原発汚染水を海に流すな! 7・30いわき行動
「原発汚染水を海に流すな! 7・30いわき行動」に向かって、3.11反原発福島行動実行委員会の共同代表である椎名千恵子さん(写真)の訴えを掲載します。(7月15日に行われた反戦反核東京集会での発言を抜粋)。
「放射能はゼロでなければならない。被ばくに規準値は無い。『ここまでなら安全』はない」
これは、3.11原発事故直後、闘う医師だったふくしま共同診療所院長・故松江寛人医師から私たちが引き継いでいる根底的な知見です。「怒り 福島」旗をもって、絶対反対で非妥協的に立ち切っていられるのはこの原点があってこそです。
今日は改めてその地平から、国際原子力機関(IAEA)の本質を暴露し、グロッシ事務局長の動向から岸田の汚染水海洋放出問題に関する犯罪性を明らかにし、福島の怒りで断罪しながら、次の闘いの方向性を共有していきたい。
IAEAが第三者機関でないこと、国際原子力ロビーの頂点に君臨する原子力マフィアであることは一定周知されていますが、3.11以降のIAEAは、福島原発事故後に深々と福島に入り込み、「事故による原子力産業の世界的衰退を防ぐ」ためにあらゆる手段を尽くし、福島の「安心・安全説」を醸成してきた機関だという事実を再認識する必要があります。
青森の医師・遠藤順子さんが「すでに2012年には、郡山市で日本政府主催、IAEA共催による“原子力安全に関する閣僚会議”が開催され、IAEAと福島県、IAEAと福島県立医大との間に交わされた覚え書きがあり、そこには『両当時者は、他方の当時者によって秘密として指定された情報の秘密性を確保する』(八条)、さらには『両当時者は、IAEA憲章の任務を尊重しつつ(略)知的財産に関連する事項について相互協議する』という条項も含まれていた」とし、その他の関連機関の動向も詳しく取り上げています。
つまり、IAEAがそれを望むなら福島原発事故による健康被害は秘密にされ、なかったことにする意図がすでにここで担保されていたということです。汚染水海洋放出に関しての策動のシナリオは、すでにこの時期にできあがっていたという事実です。
思い起こすのは、事故直後の政府による初動の数々です。いわゆるスピーディー、放射能の流れの情報は隠蔽、後だしが問題になり、怒りの対象になりました。「笑っていれば安全安心」、県民健康調査検討委員会の「健康被害は事故との因果関係なし」、「学校検査縮小」などで被曝の強制。こうした犯罪の元凶はIAEAであり、癒着して動いた日本政府、福島県、東電にあったのです。
福島を蹂躙し続けて12年間。この軌跡の上に、G7広島サミットで「(汚染水放出に関する)IAEAによる検証を支持する」とする「G7広島共同コミュニケ」を採択し、汚染水問題の解決なしに原子力政策(核武装)は、前に進まないと、規定し合意を諮ったのです。
IAEAの事務局長グリッシが、岸田の手引きで日本、福島に来て出した「包括報告書」、汚染水海洋放出計画は、「国際的安全規準に合致する」 「人や環境への放射能の影響は無視できるほどわずか」とデタラメな見解を言い放ち、あげくのはてには原発敷地内に現地事務所を設け、「最後の一滴を放出するまで残る」と開き直っている。
狡猾な立ち回りもはなはだしい。断じて許せるものではありません。
原子力規制委員会もこの動きに追随し、「沖合1キロから流せば安全」だと。その過程で「濃度に非常事態が生じれば、緊急遮断弁で止める」などペテン、インチキにみちた工程を検証せずに、「放出関連設備の性能に問題なし」として東電に終了証を提出し、放出を促進する立場で加担しています。
県漁連のみならず、福島の怒りはおさまるものではありません
世界も同様で、近隣国の中国、韓国では世論の8割が反対。他、数十カ国が放出反対を表明。水産物輸入措置、食品輸入停止の規制が強まっています。中国についで輸出国2番目にいる香港政府は、13日、禁止対象枠を10都県に広げました。韓国の民主労総は6月22日に汚染水の海洋放出絶対阻止闘争宣言を発して、ゼネストの主要課題とする方針を打ちだしています。
この現実も顧みずに、「丁寧な説明」論を繰り返す結論ありきの国と東電。しかし、7月11日にいわき市で開かれた西村経産相と県漁連の野崎会長ら漁業関係者との意見交換で、野崎会長は「廃炉が終了するのは30~40年後。放出前に漁業者が容認できる立ち位置には立てない」と絶対反対の立場を堅持。
相馬、双葉地区漁協の高野代表は、事故直後の政府の対応に「指示されて向かった避難先に広がっていた放射線量の高さ。我々は見捨てられた。その強い不信感が根底にある」とテレビ画面から怒りがにじみ出ていました。
2018年には、多角種除去施設アルプスで処理された汚染水にストロンチウム90、ヨウ素129などトリチウム以外の放射性核種が国の規準値を超えて存在していることが発見されています。汚染水海洋放出は海への核攻撃で、内部被曝を強制します。食品の安全性、命の問題に、資本や国家の論理にからめとられていくことを絶対にやめさせなければなりません。
では、私たち3.11反原発福島行動としてどう闘っていけば良いのか。
福島の事故から学ばず、学ぶどころか、3.11をもみ消して、核武装、核拡散勢力圏と共に帝国主義の生き残りをかけて大軍拡にひた走る岸田政権を倒すことを一日も早く勝ち取ることだと確認したい。
原発さえなかったらと自害した人々、被曝に由来するとの認定も自覚もなく亡くなった人々(放射能被曝症候群)、甲状腺がんに苦しむ人々(3.11子ども甲状腺がん裁判)、農民、漁民、命を預かり生産する人々、被曝労働の被害者、古里、人生を失って苦悩する人々、被曝地の人々(内部被ばく者)の不安を我が怒りとして、岸田政権、内堀福島県知事、東電を弾劾し、絶対反対の闘いを全国全世界の労働者階級人民と共に貫きとおすことだと思います。
とりわけ重要なことは広島の闘いと繋がることです
「黒い雨」の被ばく者は死を前にして言った。「わしが死んだら、内部被ばくの解明のために体を切り刻んでくれ。福島原発で被災した人を思うと、被ばくの隠蔽は許せん」。
「私は、避難して被爆から逃れて健康を保っている。しかし孫の一人は白血病で亡くなり、ひ孫は水痘症などの障害を抱えて生まれてきている」ーこの長崎の証言とも繋がりたい。
食品や呼吸で生じる内部被ばくは遺伝子破壊によって世代を超えて現れます。海流による生物連鎖で世界に内部被ばくを強制していく汚染水海洋放出を絶対に止めなければなりません。
広島の「黒い雨」訴訟の勝利、闘いを押したてて、8・6ヒロシマ大行動で岸田首相の式典参加許すなと叫び、「広島ビジョン」を粉砕しましょう。
福島も「7.30原発汚染水を海に流すな!いわき行動」へと向かっていきます。みなさんの渾身の結集をお待ちしています。
<行動要項>
汚染水の海洋放出絶対阻止! 戦争と核武装に突き進む岸田政権打倒! 原発再稼働阻止!
原発汚染水を海に流すな! 7・30いわき行動
日時:7月30日(日) 午後1時30分
場所:いわき市労働福祉会館大会議室(福島県いわき市平字堂ノ前22、JRいわき駅から徒歩15分)
発言予定 吉沢正巳さん(浪江町 希望の牧場よしざわ代表)、照沼靖功さん(動労総連合水戸労働組合委員長)
*集会後デモ
呼びかけ:3・11反原発福島行動実行委員会