「政府は無能!ストライキで香港を救え!」香港労働者のスト決起!

昨年6月より本格的に爆発した「逃亡犯条例」改悪に反対する闘いは、中国への政治犯の送還に反対し、普通選挙などを要求する闘いである。それは2020年以降も続いているが、新型コロナウイルス情勢の中で労働組合の現場闘争が全面的に発展している。
そもそも「逃亡犯条例」反対の闘いは、当初より労働組合が大規模集会とデモを根底で支えていた。労働組合が、デモの防衛や偵察、医療、兵たんなど、警察との激突に勝ち抜きデモを守るために必要なスタッフを組織し、それが数百万デモの実現を支えていたのである。
警察とデモ隊の激突はますます激しくなり、中国人民解放軍による大弾圧さえも予想される情勢に昨秋より入った。その中で、この闘いに勝利する道は〝全香港ゼネスト〟以外にない、そのためには〝労働組合を作ることだ〟と、香港職工会連盟などが呼び掛けて10月より全力で労働組合建設運動が開始された。新たな労働組合が次々と作られ、12月23日までに43の新組合がたちまち結成された。
その一つの「医院管理局員工陣線」が新コロナ情勢の中で、感染拡大を防ぐため、香港と中国境界の封鎖や医療現場での安全対策、現場での十分な防護物資・人員の保障などを求めて、2月3~7日の5日間ストライキに決起した。新型コロナウイルスの拡大の中で、医師や看護師、防護服やマスクさえも不足するなど、香港の医療現場は、すさまじい危機に入った。手術や検査も10万人が遅れる状況に突入した。一方で、一番感染する可能性が高い中国と香港の入境規制は、中国政府の意向を反映してゆるかった。こうした政府に抗議し、医療現場での安全を求めた必死のストライキだった。
政府側は「敵前逃亡だ!」「患者を人質にとるな!」などの激しい罵声をストライキ医療労働者にあびせたが、医療労働者は一歩も引かずにストライキを貫徹した。ストの過程で、この組合は2万人を超える組合に発展した。
今、医院管理局は、ストライキを闘った労働者への処分を進めようとしているが、これに対して医院管理局員工陣線は職場闘争で反撃している。
他方、同じ医療労働者の組合である医院管理局職工総会(香港職工会連盟所属)は、「ストライキに参加しなかった労働者は、ストを闘った労働者を支えよう!」と、処分反対の署名運動を開始しており、組合を超えた医療労働者の団結が拡大している。
ホテルやレストランの倒産、旅行業や航空業の経営破綻など香港経済の危機が深まっているが、その矛盾がすべて労働者への解雇や無給休暇の強制などの形で押し寄せている。こうした香港政府と資本の攻撃に対して、これらの労働組合は反撃の闘いに立っている。
香港の労働者と連帯して、日本でも労働組合建設運動を全力で進めよう!

河原 善之(動労千葉国際連帯委員会) 『月刊労働運動』4月号掲載