東京都丸ごと民営化を許すな!第4回 東京都議選の勝利の環

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0326号11/01)(2017/05/01)

東京都丸ごと民営化を許すな! 労働組合の闘いで小池打倒へ! 第4回
東京都議選の勝利の環
小池都知事を民営化絶対反対の声と行動で包囲しよう!

(写真 築地市場前で朝街宣する筆者)

北島邦彦(東京西部ユニオン副委員長)

★朝鮮侵略戦争に突入する安倍―小池政治を打ち倒そう!

 米トランプ政権がシリア政府軍基地へのミサイル爆撃を強行し、朝鮮侵略戦争―核戦争の危機が一気に具体的切迫を見せている。いまこそ朝鮮戦争絶対反対の声と行動で、日本社会全体を席巻しよう!
 アフガニスタン―イラク侵略戦争の大破綻を受けて、オバマ政権下でさらに進行した米国の中東支配の破綻を、戦争激化によって打破しようとするトランプ政権の暴挙だ。アサド政権を支えるロシアとの対決を強調し、トランプ政権の「親ロ疑惑」の打ち消しをもねらうが、その先に何の展望も成算もない。
 米中首脳会談冒頭に行われたシリア爆撃は、朝鮮半島情勢をめぐる中国の影響力を激しく揺さぶり、米国のフリーハンド=戦争突入の自由を確保しようとするものだ。さらに、北朝鮮・金正恩独裁体制の軍事的転覆をねらうことと一体で、パククネ大統領の打倒―逮捕にまで到達した韓国の階級闘争―民主労総のゼネスト闘争を叩きつぶすための侵略戦争だ。米中日の支配層にとっては、この点では利害が完全に一致している。労働者国際連帯闘争の真価が問われている。「戦争動員絶対阻止!戦争協力拒否!」を掲げて、あらゆる職場・生産現場で闘う団結を生み出し、ストライキ闘争に立って戦争を止めることのできる労働組合を再生しよう! 国鉄水戸動力車労働組合を先頭とする、常磐線再開阻止!被曝労働拒否!の4・1浪江闘争は、朝鮮戦争情勢に断固対決することのできる闘いの方向性を指し示した。
 安倍首相はトランプ政権のシリア爆撃に対して、ただちに賛同・支持を表明した。しかし、安倍政権は朝鮮半島の戦争情勢に直撃され、崩壊的危機を深めている。朝鮮侵略戦争に米日一体で参戦していかなければならないが、戦争態勢をまったく構築できていない。この矛盾がますます深まり、森友学園事件や今村復興相や山本地方創生相の暴言続出など、政権の腐敗が噴出している。
 安倍政権の腐敗と危機は、小池都政にとっても一体のものだ。首都・東京の知事にとって、朝鮮戦争情勢を都政に無関係なものと等閑視することはできないはずだ。しかしこの情勢に関して、小池都知事は一言も語ることはない。戦争国家体制づくりに不可欠とされ、これなくしてオリンピック開催はないとまで強弁されている新共謀罪法案(テロ等準備罪法案)についても、都知事としての見解を明らかにすることはない。マスメディアも都議会の全政党・全議員も、このことをまったく追及しない。しかし、小池都知事は「語らない」ことによって安倍政権の戦争突入を支持し、軍都・東京づくりに邁進していこうとしているのだ。そもそも小池都知事は日本会議の大幹部として、正真正銘の右翼反動政治家だ。小池都知事はいまだに自身のホームページに日本会議幹部との鼎談を掲載し、そのなかで日本の核武装を推進し(「選択肢は十分ありうる」)、東京に米軍の核ミサイル配備を提案している。戦争推進者・核武装論者である本性を披歴して恥じない。小池都知事の側近中の側近である野田数(かずき)特別秘書(都民ファーストの会代表)は都議会議員時代、日本国憲法を廃止して大日本帝国憲法(明治憲法)を復活させよという請願の紹介議員になっていたことからも明らかなように、小池都知事がいかなる世界観・歴史観をもっている政治家であるかは一目瞭然だ。戦争絶対反対の労働者のストライキで、小池都政を打倒しよう!

(写真 1・27豊洲移転白紙撤回の築地デモ)

★豊洲新市場移転計画は民営化と戦争の攻撃だ!

