特集 交流センター定期総会 総会の総括

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0324号02/03)(2017/03/01)

特集 全国労組交流センター第24回定期総会の報告
※ 全国労組交流センター総会の総括 ※

飯田 英貴(全国労組交流センター事務局長)

動労総連合のストライキを先頭に民営化反対の大闘争を!

 全国労働組合交流センターは2月に第24回定期全国総会を開催し、2017年決戦の路線と方針を確立しました。
 耐え難い貧困・格差、戦争を強いてきた新自由主義に対する怒りが全世界で噴出しています。韓国に続いて始まったアメリカでのトランプ大統領に対する数百万のデモは、ついに歴史が労働者階級の革命に向かって大きく動き出したことを告げ知らせています。
 重要なことは、いずれの闘いも、その中心に、労働者の団結に100%の信頼をおいて闘う労働組合のストライキがあり、スターリン主義や体制内労働運動の支配を打ち破る新たな闘いがあることです。動労千葉と共に闘ってきた韓国・鉄道労組やアメリカにおけるILWU(国際港湾倉庫労働組合)、UTLA(ロサンゼルス統一教組)などの「ランク&ファイル」運動が闘いを牽引(けんいん)しています。

●民営化絶対反対30年の地平

 3月闘争は、動労千葉全乗務員の24時間ストライキを先頭とした動労総連合の全国ストライキによって幕を開けました。この時代に、日本におけるゼネストを切り拓く挑戦です。
 それは、「社会全体に責任をとる労働者権力を打ち立てていく」という全体の課題と「どうすれば労働運動の現状を打開して、職場で階級的団結が形成出来るのか」という個別の課題をひとつにして闘うことへの格闘です。前人未到の闘いですが、国鉄分割・民営化絶対反対の30年の地平と、民主労総と動労千葉の13年間にわたる連帯闘争の中にその手掛かりをつかむことができます。
 鉄道をはじめとした公共部門の民営化・外注化・非正規職化攻撃との文字通り命がけの闘いから生まれた「非正規職撤廃」は民主労総のゆるぎない路線です。民主労総・ハンサンギュン委員長は「非正規職撤廃」を労働者の総団結を作り出すスローガンとしてゼネストの柱として据え直し、単に非正規を正社員にするというものではなく、社会変革のスローガンとして「非正規職撤廃」を打ち立てました。今年は「最低賃金1万ウォン獲得」を掲げ、それを社会的ゼネストによって実現する、その闘いを通して、非正規職労働者、未組織、青年労働者と一体となることを強烈に訴えています。
 この闘いは、動労千葉の17年に及ぶ外注化阻止闘争の過程と重なります。動労千葉は、「外注化に協力すれば雇用を延長する」というJRの卑劣なやり方に反対し、33人の労働者が雇用延長を拒否されクビになるという壮絶な闘いを展開しました。
動労千葉は自分自身がどうなるかということだけでなく、外注化の持つ社会的な意味、労働者全体にとっての意味を真正面から考え、「次の世代に非正規職だけの社会を残すわけにはいかない」という思いで外注化に立ち向かったのです。
 ハンサンギュン委員長を先頭とした民主労総執行部の闘いは、動労千葉が国鉄分割・民営化に反対して執行部全員がクビをかけてストライキを闘ったこと、田中委員長体制のもとで17年間外注化阻止を闘ってきたことに通底するものがあります。「労働者の団結が崩されなければ必ず展望は開ける」――この生きたマルクス主義を自らの思想に根付かせ、「労働者は闘っても勝てない」という敗北主義を打ち破ってきた動労千葉と民主労総が、新たな国際連帯を全世界に呼びかけて闘い始めたことは極めて世界史的な意味があります。
 であるからこそ、日本の階級的労働運動を何としても大きく飛躍させること、この一点に世界の労働者の未来がかかっています。

●限りない信頼の中に必ず決起は生まれる

 その決意を込め、私たちは、国鉄分割・民営化から30年となる2・12国鉄集会において「第2の分割・民営化」との闘いを宣言し、階級的労働運動の本格的創造に向けた新たな歩みを開始しました。
 国鉄分割・民営化絶対反対が切り開いた地平とは何か。1047名解雇撤回を闘う動労千葉争議団は「闘いによって誇り高く生きることができた」と30年を総括しています。
 中野洋動労千葉前委員長は、階級的労働運動の核心に、「時代認識と路線」の重要性とともに、「義理と人情」=人間関係の重要性を強調しました。また、全国労組交流センター辻川慎一代表は「誠実さと愛」を貫いて労働者と向き合うことを訴えています。どちらも仲間や労働者階級に対して限りない信頼をおいて闘うことを強調しているのです。
 一方、動労本部委員長であった松崎明は、分割・民営化に徹底的に賛成することを資本と国家権力に表明するために動労を解散させ、自分を守るために労働組合を私物化しました。この思想は30年経った今も、JR総連の労働運動の中に引き継がれています。
 動労千葉が示したことは労働者が団結すること、その団結の中に生きることそのものにこそ無限の価値があるということです。労働者はお金のためだけに闘うのでなく、労働者の決起には、自らの生き方として、「命よりカネ」の腐りきった資本主義社会に対する根底からの否定があります。だからこそ、労働者階級の自己解放は差別や抑圧からの全人間的解放を勝ち取る闘いなのです。
 私たちが国鉄を主戦場にして30年にわたって闘ってきたことは、人間の歴史的普遍的解放をかけた人類史的闘いです。そこには労働者階級が資本によって奪われてきた人間的共同性の本質をかけて闘う最後の死闘があります。
 30年前と同じように、目先の利益ではなく、どう生きるのか、動労総連合を先頭とする青年労働者の選択と決起が巨大な規模で始まっています。ついにJR東労組の組織的崩壊が、自らを守るために青年たちを犠牲にしてきたJR総連革マルに対する、平成採の決定的離反として始まっています。国鉄分割・民営化の全面的破産を引き金にして、動労千葉の国鉄分割・民営化絶対反対の30年の闘いと、それを引き継ぐ動労総連合の青年たちの闘いによって、JR総連革マル派の最後的崩壊が進行していることを見なければなりません。同時に連合の崩壊も始まっています。
 3月決戦は、動労総連合を先頭にしたストライキ決戦です。ストライキを通して、仲間と共に、「自分たちがこの生産の主人公であり、社会の主人公なんだ」という団結を取り戻すこと。労働の誇りを奪い、人間が力をあわせて生きていくことをバラバラにして人間そのものを破壊しようとする資本に対し、労働組合の闘いの中に、人間の真の共同性をつくり出す力があることを示す闘いです。動労総連合の全国ストライキを軸とした「社会丸ごとの民営化・総非正規化と戦争」に対する闘いで私たちが示そうとしていることは、人類史の転換をかけた決定的闘いなのです。
 一人ひとりの労働者の中に無限の可能性があり、限りない信頼の中で根底的決起が始まっています。2017年、労組交流センターの新たな飛躍を勝ち取りましょう。

特集0324

Posted by kc-master