地平線 「下山鑑定」を武器に石川さん無罪獲得へ

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0324号10/01)(2017/03/01)

地平線
“万年筆は被害者の物ではない"権力のデッチ上げ暴く「下山鑑定」を武器に石川さん無罪獲得へ

 岩本正治(東日本解放共闘事務局長)

 2月2日、全国水平同盟と東日本解放共闘は、無実の石川一雄さんを狭山事件の犯人としている権力犯罪を暴き、再審・無罪を勝ち取るために、東京高裁包囲デモと東京高裁要請行動を120人で取り組みました。動労千葉、動労水戸、東京各地区交流センター、星野再審連絡会議の星野暁子さん、大阪・徳島の仲間も参加しました。高裁前で31回目のアピール行動を行っていた石川さん、連れ合いの早智子さん、支援の仲間とシュプレヒコールで熱い合流が実現しました。満面の笑みを浮かべた石川さんと支援の仲間がデモ隊に手を振る姿が大変印象的でした。
 「下山鑑定」の新証拠提出で第3次再審の扉を開く段階に入った狭山闘争の、石川さん再審・完全無罪にむけた2017年階級決戦の出発点となりました。
 自白強要をもとに石川さんを犯人にデッチあげた三大物証があります。被害者中田善枝さん所持品であるカバンと腕時計、万年筆です。被害者の所持品である三大物証が自白どおり発見されたとして、これを「秘密の暴露」と認定し、犯人であることを示す決定的証拠としたのです。とりわけ万年筆は石川さんの自宅から発見されたという意味で、有罪の重要証拠とされていました。この万年筆について、8月22日、下山鑑定書が、狭山事件の確定判決(1974年10・31寺尾判決)を突き崩す決定的新証拠として弁護団から東京高裁に出されたのです。
 第29回三者協議で、弁護団が提出した新証拠「石川宅で発見された被害者の物とされる万年筆インクは、被害者が使っていたインクではない」との「下山鑑定」について、検察は「出されたばかりなので検討したい」と回答しています。これまで三者協議で検察は証拠開示を拒み続けてきました。植村裁判長下で進行してきた証拠隠しは、狭山闘争が53年目で新たな段階に入ったのです。
 高等裁判所・検察は寺尾確定判決を突き崩す新証拠に間違いなく追いつめられています。「下山鑑定」で狭山闘争は、再審の扉を開く新たな段階を迎えました。石川さんはこの新証拠について、「最早、検察、裁判所もどのような装飾、言い訳をもってしても動かしがたい新事実から、あるいは裁判官も検察を擁護できない事実を悟って、事実調べの決断に踏み切らざるを得ない……確定判決を覆す程の新証拠が発見された以上、速やかに事実調べ、再審開始を求めるのは言うまでもありません」と強い決意と再審の扉を開かせるという思いが伝わっています。
 部落差別と貧困ゆえに国家権力によって、「殺人犯」にされた石川さんの悔しさと怒りは、労働を奪われ階級的団結から切り離され、低賃金で搾取された非正規労働者の怒りと深く重なりあっています。 
 狭山闘争勝利は、解同本部派の「公正裁判」要求行動ではなく、国家権力犯罪を弾劾し、それに加担する司法権力=ブルジョア国家権力打倒の闘いを貫く中にあります。国鉄を軸に4大産別の階級的労働運動の前進で狭山闘争の勝利を勝ちとろう!

地平線,連載0324

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