闘う合同一般労組 群馬合同労組中央タクシー分会、完全勝利

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0326号15/01)(2017/05/01)

闘う合同一般労組
群馬合同労組中央タクシー分会、会社の不当労働行為に完全勝利!

清水彰二(群馬合同労組 執行委員長)

 群馬県労働委員会は3月27日、命令を交付して、群馬合同労組中央タクシー分会の柴崎・都丸組合員に対する固定残業手当の毎月約8万円の減額ならびに3人全員の2015年冬の賞与の減額について「会社が組合や組合員に対する批判的な感情の下、その活動を抑制するために行ったもの」と不当労働行為を認めて、中央タクシーに対して「なかったものとして取り扱え」と支払いを命じた。川谷内分会長の運転業務はずしについては「申立の15年6月時点での配置替え自体は、健康に留意したもので不当労働行為とは言えない」と棄却した。
 しかし、会社は3月31日に分会長を運転業務に戻すことを通告、川谷内分会長は実に1年10か月ぶりの運転業務復帰を果たした。また申立て以降になされた3人の16年夏・冬の賞与ゼロ支給についても、4月11日、命令された金額と合わせて全額支払われた。
 労働委員会への申立てに続いて、固定残業代制度の悪らつさ、違法性を暴くために16年10月に提訴した割増賃金等請求訴訟では、不当労働行為に対する慰謝料も求めている。
 職場闘争に徹底的にこだわりながら、労働委員会・裁判闘争を攻撃的に闘ってきた成果である。これらを支えてくれた組合員、地域の仲間、全国の仲間に心からお礼を言いたい。ありがとうございました。

※勝利の教訓は豊かだ

 川谷内分会長の1本のメールでの相談から始まって1年10か月。もちろん闘いはこれからだが、闘いに次ぐ闘いだった。その勝利の教訓はとても豊かである。

労働者の怒りに依拠し闘った

 一つは、労働者の怒りに徹底的に依拠して闘ってきたことだ。人手不足と長時間労働、無理に無理を重ねて不満を言おうものならパワハラと差別配車。みんな毎日が地獄のようだった。川谷内分会長や都丸組合員は、これまで怒ったことがないんじゃないかという人柄。ところが闘いが始まり、会社の組合つぶしが始まるや、3人の怒りが大爆発していく。所長や運行管理者に対する日々の怒りの追及に始まり、本社抗議行動や団体交渉では、社長に対する激しい怒りが叩きつけられた。とりわけ団体交渉を、組合は最大級の闘争として位置づけ、組合員の総決起をよびかけ、会社のふざけた対応に対して、組合員が机をけり上げるほどの怒りが叩きつけられた。こうした組合員の怒りの決起が団結を生み出し、組合の総決起をさらに拡大した。

国鉄闘争と一体で闘った

 二つには、国鉄闘争と同じ闘争として闘ってきたことだ。川谷内分会長は、かつて労働組合の活動家であった。しかし挫折し、労働運動に絶望して、別の人生を生きてきた人だ。理由は、共産党の「指導」に対する絶望。そして再び職場の現実に絶望し、怒りで眠れず、新たな長時間運転が迫る中、飲んだ睡眠導入剤でもうろうとする意識のなか、「千葉で闘っている国鉄の組合があったはずだ…」という記憶が浮かびあがる。そしてネットで検索、群馬合同労組にたどり着いた。
 そして組合加入の2日後には国鉄集会に参加して、確信を深める。節目節目で、飛躍を問われる場面がいくつもあった。そんな時に方向性を示してくれるのは必ず国鉄闘争であり、合同一般全国協であり、闘う仲間たちの存在であった。困難に直面したときに国鉄闘争の地平に立つことができたから、困難な局面を打開できた。そこには確固とした時代認識、労働者に対する根底的な信頼があった。
 国鉄分割・民営化以来の新自由主義は、一方で労働基準法もなきに等しい地獄のような労働現場と、もう一方での労働組合の屈服・堕落をうみだした。それが30年続いた。ブラック企業が幅をきかせる世の中。「おかしいだろう」「生きさせろ」と声をあげることは、30年前に国鉄労働者が分割・民営化に反対して声をあげたのと同じくらい勇気と決断のいることだ。しかも動労千葉や動労水戸のような団結できる仲間もいない。そういうぎりぎりの状況で、なおも立ち上がる労働者に対して、私たちは真っ向から「国鉄闘争のように闘おう!」「組合で団結して闘えば必ず勝利できる」と訴え、勝利したのだ。国鉄闘争は支援運動ではない。同じ闘いを自分の職場で闘うのだ。

自覚的に攻撃的に闘った

 三つには、従って、新自由主義の30年と対決し、打ち破る闘争をめざし、自覚的に攻撃的に闘ってきたことである。
 とにかくブラック企業との闘いである。一方的で不当な処分・攻撃。団交から逃げる。不誠実な対応。不利なものは一切出さない。これを打ち破るためには、労働委員会闘争、裁判闘争は不可欠な闘いである。そうした闘いをやり抜く力、財政が必要になる。必死にやるしかない。その中で組合と地域の仲間との団結を具体的に作り出す。こちらが本気になってはじめてみんなが本気になる。そしてこの闘いは必ずや30年の新自由主義を打ち破る爆発的な力と団結を作り出す。
 中央タクシー分会の闘いは、とりわけ運輸労働者がおかれている長時間拘束、それを強制する固定残業代制度との正面からの闘いである。
 こうした労働者にとって根本的なテーマが、国鉄分割・民営化以降の新自由主義によって基本的に放置されている。闘ってきたのは過労死した労働者の遺族や病気で働けなくなった労働者で、労働組合が闘ってきたという事例はきわめて少ない。こうしたテーマをすべて引き受けて闘うのである。その力を作り出すのだ。
 こうした闘いは絶対にすべての労働者の共感と支持を生み出す。組合の団結、地域・全国の支援・連帯を作り出す。国際的な共感と連帯も作り出す。一人の決起が必ず世界革命に向けた階級的団結を作り出すのだ。ここに国鉄闘争が作り出した地平がある。

※次の課題は組織拡大だ

 中央タクシーの闘いは、次なる組織拡大という課題をつき出している。東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会と同じだ。ここで突破した時に大きく道がひらける。分会と組合の団結でみなさんに必ず次の勝利を報告したい。