ミャンマー労働者人民の不屈の闘い

2月1日の国軍によるクーデターから約3か月、ミャンマーの労働者階級人民は、国軍支配の打倒を目指して不屈に闘っている。ほとんどすべての労働者が不服従のストライキに起ちあがっている。16の労働団体が連合してゼネストの呼びかけを行い、この闘争全体の中心軸となっている。国軍は、見境のない虐殺、逮捕、勾留を行っている。伝えられる死亡者は4月中旬で700人を超えた。少数民族地域では空爆まで行われている。

狭い「民主化」の枠にはおさまらない

NLD(国民民主連盟)は、臨時政府を組織した。狭い意味での「民主化」には収まらない闘いが発展している。この約30年間、ミャンマー経済も新自由主義の波をかぶり格差が拡大してきた。働いても食っていけない労働者の怒りが充満している。だからこそ情勢は全面的な階級的対決となったのである。
昨年11月の総選挙で、軍が作った政党(連邦連帯発展党)は壊滅的に敗北した。議席の4分の1が保障されるなどの特権は事実上吹き飛んだ。アウンサンスーチー氏とNLDはその結果を受けて、単独の文民政権を形成する動きに入った。国軍は、絶望的な反革命クーデターに訴えるしかなくなったのだ。

国家そのものだった国軍

1948年「ビルマ連邦」が独立した直後から、ミャンマーの国軍は、国家そのものだった。1962年からは、ネ・ウィン(将軍)のクーデターによる国軍独裁支配を「ビルマ式社会主義」と称したが、それは社会主義とはまったく言えない、国軍による国家直接統治の別名に過ぎなかった。日帝は、「経済協力」などの形でこれを支えてきた。1988年、下からの民主化運動が発展しそれまでの体制が破綻的になったとき、国軍支配の延命を図ろうと「若手」軍部のクーデターが起きた。今起きているのはそれ以来30年がかりの策動の全面破綻である。

ミャンマー問題は国際的焦点

帝国主義諸国の支配階級は、ミャンマーを中国包囲の「インド・太平洋戦略」の中に位置づけ、豊かな資源や水準の高い労働力を徹底的に搾取することしか考えていない。日帝は、ミャンマー国軍を防衛大学に受け入れているような関係だ。中国とロシアは、帝国主義国に対抗してミャンマーを「自陣」に取り込もうとしている。どちらも労働者階級人民の抑圧者だ。行き詰まった世界を根本的に変える労働者階級の国際的な勝利こそが求められている。

藤村 一行(動労千葉労働学校講師) 『月刊労働運動』21年5月号掲載