■特集 JR九州 大再編で100駅無人化とローカル線切り捨て

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0302号02/09)(2015/05/01)

■特集 JR九州 大再編で100駅無人化とローカル線切り捨て

■特集 第二の国鉄分割・民営化は全面外注化攻撃だ! 今こそ動労総連合を全国に!

(写真 14年2月九大線の脱線・転覆事故)

JR九州 大再編で100駅無人化とローカル線切り捨て
福岡労組交流センター事務局

16年度の株上場は破産隠し

 2月27日、安倍内閣は、「JR九州の16年度中株上場」を閣議決定した。これは、「アベノミクスが効果をあげている」との演出であり、国鉄分割・民営化の破産隠しだ。JR7社で「株上場=完全民営化」されているのは、東日本、東海、西日本のJR3社のみ。JR九州をはじめ4社は、未だ株上場どころか政府の支援なしに一日も成り立たない破綻企業である。しかも事故多発やローカル線切り捨てに示されるボロボロ化が鮮明だ。だから安倍は、JR九州の株上場という「成功」を演出しようとしている。その一方で安倍は、JR各社に「第二の分割・民営化」であるJR大再編攻撃を仕掛けさせ、自ら鉄道輸出を「成長戦略」の要にすえ、売り込みに懸命なのだ。
 なぜか。安倍は、戦争体制づくりに踏み切っている。そのために大胆な規制改革と教育と自治体の民営化を柱とする「戦後以来の大改革」と称する一大攻撃に踏み出している。核心は連合の完全な戦争翼賛化である。だから安倍は、JR九州の尻をたたき、株上場を急がせ、「国鉄分割・民営化はうまくいっている。これに続け」と演出に必死なのだ。
 JR九州の鉄道事業は、毎年150億円の赤字だ。3877億円の「経営安定基金」がなければ成り立たない。そのため安倍は、「経営安定基金」は、「国に返さなくてもいい」とし、また「三島特例」を引き継いでJR九州の固定資産税や都市計画税(年60億円)のうち50億円を「5年間減額する」ことまで認めようとしている。「16年度中の株上場」の事実が必要なのだ。

ダイ改が大再編攻撃の突破口

 これは全国的な「JR大再編」の一環である。
 鉄道は、大恐慌下の帝国主義間・大国間争闘戦の一大焦点だ。それに勝ち抜くために「世界最高水準のJR」の仮象が必要なのだ。そのために整備新幹線計画による新幹線網の整備やリニアなど、超高速鉄道化を必死に進める一方、JR各社の生き残りのために、不動産・駅ビルテナント業などサービス産業化に活路を求めている。
 JR九州とて例外ではない。九州一の不動産会社となり、博多シティなど駅ビル事業や「ドラックイレブン」などの医療品販売、さらに農業、教育、果ては民営化される福岡空港経営にまで乗り出し、鉄道事業を二義的なものにした巨大サービス産業会社につくり変えようとしている。「16年度中の株上場」は一大転換点だ。
 JR九州は、不採算部門の全面切り捨てをはかる決意で「鉄道事業の赤字の穴埋めは人員削減で」と宣言している。外注化・非正規化を極限的に進めてきた上に、切れるものは何でも切る一大合理化攻撃を開始し、「3月ダイ改」は、その突破口である。

100駅無人化反対!

 「3月ダイヤ改正」の最大の問題は、福岡市近郊も含めて100駅を無人化する計画にある。現在、九州には566駅がある。これが実施されれば、その三分の二の381駅が無人駅になり、主要都市駅以外はほとんど無人駅になる。駅業務の大半はすでに委託・外注化されてきた。今回は、それすらも放り出すのだ。
 JR九州のローカル線のワンマン化率は9割を超えている。これに九州全駅の三分の二が無人駅となれば、「安全崩壊」は極限化する。
 昨年2月のJR九大線の列車脱線・転覆事故(乗客1人が重傷)、6月のJR指宿・枕崎線での観光列車「玉手箱」の脱線事故は、駅無人化とワンマン化によるものだ。
 今年に入っても1月13日、特急・ソニックの8車両で緊急停止用の防護無線が、1年半にわたって故障したまま放置されていたことが判明した(『朝日』)。定期検査さえやらず、安全崩壊は野放し状態なのだ。

ローカル線切り捨て許すな!

 さらに許せないのは、不採算部門の典型・ローカル線の切り捨て計画が全面的に検討されていることだ。
 現在、JR九州の黒字線は「篠栗線」のみ。他は鹿児島本線も含め全線赤字線。そのため「鹿児島本線在来線を北九州市から久留米の先の荒木駅までとし、その他は第三セクター化しては」という無茶苦茶な意見まで出ている。
 九州新幹線鹿児島ルートの全面開通(2011年)は、この傾向に拍車をかけた。在来線は減り、福岡市への一極集中が進む一方、他県の過疎化が急速に進んだ。九州新幹線・長崎ルート開通(2022年予定)も加われば、この傾向はさらにひどいものになる。
 その九州新幹線も乗車率が40%台に低迷している。円安で外国人観光客が増えても、この有様だ。「3泊4日で110万円」の「日本のオリエント特急」と称する豪華寝台列車「ななつ星」も、予約がとれないほど人気だが、たいした儲けは出ていない。完全民営化してやっていけるかどうか分からない。だから、JR連合も動員して「経営安定基金を残せ」とか、「税の優遇措置を」などと泣きついているのだ。
 昨年6月、JR九州の新社長が、歴代社長で初めて技術・安全畑の出身である青柳社長になった。どこを徹底的にリストラすればいいか、最も知りぬいた人物である。「16年度中株上場」方針は、その青柳が先頭になって賃金・雇用破壊、さらなる外注化・非正規化を徹底推進する宣言である。
  2015年こそ、JR九州の第二の分割・民営化攻撃と対決する最初の年だ。

九州に動労総連合をつくろう

 4月1日の国鉄闘争全国運動・九州の「国鉄清算事業団解雇から25年! JR博多駅行動」は、解雇当該である羽廣憲さん、石﨑義徳さんを先頭に、JR九州・青柳社長に対して、「国鉄解雇撤回! 16年度中の株上場を口実にした安全無視の3月ダイヤ改正反対、100駅無人化反対!」を掲げた闘いとなった。
 JR連合(JR九州労組)は、口では「安全優先」と言っている。だが、「3月ダイヤ改定反対」とは絶対に言わない徹底した御用組合である。JR北海道の事故を見るまでもなく、資本の言いなりの労働組合がいる鉄道会社は、必ず大事故を引き起こす。問われているのは労働組合である。
 動労千葉、動労水戸、動労総連合とともに、「株上場」を口実にした安全無視、大合理化推進の3月ダイ改と100駅無人化・ローカル線切り捨てに反対するとともに、動労総連合を九州にもつくるために決起する。