東京都丸ごと民営化を許すな!小池打倒へ 学校事務の闘い

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0323号09/01)(2017/02/01)

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東京都丸ごと民営化を許すな! 労働組合の闘いで小池打倒へ! 第1回
学校事務の共同実施反対の闘い

「学校事務の共同実施」は教育の民営化、東京都丸ごと民営化攻撃だ!
谷井 正人さん(東京都公立学校事務職員組合)

○職場のことを話して下さい。

●谷井 東京都には1974年に就職し、42年経っています。今は一本化されていますが、当時は一般事務と学校事務の採用は分かれていました。私は学校には夏休みもあると思い、学校事務を選択しました。
 最初は養護学校で、それからいくつかの都立高校に勤務しました。その後、区立の小中学校に勤務し、今は再任用で週4日勤務で小学校で働いています。
 今、都内の公立小中学校は1895校で、高校は189校あります。区や市立の小中学校にも、都の事務職員が配置されています。小中高特別支援を合わせて3000人ぐらいいると思います。小中は一人ですが、高校や特別支援学校には複数配置されています。それではとても仕事が回らないので、区市で採用している事務職員もいますが、非常勤が多いです。現場では協力して仕事をしています。

※学校事務の仕事は教育の一環

○学校事務の仕事について話して下さい。

●谷井 学校事務は各学校で、給与計算や福利厚生などの事務、教育予算の執行などの仕事を担うのですが、教員の教育活動と不可分一体です。一緒の職場でないと、教員の実情などもわかりません。例えば、妊娠・出産なども、補助教員を要請したり、産前産後休暇や育児休暇をどうするかなど情報が伝わりません。個人のことのようですが、学校全体に関わることです。就学援助事務や給食費の援助などの手続きが必要な生徒もいます。教材をそろえたり、施設の管理・修理などの点検や依頼する仕事もあります。そもそも学校に事務職員が置かれ、制度化されたのは、教育現場に事務職員が必要不可欠だからです。
 学校事務の共同実施の攻撃が始まっていますが、これは学校の民営化、学校事務職員の非正規職化の攻撃です。共同実施が行われれば、職場にいなければわからないことが全く不明になります。学校事務の仕事を破壊する重大な攻撃です。

○学校事務の共同実施とはどういうことですか。

●谷井 「学校事務の共同実施」とは、学校事務を複数校が共同して処理する仕組みです。1998年の中央教育審議会から「学校事務の共同実施」が提案されました。東京では2012年に提案されました。都教委が示す「標準モデル」では、小中学校7校の事務職員を拠点校共同事務室に集めて正規職員を4人に減らし、3名も削減するのです。都費の正規事務職員が配置されなくなる学校には、代わりに一般職非常勤職員を配置するというものです。
 共同実施以前にも退職不補充で正規の事務職員が550人も削減されました。新規採用をせず、再任用職員を配置して定数を削減してきたのです。その上で「共同実施」攻撃です。学校事務の仕事をなめるなということです。学校事務職員制度を最後的に解体する大攻撃です。

