感染拡大はもう待ったなし   医療・介護・福祉労働者は闘って自分の命と職場を守ろう!

新型コロナウイルスの感染拡大がますます拡がる中で、私の病院(練馬区内の精神科である陽和病院)でも感染を疑う患者さんが出ました。PCR 検査の結果で判定が出るまで3日間を要し、結果は陰性でしたが、結果が出るまで隔離対応で、職員も一対一での対応にかなりのストレスを感じたとのこと。さらに、一度のPCR 検査で陰性でも継続的に診ていく必要性があり、まだ予断を許さない状況にあります。医療・福祉、介護の労働現場は今、戦争状態さながらです。

医療・介護・福祉の現場は、患者さんや利用者さん、高齢者と接することが一番多い職種であり、日頃から感染リスクが他の職種に比べて高いので、今回のコロナ感染リスクと向き合って自分の健康を守りつつ、医療を守り、感染終息への見通しを指し示していく役割が必然的に求められます。
一陽会労働組合は、この新型コロナウイルス感染問題にあたってマスク使用の制限や感染防止に対する労働条件の対応が不明確であり、このままでは私たち医療福祉介護労働者の命と雇用が脅かされると考え、改めて3 月17 日に「新型コロナウイルス問題に関する申入書」を提出しました。

医療技術の進歩がこれだけ進んでいる中で、マスクもない、消毒液もない。人員不足や子どもの休校で職場を休まなくてはいけないのに補償もない。医療体制の崩壊で検査も治療も受けられない……。新型コロナウイルスの感染拡大を通して暴かれたのは、新自由主義の30 年間がもたらした社会の崩壊です。
3月6日に「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点」と題する厚労省の通達が出されました。ここには「濃厚接触が疑われる利用者に係る適切な対応と実施」について「居宅のケアマネジャーは、保健所と相談し、生活に必要なサービスを確保し、ヘルパーの利用を検討すること」とありますが、これには大きな問題があります。

医療の基本は「早期発見・早期治療」です。ところが厚労省通達は、検査・治療をせずに、感染が疑われる高齢者の処置を訪問介護労働者に押しつけると言っているのです。そのことで高齢者の命を奪われてはなりません。そして訪問介護労働者へ感染リスクを避ける措置もないままに「ケアに行け!」とはどういうことでしょうか!? そのお先棒を担ぐ先兵として、ケアマネジャーを利用するなどもってのほかです。理不尽な厚労省通達に対しては、命を守る労働者として断固闘います。
どんなに小さく見える要求でも「今、声を上げること」が絶対に必要です。コロナウイルス問題関連の要求を自分の職場で上げていきましょう。自分の職場を変え、そして社会を変えよう。医療・介護・福祉労働者は、命を守る先頭に立とう。そしてコロナウイルス感染と闘う最前線の公立424 病院を統廃合しようとする安倍、都立病院を独法化(民営化)しようとする小池都知事と闘いましょう!

坪井 静(一陽会労働組合委員長) 『月刊労働運動』4月号掲載