ストライキ! 北海道タクシー労組 24 時間ストの報告

6月9日、私たちの組合は会社の夏季一時金「賃下げ回答」に対して12人が怒りの24時間ストライキに立ち上がりました

コロナ禍の3年間、タクシー労働者は激減する賃金、苦しい生活に耐えてきました。今年は物価高騰で春闘の「賃上げ」が行われたと報道されました。一方で運転手は2割以上が退職、労働者不足が大きな課題となっていました。それを背景に札幌圏のタクシー料金は5月31日から約14%値上げされ、各社の申請理由も運輸局の認可理由も「労働条件の改善」が主要な理由です。組合議論で「ここで賃上げを勝ち取らずにいつ勝ち取るのか」となり、20年間賃上げなしの内勤労働者も含め賃上げを勝ち取りたいと考えました。
夏季一時金は最初の攻防でした。組合は早い時期からの団交を求めていましたが、会社は引き伸ばし、具体的な数字を提示したのは支給日(6月9日)直前の6月1日でした。個人の売上額によって支給率が7%から1%に変わる7段階の足切り額(ハードル)を大幅に引き上げるという「賃下げ」回答で、再協議はしないという「一発回答」。こんなふざけた対応は絶対に許せませんでした。会社は2018年にも同様の賃下げを強行し、労働委員会の斡旋で「今後は、資料の提示や十分な協議期間に配慮する」という斡旋案に合意しました。会社はその約束を見事に反故にしたのです。

会社が団交で「売り上げのいい人に払いたい」と発言をしたことに、執行委員から「売り上げが低くても誠実に仕事をしている。そういう人を下げてもいいと考えているのか」と怒りを買いました。「なぜ運賃改定した直後に賃下げするのか」という追及に対して、「平均の支払額は去年(コロナ下)より増えているから賃下げには当たらない」と答え、「従前の基準で支払った場合に比較して明らかに減額されているではないか」「制度の改悪ではないか」「コロナの時に足切り額を下げたのか」と追及され、「足切り額は今後も上げることはあっても下げることはない」と開き直りました。

今回、同様の賃下げはグループ内7社で行われ、怒りの声は他社でも上がりましたが、御用組合がほとんどで、会社の回答をむしろ肯定的に宣伝した組合もあり、闘わない組合に対する怒りと私たちの組合に対する共感は、グループ内他社にも大きく広がりました。他社の親分肌の労働者からうちの組合員が激励され、スト決起に結び付いた例もあります。今後団結を拡大する大きな土台ができました。

5月28日定期大会当日には、組合員が不運な形で重大事故を起こしてしまいました。そのことを大会冒頭の議題にすると、組合員は食い入るように聞き、全力で守るために闘うことを決めました。「労働者が一番弱い時に助けるのが組合だ」「組合に入っていなければ本当に孤立していたはずだ」「素晴らしい組合に自分は入ったと誇りに思う」と言ってくれました。組合員にとって組合が「自分たちの組合」になった瞬間でした。こういう闘いを通じてこそ、組合員自身が自信をもって反戦闘争を闘える組合になっていけるのではないかと感じました。先日の執行委員会で「去年は行かなかったけど、今年は自分が11月集会に行く」とうれしい決意表明もありました。労働者は本当は闘いを求めています。

「賃下げ」問題は、今後労働委員会で救済命令を求める闘いに進む予定です。組合としてもう一段の飛躍をかけて、一歩一歩闘っていきたいと思います。

河野晃興(自交総連SKさくら交通労働組合執行委員長)

『月刊労働運動』2023年7月号掲載

民間交通運輸

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