※東京では組合の闘いで、学校事務の試行を進めさせていない

○東京都や全国での学校事務の実施の現状を教えて下さい。

●谷井 全国的に半数くらいの自治体で学校事務の共同実施が強行されていますが、事務職員は各学校に勤務する形態をとっています。しかし、東京方式の共同実施は、正規職員を学校現場から引き揚げた上で、基本定数を削り、非常勤職員を各学校に配置して、総額人件費の削減を図るという、全国の共同実施とは全く異なる内容になっています。
 東京都で現在、学校事務の共同実施を始めている市区町村は、江東区、武蔵村山市、清瀬市、東村山市です。2016年4月に江東区では、中学校16校を3グループにまとめて実施され、その結果、都費事務職員は3人削減されました。武蔵村山市では、全市が東西の2グループに分けられて実施され、都費事務職員は6人も削減されました。清瀬市では、2015年4月から4校で試行され、2016年度は試行を拡大できていません。東村山市では、2016年4月から3校と1分校で試行されています。
 さらに、立川市、青梅市、国分寺市、小金井市などで検討が始まっています。比較的手をつけやすいと判断した都教委多摩教育事務所や武蔵村山市の教育長らが共同実施を推進しているのだと思います。
 国の「標準定数法」があって、4学級以上ある学校では学校事務職員を1人置くことが義務づけられています。その法律を無視して東京都は正規を非正規に置き換えているのです。東京都では、非正規の学校事務職員は、月16日勤務、1年更新で4回まで更新し、5年で解雇されます。
 都教委は、学校事務の共同実施の主体は区市町村だと答えています。しかし共同実施試行地区を拡大するため、水面下で多くの手立てを重ねています。実施主体は区市町村でも、やらせているのはあくまでも都教委です。しかし、主体が区市町村だということは、逆にやめる判断も地教委ができるということです。区市町村の労使の力関係で決まるということです。ここにこだわって絶対反対で闘ってきました。
その結果、都教委は、試行開始にあたって、10年で全地域に拡大したいと言っていましたが、実際には試行5年目の現在、1区3市の試行に留まっています。試行の学校も37校のみで、総体として試行がうまくいっているとは言いがたい状況を組合の闘いでつくり出しています。

※文科省と都教委の狙いは民営化と労組破壊

○文部科学省と都教委の狙いは何ですか

●谷井 2016年6月13日、文科省は学校版「働き方改革」として、「学校現場における業務の適正化に向けて」を公表しました。これは「教員の長時間労働を改善する」と称して、「業務アシスタント」や「部活支援員」などの非正規職を配置し、「統合型校務支援システムの導入」を推進するといっています。
 こうした「業務改善」によって教員を「1億総活躍社会実現」のための教育(国家・資本のための教育だ!)に「専念」させるというのです。そのために「校長のリーダーシップとマネジメント力の向上」のもと、人事評価を駆使して「教員の意識改革」を断行するとしています。つまり国鉄分割・民営化と同様、組合的意識や団結を一掃するというのが攻撃の核心です。この一環として「学校事務の共同実施」を位置付け、16年度中にも法制化しようとしています。
 都教委はこの報告を受け、直ちに「東京におけるチーム学校の在り方検討委員会」(小川正人放送大学教授を座長に持田武蔵村山市教育長、井出杉並区教育長など安倍政権支持の極右で構成)を立ち上げ、2017年1月を目処に「最終報告」を出そうとしています。
 小池都知事の登場で闘いは新たな段階に突入しています。「共同実施」粉砕へ、団結を崩さず、労働者の誇りにかけて「定数削減反対! 非正規職化反対! 外注化反対!」で闘うことが求められています。

※7者協で「学校事務の共同実施」絶対反対の闘い

○組合の対応はどうですか。

●谷井 日教組は「文部科学省とのパートナーシップ」路線で、「学校事務の共同実施」に賛成しています。外注化攻撃に手を貸しているのです。全教も形だけ共同実施に反対していますが、教員の負担が軽減されるならば学校事務の共同実施に賛成すると思われます。
 朝鮮侵略戦争切迫と安倍政権と小池都政の「働き方改革」=労働法制大改悪攻撃の中で、「共同実施」絶対反対の闘いを教組の存亡をかけた大決戦に押し上げなければなりません。
 私が所属している労働組合は、東京都公立学校事務職員組合(略称は都校職組)で日教組傘下、私は書記長をしています。
 東京都教育委員会から「学校事務の共同実施」が提案されると、直ちに東京の学校事務関連の7つの労働組合は結束して「7者協議会」(以下、7者協)を結成し、「共同実施」絶対反対で闘ってきました。7者協は、2012年に結成されたので4年になります。2011年に都教委が出してきた「校務改善」という学校事務の施策に反対の声をあげて結成されました。「校務改善」とは、「副校長の業務を減らす」という理由で、学校事務職員に多忙化を強制する攻撃でした。
 学校事務の共同実施に反対している7者協は、東京都学校事務職員労働組合(東学)、東京都公立学校事務職員組合(都校職組)、東京都公立学校教職員組合(東京教組)、アイム’89東京教育労働者組合(アイム)、事務ユニオン東京(事務ユニオン)、東京都教職員組合事務職員部、東京都庁職員労働組合都立学校支部小中学校部(学校支部)の7者です。
 都の学校事務職員は大半が組合員ではありません。また事務職員の組合員は歴史的経過や労戦問題などで四分五裂の状態ですが、共同実施反対の一点で共闘しています。運動論の違いが出てくることもありますが、乗りこえて闘ってきました。
 その根底にあるのは仕事への誇り、事務職員をなめるなという怒りだと思います。学校事務職員は、学校職場にいて教員と一緒に働いてこそ真っ当な仕事ができます。7者協の団結で、試行地域を拡大させず、10年で全都実施を狙う都教委の計画を頓挫させてきました。

