撤去の合理化を経験していますから過去の歴史をある程度再現させながら合理化に対する対応を打っていかないといけないと思っています。
 もう一つ、国鉄問題です。支援で北海道を担当していましたので、和解の時、復職可能な労働者はいなかったのかを調べたがいなかった。それで現実に復職の見込みのない段階である程度和解金が配られたから北海道的には余り残り火は残らないままで終わっている。「闘争を収束すること自体に曖昧さがあるし、ダメだ」という僕の見解は、北海道には受け入れられないんじゃないかと言ったのです。そしたら北海道の闘争団の連中は「いやそんなことないですよ」と言う。闘争団の人たちは、一番長い闘争を経験して未だに自活体制の延長で生活を維持しているので、私も留萌のホタテや羊羹を取ったりしています。彼らが必ずしも全面的にニコニコしてる状態じゃないということは分かっています。北海道に飛んで闘争団をもう一回再オルグする、闘争の経過を新しい視点で見直してみなければいけないと言いに行かなければいけないという気がしています。
 別の問題は、職場をどう立ち上がらせるかという問題だと思う。まだまだ韓国の闘いに比してはだいぶ落差があると思っています。鈴コンではないですが、あちこちに火をつけて歩かないといけないと思っています。

●葉山岳夫さん 

 三つほど申し上げたい。
 一つは、世界的な民営化の中で、トランプ登場はアメリカの崩壊が始まったことです。新自由主義そのものであり、保護主義、アメリカ第一主義、排外主義、人種差別主義という形で、ポピュリズム的、ナチズム的手法で、白人の貧困層や中間層をかっさらった。トランプ政権が、エクソンモービル会長やゴールドマン・サックスなど、ウォール街と中央司令官、ウォール街と軍人という軍産複合体の典型的なものが現われた。朝鮮戦争に直進する方向で働くことは間違いないだろうと思います。それに対決し、国際連帯を深めていく必要があると思います。
 第二に、第2の分割・民営化の関係については、大変なことだと思います。根本的な意味は、偽装請負と強制出向をめぐる裁判闘争も一つの大きな闘いとして展開しなければいけないと思います。しかし、根底的な問題は、これが当初の分割・民営化と同じ、反合・運転保安闘争と真っ向からぶつかる問題になっていると思います。その方角からも弾劾する必要があるのではないかと思います。
 第三に、1047名解雇撤回闘争ですが、JR東日本が団交を拒否する理由として「当社は関係ない」という。この欺瞞性について全面的に追及する必要がある。国労裁判での2008年6月2日の葛西証言を読み返してみましたが、「(井手議事録にある)斎藤英四郎とは数回会った。だけど不採用基準のことは全く記憶がない」という偽証をやっている。徹底的に葛西は逃げ回っている。その辺はもう一度、井手議事録や葛西証言で、斎藤英四郎が完全に下手人の一人だと明白にするキャンペーンをあらゆる方向からやって、「当社とは関係ない」とする虚偽の逃げを粉砕する必要があるのではないかと思います。

●入江史郎さん

 国鉄闘争基軸論はいいと思うが、分割・民営化30年、国鉄基軸論でなかなか通じないところがある。全国組織なので動労総連合が運動の推進軸を作っていくことが大事だと思います。
 われわれも団交拒否が3年もある。各地で分会レベルまで団交要求をして不当労働行為申し立てをしているのですが、会社は無対応です。実は大阪の抵当権もそのまま残っていて、無効確認訴訟を起こして控訴審まで全面勝っているが、先週会社は上告したらしい。先週JXの株主総会を株主になって見学してきた。エクソンモービル会長がトランプ政権の国務大臣になるという。エクソンは自分の持っている石油利権は細っている。敵の屋台骨が揺れている。

特集0323

Posted by kc-master