 3月31日定例記者会見で小池都知事は、「市場のあり方戦略本部」の設置に関して、「これからの市場のあり方というのは、点としての豊洲であったり、点としての築地というのではなく、東京都として今後の市場のあり方を考えていく……広く物流も考えるという機会にしたい…そういったことを踏まえずに最終、総合的な判断というのは下せない」と述べている。これは何を意味するのか?
 小池都知事にとって、「豊洲か築地か」に問題の焦点があるのではなく、「市場のあり方」をどうするかに核心があるのだ。すなわち、豊洲・築地にとどまらず、都内に11ヶ所ある公設の卸売市場すべてを対象にして民営化を図るということだ。小池都知事が言う「総合的な判断」の真意がここにある。すでに「市場問題プロジェクトチーム」においても、卸売市場民営化に向けての議論が開始されている。そもそも、豊洲に新市場を移転する計画の決裁者であった石原元都知事は、2010年10月22日の定例記者会見で豊洲移転を決断したことを明らかにしたが、新市場を「流通機構の要」とすると述べている。
 「卸売市場」ではなく「流通機構」と断言していることに意味がある。たんなる流通機構であれば、あえて東京都が管理・運営する公的関与は必要ないということだ。豊洲移転計画はその当初から中央卸売市場の民営化計画として構想され、石原以降代々の都知事によって継承されて小池都知事の現状に至っている。私たちは民営化絶対反対の立場を貫くからこそ、「豊洲移転白紙撤回!」(中央卸売市場の民営化反対!)のスローガンを掲げるのだ。
 小池都知事によるあらゆる政策の柱をなしているのは、「民営化」と「規制緩和・撤廃」である。中央卸売市場も前述のごとくであり、待機児童対策とされる保育政策もそうだ。2020年東京オリンピック・パラリンピック後の大問題である施設運営についても、すでにコンセッション方式(料金徴収を伴う公共施設の運営権を民間事業者などに委託する)が小池都知事の口から語られている。そして上山信一・都政改革本部特別顧問(統括)が言う、「本丸」としての都営交通の民営化に行き着く。まさに東京都(の事業)のまるごと民営化と言うにふさわしい。
 民営化とは何であろうか? 1987年の国鉄分割・民営化から30年。徹底した労働組合破壊と、外注化・分社化による大量の非正規労働者の存在。事故の頻発(安全の崩壊)とローカル線の切り捨てなどなど。その現実を見ればその反労働者性―犯罪性は明らかだ。
 民営化とは第1に、大量の労働者の首を切り、労働者の分断と団結を奪い、労働組合解体をもたらす。民営化とは第2に、ひと握りの大資本に膨大な利益を独占させる。民営化とは第3に、労働者民衆の地域的拠り所を奪うことで、地域社会の共同性・連帯性を破壊する。民営化とは第4に、利益優先―コスト削減によって安全の崩壊をもたらす。そして民営化とは第5に、社会保障、医療、さらには教育まで、社会をその骨格からズタズタに切り裂いていく。
 こうした社会のありようは、戦争を推進することのできる社会―国家づくりでもある。最大の戦争反対勢力である労働組合を解体することこそ、その核心的課題だ。小池都政打倒のカギが都労連決戦にあるというのは、こうした意味でもある。戦争によって莫大な利益を吸い上げる大資本は、だからこそ民営化を積極的に推進しようとしてくる。朝鮮侵略戦争の具体的切迫情勢のなか、韓国・民主労総との国際連帯の真価を示すためにも、「民営化は悪だ!」という民主労総のスローガンをみずからのものとしよう。
 中央卸売市場の民営化の観点から、もういちど「築地か豊洲か」の論点にもどってみると、小池都知事が最終的には豊洲移転を強行しようとすることは明らかだ。豊洲の新市場こそ民営化に適した構造をもつものとして建設されているからだ。築地市場で営業している仲卸と言われる中小事業者のうち、約3割は豊洲に移転しての営業継続を断念していると言われる。移転に要する費用負担に耐えられない、それは後継者がいないことも関連している。その下で働く1万7千人とも言われる市場労働者の大規模な首切りが強行されるということだ。収益力の低い中小事業者を淘汰することが、豊洲移転そのものによって実現される。豊洲新市場を見学したある仲卸業者が、「マーケットにはなるけれど、市場ではなくなるね」と語っていた。独特の流通システムを形づくってきた「セリ」は、豊洲新市場では観光的見世物としてのみ残すと想定されている。新市場を牛耳ることになる大卸と呼ばれる大手業者の影響力がさらに増大したところで、生鮮品の価格決定が行われることになるだろう。
 「築地文化」の根幹をなす「セリ」は、生鮮品の適切な価格の安定を実現することで、漁業者・農業者の生計安定を図ってきた。さらに、流通の大本における食の安全確保をも担ってきた。築地市場はじめ都内11ヶ所の卸売市場が、東京都の管理・運営する公設市場として維持されてきた理由がここにある。かつて1954年米国の水爆実験によって、第五福竜丸をはじめ1000隻に近い日本のマグロ漁船が被爆した。築地に水揚げされたマグロも大量に被曝しており、「原爆マグロ」としてすべてが廃棄処分とされた。漁業者、卸売業者、魚商も甚大な被害を受けたが、ギリギリのところで食の安全を守ったのは公設市場としての築地市場であった。この歴史も忘れるわけにはいかない。
 豊洲移転→民営化の流れのなかで注目すべきことは、築地市場で営業する大卸7社の発行株式のうち約20%を、米金融資本ゴールドマンサックスが買い占めているという情報である。ゴールドマンサックスの株式所有は、大都魚類(マルハ系)は第2位、中央魚類(ニッスイ系)は第5位、東都水産は第2位となっている。ちなみに、東京都水産物卸売業者協会会長を務める伊藤裕康氏は、中央魚類(通称マルナカ)の代表取締役会長である。これら大手卸売業者は豊洲移転推進の急先鋒であり、中央卸売市場を民営化した後に日本最大の流通拠点をどの資本が牛耳るのか、すでにシナリオが描かれていると言っても過言ではない。

