医療現場で働く女性たちと共に

越谷市立病院の医事課に配属され7年が経つ。当初は聞き取れない医療用語や、読めないカルテ、顔も名前も知らない様々な職種との関わりに戸惑っていた私もそれなりについていけるようになった。病院にいる間に1年未満の育休を2回取り、今年は2か所の保育所を送迎しつつ短時間勤務で働いている。

病院というと医師や看護師、放射線技師や検査技師、理学療法士、薬剤師などの多様な専門職が目立つが、それを支える職種もたくさんある。事務はもちろん、医療事務、窓口担当、看護補助者、病棟クラーク、診断書の下書きをする医師事務作業補助、警備員、紙カルテの管理、電子カルテの維持管理部、院内物流管理(SPD)、院内清掃、電話交換…。そして医療事務以下に挙げた業務は、実は当病院では委託か非常勤の労働者が担う業務となっており、このうち警備以外はほとんどが女性だ。
病院支部を闘う組合にしたいと活動してきたが、医師の過重労働、看護師不足(募集しても集まらない、辞める)、事務職の不足(専門的な育成もできない)、育休代替がいないなどの山積する問題に、自分の時間のなさも加わり、なかなか話をすることも難しい。その中で直面したのが「医療事務」、「委託・非正規職」の問題だった。独り身の時は残業中に話す時間もあるが、子どもを迎えに行くため話せるのは昼休みで、休憩所や食堂でそうした女性たちと話す。
非常勤の方々は私よりずっと経験が長く、病院で仕事をするなら彼女たち抜きでは絶対に成り立たない。そして、不平等な扱いをされたことや、組合が機能しないことに本当に怒って話をしてくれる。「会計年度任用職員になっても待遇は変わらない。むしろ良くなる」という、当局・組合一体の説得の中で抑えられているが、「業務が複雑化、多様化する一方の自分たちの労働は、この名前に見合わない」と多くの労働者が思っていると感じる。
また、医療事務の委託先である(株)セラムの労働者たちは賃金と割にあわない強労働に対して抗議し、退職したり、解雇されたりで、彼女たちと話す中でこうした事実が明らかになった。この積年の声を背負って、現場の労働者が合同労組での闘いを開始したことで、医療事務業界が総体として女性労働者を安く使い捨てにし、財政難の自治体病院がそれを必要とするという構造的問題が浮き彫りになってきている。

先日は「新型コロナによる休業を職員と同等に扱え」という要求も出しているが、返事はない。職員は「職務専念義務免除」で休めても、委託先の労働者は「欠勤扱い」! こんな要求を出させている点で、委託元の自治体にも大いに責任がある。そして委託元の組合がこの状況を無視していいはずはない。
体制内労働組合内部にある女性蔑視、女性軽視を私はずっと感じている。多職種で女性が多い医療現場だからこそ、女性労働者が団結する労働運動が今こそ必要だ。時間がない、集まれない、話ができない。だけど怒りはあり、団結を求めている。
多くの女性の声を聞き、団結を組織して、新型コロナ戒厳情勢に立ち向かおう!

齋藤知春(自治労越谷市職員組合) 『月刊労働運動』4月号掲載