新型コロナウイルスの感染拡大に際し訴える 命と生活を守る闘いに立ちあがろう
新型コロナウイルス肺炎の感染が拡大しています。多くの方が感染の拡大に不安を抱え、いつも以上に気を遣いながら毎日の仕事、子育て、親の介護などに奮闘されていると思います。最近のニュースによれば、名古屋では総合病院で入院患者の感染が判明し外来と救急が停止となりました。新潟の三条郵便局でも感染者が出て窓口業務と集配業務が停止となっています。また鎌倉市では職員が感染者に接触したことを契機として全職員の4分の1に当たる約300人が休職するとの報道がなされており、社会的に大きな影響が出始めています。
安倍政権、厚労省が37.5度以上の熱が4日以上続くことなど受診に対する勝手な基準を定め、症状が軽い者は自宅療養、自己責任で休めとした結果、まともな検査も治療も行われず、感染が広がり、重症化し、死者が出ています。こうした中で、2月28日に安倍が突如として打ち出した「小中高の全国一斉臨時休校」方針が事態をさらに深刻化させました。学校の休校は給食業者の経営も直撃するなど社会に与える影響は広範囲になっています。
北海道の帯広厚生病院では子どもの面倒を見なければならず職員の2割にあたる170人の看護士が出勤できないとのことで予約外の外来患者の受け入れが出来なくなりました。現場を無視した一斉休校に学校現場も大混乱です。学校休校にともなって学童保育や児童館が子どもたちの受け皿となり、現場は大変な労働強化になっています。少ない人員で十分な感染対策も備わっておらず、むしろ感染が拡大する可能性すらあるなかで子どもの命や自分や仲間の命を守るために現場は必死に闘っています。
人手不足で迷惑がかかるから休めない、派遣社員にテレワークは適用されない、アルバイトやパートは仕事を休めば喰っていけない、有給休暇がない、子どもをどこに預ければよいのか、学校が休みになって食費がかさむ、など非正規労働者や母子家庭、父子家庭の訴えも切実です。
◆新型コロナウイルス肺炎の感染拡大が暴き出したのは日本社会の崩壊の現実
「コロナに感染する前に食べられないで死ぬ子どもがでる」-学校の給食がなければ死ぬ子どもがでるとの現場からの告発は、今回の事態の根底に貧困と非正規の蔓延があることを明らかにしました。観光業の受ける打撃も深刻で、特に地方崩壊の中で観光に頼らざるをえなかった北海道や沖縄などは壊滅的な打撃を受けています。そしてなにより重大なのは安倍政権によって労働運動が後退を強いられ、労働者の団結が破壊されてきたことです。
連合中央を始め春闘集会や組合大会が軒並み中止や延期となり、反原発集会などの集会やデモも規模の縮小が打ち出されています。自分と家族、仲間の命や健康を守るための措置は必要ですが、闘いをやめてしまってはなりません。この事態を根本的に解決することが出来るのは、労働者の団結した闘いを甦らせることにあるはずです。
闘いがすでに開始されています。合同・一般労働組合全国協議会は声明を発し、「コロナウイルス関連労働相談」を開始しました。イベント中止や客の激減による旅行業やサービス業での赤字拡大、倒産がはじまり解雇や雇い止めがおこり始めています。また、サプライチェーンの影響で工場の操業停止や縮小がはじまり派遣切りも始まっています。すでに経済に与える影響は「リーマンショックを超える」と言われはじめておりこれから事態が深刻化していけばかつての「派遣村」をこえる解雇、雇い止めも想定されます。
安倍・厚労省は労働者の怒りに動揺し、仕事を休んだ従業員に給料を全額支払った企業に助成金を出す新たな制度などを打ち出しましたが、すべては力関係で決まります。コロナ関連の休業を労働者の自己責任にさせず、企業の責任で休業を決めさせ、賃金補償、休業手当を行わせる闘いが必要です。街頭での労働相談のビラ撒きも始まっています
医療関係の職場でも、経営に対する感染拡大防止の申し入れや職場でのビラ撒きが始まっています。働く者への安全配慮義務、健康配慮義務は企業の側にあります。直接雇用、派遣、請負にかかわらず病院で働く全ての労働者に対する検温をはじめ、熱がある場合は就労させるか、帰宅させるかをすべて自己責任とさせず会社の責任で判断させることです。さらに、多くの医療現場では今回の事態が起こる前にすでに人員不足に拍車がかかり、安全が崩壊し、日常の業務すらまともに行われない医療崩壊の現実がありました。労働組合として感染症対策と共に大幅な人員増の要求を合わせて行うことも重要です。
また、小池都知事による独法化攻撃に直面していた都立病院が多くのコロナウイルスの患者を受け入れています。都庁職病院支部は「感染の脅威に立ち向かい、住民のいのちを守る拠点になる都立・公社病院を独法化する計画を進めることは許されない」と宣言し闘いを開始しています。
学校では、日教組香川三観地区教組の仲間が、変形労働時間制導入反対の闘いに続いて、今回の休校問題に関する申し入れを教育委員会に対して行いました。
◆事態を根底から打開できるのは労働者の団結した闘い
職場、地域における闘いとともに、JRにおける闘いや関生支部に対する支援の闘いも重要です。「ピンチをチャンスに」(橋下)、「テレワークや時差出勤など企業も推進してほしい」(小池)などとこの事態をショックドクトリン的に利用して「働き方改革」を進める動きもあります。奈良市では学校業務・臨時職員約30名に突然解雇通告が言い渡されました。「非常事態」に乗じた労働組合破壊、労働運動への攻撃はますます激化しようとしています。
動労千葉は3月14日のダイ改、4月1日からのジョブローテーション実施に反対してストライキに立ちあがります。3月15日には「関西生コン労働組合の弾圧を許さない東京の会」の結成集会を行います(東京・千駄ヶ谷区民館、14時開始)。労働運動を甦らせるために今こそ闘いに立ち上がるときです。
また、安倍政権は新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するためとして緊急事態条項を柱とする既存の新型インフルエンザ対策特措法の改正を検討しています。内容は、「国民生活・経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある場合に首相が緊急事態を宣言。都道府県知事は学校、映画館などの使用制限や、集会、イベントの中止を指示できる。臨時医療施設を開設するための土地・建物の強制使用なども可能」というものです。安倍は労働者民衆の怒りが政権に向かうことを恐れ、労働者の闘いを封じ込めるとともにこれを機に改憲を狙っています。感染症が拡大する中で集会や行動を呼びかけること自体に緊張がありますが、取りうる対策は取った上で、3・11福島行動をはじめ、これまで呼びかけている行動については実施する予定です。安倍に対する怒りが高まっている今こそ、行動を呼びかけ、怒りを闘いに転じることが必要だと考えます。
持病のある方、体調に不安のある方などは無理な参加をなさらないでください。行動できる人は行動を、知恵を出せる人は知恵を、あらゆる力を結集させてこの事態に立ち向かいましょう。
(3月3日)