尼崎事故を繰り返すな JR弾劾し現地で集会・デモ
尼崎事故を繰り返すな! JR弾劾し現地で集会・デモ
冨山 小太郎(関西労組交流センター)
4月21日、「尼崎事故を繰り返すな!尼崎事故14カ年弾劾!全国総決起集会」が、JR尼崎駅北口広場で開かれました。この集会は、動労千葉と国鉄闘争全国運動・関西が主催し、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部や全国金属機械労組港合同などが加わる集会実行委が呼びかけて毎年開催しています。事故から14年目の集会には、185人が参加し、事故現場までデモをしました。
尼崎事故を押し隠すJR西日本
昨年9月、JR西日本は尼崎事故現場に「祈りの杜」と呼ばれる巨大な慰霊施設を作り上げ、事故現場を大きなドームで覆ってしまいました。「こんな事故を起こしてはいけないと訴えるためには、どうしても現場が元の状態で残ってほしかったと思います。ですから本当に残念です」(4月21日のインタビュー)という遺族の思いを踏みにじって建てられたこの施設は、「悲しい過去」として事故を隠蔽しようという、JR西日本の姿勢を示しています。
05年4月25日、JR福知山線の塚口―尼崎駅間で電車が脱線・転覆・大破し、運転士と乗客107人の命が奪われました。これは、JR西日本が私鉄と対抗するために過密ダイヤを設定し、無謀なスピードアップを強行した結果でした。
危険性が指摘されていたにも関わらず、JR西日本は自動列車停止装置(ATS)の設置をしませんでした。極限まで軽量化されたアルミフレームの車両は、くの字型に折れ曲がって被害を拡大させました。
何よりも許し難いのは、JR西日本は、この無理なダイヤを維持するために、1分でも遅延した運転士を乗務から外し、「日勤教育」と称してつるし上げをしていました。パワハラをほしいままにした労務支配のなかで、多くの運転士が追い詰められ、体を壊していったのです。
運転士・車掌廃止のジョブローテンションは尼崎事故への道
尼崎事故を経ても、JRの体制は全く変わっていません。
JR東日本では、3月ダイヤ改定でJR東日本は乗務員勤務制度を改悪し、命を奪うような長時間行路を乗務員に強制しています。ストライキで反撃した動労千葉の組合員は、「このままでは1988年12月5日に東中野駅構内で起きた列車追突事故、尼崎事故のような大事故が必ず起こる」と怒りの声を上げています。
さらにJR東日本は、「新たなジョブローテーション」と称して、運転士と車掌を廃止する提案を出してきました。熟練が必要な運転士や車掌の職務を否定し、10年ごとに異動を強いて経験を積む機会を奪うのは、安全無視のきわみです。
JR西日本も3月ダイヤ改定で、京阪神にある180の「みどりの窓口」を30に削減するという攻撃に踏み込んでいます。
今年の尼崎集会はこうした「労組なき社会」という攻撃の中で、攻防の焦点となりました。
尼崎事故を許すな!の闘いは闘う労働運動を甦らせること
集会の冒頭、動労千葉の川崎昌浩書記長は「第2の尼崎事故が目の前に迫っている。労働組合を解体し、安全を破壊する攻撃と対決する」と宣言しました。 さらに、港合同の中村吉政委員長から、「福島原発事故の時、労働者・労働組合は何をしていたのかが問われた。尼崎事故を弾劾し、JR西日本を追及し続けてきたこの闘いは重要だ」と訴えました。
特別報告では、関西生コン支部の武谷新吾書記次長から発言を受けました。関西生コン支部に対しては、共謀罪型の激しい弾圧がかけられています。武谷新吾書記次長は、4月11日の武建一委員長の再々逮捕を弾劾し、滋賀県警組織犯罪対策部による非道きわまる弾圧と家族へのいやがらせを、怒りを込めて暴露しました。
圧巻の基調報告は、動労西日本の山田和広書記長です。基調報告で、山田書記長は「JR東の運転士・車掌の廃止提案は、安全運行に責任をとってきた誇りを現場労働者から奪い、『会社の利益をまず考えよ』と意識改革を迫るものだ。尼崎事故の本質的な原因は、国鉄分割・民営化によって国鉄労働運動が解体されたことにある。JR西日本は「稼ぐ!」というスローガンを詰所に堂々と貼り、運転士には「日勤教育」と称する締め付けを日常的に行った。これと労働組合が闘いきれなかったことによって尼崎事故は起きた。『二度と尼崎事故を許すな!』の闘いは今こそ必要だ。それは、闘う労働運動をよみがえらせることだ」と力強く訴えました。
主催者からの提起を受けて、動労総連合が次々と発言にたちました。動労水戸の石井真一委員長は「ダイ改以降、現場はフラフラでオーバーランが多発し、再び尼崎事故が起きても不思議ではない状況だ」と弾劾し、動労総連合・九州、動労北陸、動労福島、動労西日本が続いて決意を表明しました。さらに、神戸市職の労働者や広島連帯ユニオンの発言が続きました。
労働組合の力で改憲と戦争を止めよう!
尼崎事故を繰り返さない闘いはこれからです。
安倍政権は労働組合を破壊し、改憲と戦争に本格的に進もうとしています。しかし、杉並区議選において、「改憲・戦争絶対反対!」を掲げた洞口朋子さんが3275票の圧倒的支持を集めたように、安倍政権の改憲・戦争の攻撃はグラグラに揺さぶられています。
今こそ労働組合が社会の前面に登場し、ストライキで改憲・戦争、労組破壊、全面的外注化と闘う時です。JRの攻撃に対して、動労総連合は、3月、全国でストライキをはじめとする反撃に立ちました。国鉄分割・民営化以来の大決戦に、すべてのJR労働者は総決起しましょう。「非正規だけの社会」をつくらせず、「命よりも金もうけ」の攻撃を粉砕しましょう。