※教育の民営化との闘いとして「民営化は悪」の反対論を

○今後の闘いを話して下さい。

●谷井 学校事務の共同実施は、教育の民営化・外注化・非正規職化攻撃です。すでに教員の非正規職は激増しています。文科省は、2004年に総額裁量制を導入し、総額の枠内なら、いくらでも非正規教員を増やせる仕組みにしたのです。さらに、2006年に教職員の人件費の国庫負担を2分の1から3分の1に減らしたことが、非正規職化に拍車をかけました。
 すでに東京では、担任の補助として、手のかかる子どもへの対応として、スクールカウンセラーや特別支援員という非正規職を導入しました。都立高校の試験問題をベネッセに丸投げしたり、高校の図書館の司書を民間委託したり、教員以外の民営化・外注化も進んでいます。
 「学校事務の共同実施」を阻止する闘いは、事務職員だけでなく、教育の民営化との闘いとして全体化していくことが必要だと思います。教員にも理解を広げるために、日教組や全教傘下の労働者にも働きかけています。さらに試行している各市区町村の教育委員会にも撤回を求めていきたいと思います。
 そしてなによりも7者協の団結を強めていくために、「民営化は悪」の反対論を深めていきたいと思います。「学校事務の共同実施」で一番負担になるのは教員です。教員と団結して、学校事務職員の誇りにかけて闘っていきたいと思います。

※都労連の労働者を先頭に小池打倒の闘いへ

○小池都政との対決になると思いますが、小池都知事になってからの都の状況と闘いの展望を話して下さい。

●谷井 小池百合子知事は2016年8月2日に都庁に乗り込んできました。そして直ちに「都政改革本部」を立ち上げ、「築地市場の豊洲移転」と「オリンピック」問題を掲げて、10月から具体的に始動しました。
 小池都知事が最初に都庁で行ったことは「20時都庁退庁」と「イクボス宣言」です。早速小池が打ち出した施策に、現場は怒っています。都庁本庁職場では、「残業削減マラソン」と称して、20時には完全退庁、20時から15分毎に消灯、20時30分以降に退出した職員は所属・氏名が登録・報告されるというシステムが始まりました。20時30分になると、1箇所しか空いていない出口に職員が走って殺到する状況です。定数削減で残業に追いやっておいてなんなんだということです。持ち帰り残業や土日残業が増えています。「消灯すれば帰るだろう」というやり方に現場の怒りが根底から噴き上がっています。豊洲盛り土問題では、すでに幹部職員18人が処分されました。「みせしめだ」とみんな怒っています。
 また小池は昨年9月に、全管理職に「イクボス宣言」(ボス=上司が、育児、介護をする部下を応援する)の「掲出」を義務付け、直ちに都立学校へも通知しました。現場の実態を知らない、知ろうともしない知事が「職員室にイクボス宣言を貼り出せ」と押しつけたことに現場はあきれ果てています。実際管理職のパワーハラスメントは年々ひどくなっていて、妊娠した女性教員に「他の学校に行ってから産んでくれ」などと言っている管理職がいるのです。
 小池は都知事の報酬を半減させる条例を都議会で通し、返す刀で都職員の賃金削減を狙っています。今年の勧告は、国や他県と違って「ベアゼロ」でした。一時金も全員から3%削って、勤勉手当を成績のいい人に配分するやり方で、競争と分断を持ち込んでいます。
 東交や水道、清掃職場の民営化攻撃も進んでいます。東交では、外注化で駅員などを非正規職に置き換えています。水道では検針などの仕事が民営化されています。すべてが都労連つぶしの攻撃です。
 怒りをストライキへ組織する都労連労働者の小池打倒の闘いはいよいよこれからです。