労働組合運動の基礎知識第62回 法定休日と法定外休日の割増の違い

2019年12月24日

月刊『労働運動』34頁(0357号10/01)(2019/12/01)

労働組合運動の基礎知識 第62回
法定休日と法定外休日の割増の違い

前号第61回で書いた件に関わる団体交渉の続き。
未払残業代・未払休日手当について、会社側の社労士が計算した額と組合側が計算した額が異なっていて、再交渉である。これは就業規則の作成にも関わる重大な対立点となっている。会社側の新たに作成してきた就業規則の休日の項目に「シフトの定めによるが、週休2日を原則とする」と記されている。この考え方が過去の休日手当の割増計算にも反映されていて、組合側が計算した休日割増額と異なるのである。
どういうことなのか。会社側は、法定休日の曜日を特定することなくして、休日を「週2日」とすることで、過去の休日出勤について法定休日に働かなかったことにしようとしているのである。
組合が結成される前は、休日が4週に4日しかなかった。週40時間が労基法の上限時間なので、1日8時間だと2日間休みがなければならない。1日は休んでいるが1日は働いている。法定休日に働いた場合の休日割増は3割5分増しでなければならない。組合の結成通知と要求に対して、会社側は団体交渉をする前に、その非を認め、法定休日に仕事をしたことを認め、割増分を支払ってきた。例えば、時給1500円のAさんの法定休日割増は3割5分である。実労働時間が7時間弱の計算の為に、日給は1万400円。1万400×1.35=1万4040円となり、1か月5日の休日労働で休日出勤手当は7万200円である。組合結成通知直後の1か月分だけ、こういう形で休日手当が支払われ、その後は週休2日になったため、こういう計算方法での休日手当の支払いはなくなっている。
しかし、法定休日が定められていないため、日曜日に働いた場合の割増賃金をいくらにするかの計算方法が異なってくるのだ。更に過去2年分の休日割増計算を、法定休日に働いたことにするのか、そうでない法定外休日に働いたことにするかで割増計算の額が異なってくるのだ。
「1 法第35条は必ずしも休日を特定すべきことを要求していないが、特定することがまた法の趣旨に沿うものであるから就業規則の中で単に1週間につき1日といっただけではなく、具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導されたい」(昭23・5・5 基発682号、昭63・3・14基発150号 『労働基準法解釈総覧』厚生労働省労働基準局編 労働調査会 2005年12月1日版351頁)
「基発」というのは労働基準局長名で発する通達のことであり、厚生労働省は法定休日をきちんと特定するよう指導している。週の何曜日が法定休日であるのかを曖昧にした「週休2日を原則とする」とするという就業規則はダメなのだ。
日曜日を法定休日と就業規則に明記したとすれば、日曜日に出勤して、他の日に休まない場合は3割5分の割増の休日手当を支払わなければならないということである。

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)

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