闘う合同一般労組 山陽測器の解雇撤回闘争は完全勝利和解

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0346号12/01)(2019/01/01)

闘う合同一般労組
山陽測器の解雇撤回闘争は完全勝利の和解を勝ち取った!

(写真 12・8山陽測器闘争勝利和解報告・祝賀会)

森実 知恵美 (広島連帯ユニオン執行委員)

10月23日に完全勝利和解

 山陽測器解雇撤回の闘いは、10月23日、M組合員(広島連帯ユニオン)の完全勝利の和解を実現しました。
 2015年11月13日にM組合員が即日解雇されてから3年間、「解雇撤回・原職復帰」をめざしてとことん闘い抜き、会社を徹底的に追い詰め、M組合員も組合も満足のいく形での和解をかちとりました。また、11月1日に広島県労働委員会命令(解雇撤回・原職復帰)取消訴訟で、会社が訴訟を取り下げ、解雇が不当労働行為であったことが確定したのです。
 全国の仲間のみなさん、ご支援ありがとうございました。
 この闘いは、労働者が労働組合で団結する大切さと、原則を曲げずに闘えば勝てることを証明しました。パワハラや不当解雇で悔しい思いや絶望している多くの労働者にとって、希望と闘う勇気を与えることができました。そして、改憲に向かう安倍政権の働き方改革、解雇の自由化、「労働組合のない社会にする」、労働組合をめぐる攻防として、この勝利は重要だと思います。
 M組合員は、会社からの退職強要をはね返すために、2014年3月に広島連帯ユニオンに加入しました。M組合員は、労働者を自分の思い通りに支配し、いつでも解雇できるという山陽測器資本の社長の横暴に「これまでも何人もの社員が泣く泣く辞めていった。私だけの問題ではない。だから、絶対に負けたくない!」と決意して労働組合を選択したのです。その決意は組合の仲間と共に闘うことで、資本と非和解を貫く強固な信念として培われました。
 勝利の道筋が私たちにあらかじめあったわけではありませんでした。決して平坦な道
のりではありませんでした。国鉄闘争30年の闘いの歴史と東京西部ユニオン鈴木コンク
リート工業分会の解雇撤回闘争に学びながら、安倍政権の解雇自由化との最先端の闘い
と位置づけ、社前闘争、労働委員会、裁判とあらゆる手段で闘い、展望をこじあけてき
ました。M組合員と組合との信頼関係に基礎を置き、一緒に考え、一緒に闘いました。
お互いが獲得されながら団結し、一つひとつの課題をのりこえてきました。労働者の力、団結の力、労働組合の可能性を実感しながらの闘いでした。広島連帯ユニオン全体が飛躍をかちとってきたと思います。

組合の団結で会社を徹底的に追い詰めた!

 山陽測器は、M組合員を解雇するために次々とあくどい方法で、闘いをつぶしにかかってきました。社員に、M組合員をターゲットにした詳細な「ミス報告書」を作成させたり、「解雇要求署名」を集めさせたりしました。しかし、これらの策動も、闘う団結を崩すことができず、逆に不当労働行為を実証する、会社にとって不利な条件となり、ますます会社を追い詰める結果となりました。
 M組合員は、職場での社長の執拗(しつよう)なパワハラと闘い続けていましたが、M組合員個人のがんばりにまかせるだけではなく組合で団結して、2015年10月1日に社前闘争を開始しました。これが闘いの転換点となりました。広島連帯ユニオンを先頭に、労組交流センター、婦人民主クラブ全国協議会広島支部の仲間が「自らの闘い」として団結して、山陽測器の社員や地域の住民に向けてアピールを行いました。11月5日朝、2回目の社前闘争を終えたM組合員が職場に入ったところ、部長が「死ね」と暴言を浴びせてきました。組合の追及に会社側は、「ひとりごと」と居直りましたが、社前闘争による打撃の大きさのあらわれでした。
 その直後の11月13日、勤務終了直前にM組合員は社長に呼ばれ、即日解雇の通知をされたのです。13年も働いてきた社員に対して「○○分後には部外者」とは何という言いぐさでしょうか!
 社前闘争は、団結がなければできないことです。「解雇撤回・原職復帰」を求める社前闘争を月1回のペースで3年間やり通しました。団結の強化・拡大の決定的闘いとして、会社を追い詰める原動力となりました。
 山陽測器闘争は、労働委員会、裁判での争いのすべてに組合側が勝利しました。団体
交渉でも会社を圧倒してきました。何よりも信念を貫き、不屈に闘うM組合員の姿は、
多くの労働者や若者、女性の心をとらえ、獲得してきました。

一つの闘いが新たな闘いへ

 12月8日、広島連帯ユニオンは、山陽測器闘争勝利和解報告・祝賀会を開催しました。組合員を先頭に、動労西日本、労組交流センターの仲間、婦人民主クラブ全国協議会の会員たちが一堂に会し、大いに盛り上がりました。
 広島連帯ユニオンの鈴木範雄委員長は、「労働組合は、何と言っても仲間との団結。その存在があって心強い団結を深めることができた」とあいさつ。続いて「山陽測器小史」とも言うべき経過報告があり、4年半にわたる闘いがリアルに再現され、皆で共有することができました。
 M組合員本人からの「団結があったから勝つことができた。これからも末永くユニオンと一緒にやっていきたい」という明るい発言に、大きな拍手が沸き起こりました。
 次にM組合員とともに中心で闘った中央支部より「今回の和解は、3年間の原則を貫く闘いの総括をめぐる真剣な討議の上での選択であった」と報告されました。その後、参加者全員が、自分と山陽測器闘争について、あるいは今の情勢と闘争の意義について
次々と発言しました。
 M組合員が広島連帯ユニオンを選ぶ動機となった、サンナビ解雇撤回闘争を闘ったF組合員は「M組合員が、信念を貫き通したからの勝利でした。自分の闘いが山陽測器闘争の先駆けになれて良かった」と力強く発言。
 山陽測器闘争は、終わりではなく、次の新たな闘いへと青年たちが続々と立ち上がっ
ていく展望をつくり出した祝勝会となりました。

(写真 2015年10月以来続けてきた毎月1回の社前ビラまき行動)