★矛盾と危機にまみれる小池都知事を都議選で打倒しよう!

 豊洲移転について「いったん立ち止まって考える」としてきた小池都知事は、9回目の地下水調査でベンゼンだけでなくヒ素やシアンまで検出される深刻な事態に直面した。しかし3月に実施した再調査でも、環境基準の100倍のベンゼンが検出されるに至って、「地下水を飲むわけではない」「科学的な安全性は確認されている」などの釈明に汲々としている。都民ファーストの会幹事長・音喜多駿都議はその著書で、「小池都知事が安全だと宣言して、みんなで豊洲に行こう」と書いている。安全なのに安心しないのは都民の責任だ……と言わんばかりの暴言だ。
 4月3日には市場問題に関する新たな都庁内組織として設置された、「市場のあり方戦略本部」の初会合が開催された。小池都知事の新組織立ち上げにかけるねらいはすでに述べたが、いくつかの組織を多重的に設置することで、「〇〇の結論が出ていないから……」と判断を先送りにする口実にしようとしていることも明らかだ。さらに4月8日、市場問題プロジェクトチームが築地市場関係業者との意見交換会を開いたところ、小島敏郎座長(都政改革本部特別顧問)が「私案」として築地再整備案を唐突に発表した。工期7年―事業費734億円、豊洲新市場は解体(費用150億円)、跡地は3200億円~4370億円で売却、とされている。かつての都による築地再整備計画では1991年に着工したものの、工期20年超―事業費3400億円超となることから計画修正を余儀なくされたうえ、石原都知事が登場した1999年に再整備は断念された経緯がある。小島私案に現実性はない。
 なぜいまこのような再整備案が打ち出されたのか。小池都知事が様々な選択肢を検討したうえで、「総合的に判断した」というアリバイをつくるために他ならない。豊洲市場問題で旧体制を突破したかに見えた小池都政であるが、いまやこの問題が小池都知事をギリギリと締め上げている。豊洲移転―中央卸売市場民営化、そしていよいよ「本丸」である都営交通の民営化へと進もうとする小池都知事を、「民営化絶対反対!」の声と行動で包囲しよう! 都議選勝利の環はここにある。ともに闘い、勝利しよう!