■特集 JR貨物 貨物の大幅賃下げ、全国輸送網の寸断げ許すな!

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0302号02/10)(2015/05/01)

■特集 JR貨物 貨物の大幅賃下げ、全国輸送網の寸断げ許すな!

■特集 第二の国鉄分割・民営化は全面外注化攻撃だ! 今こそ動労総連合を全国に!

(写真 3・20動労千葉の貨物団結集会)

JR貨物 貨物の大幅賃下げ、全国輸送網の寸断げ許すな!
佐藤 正和(千葉労組交流センター・動労千葉貨物協議会議長)

分割・民営化破綻の象徴

 1987年の国鉄分割・民営化から丸28年がたちました。空前の利益を更新し続ける本州旅客3社と、経営破綻が進行するJR北海道・四国・九州、なによりもJR貨物。国鉄分割・民営化政策の破綻の象徴です。
 今年は「中期経営計画2016」の2年目の年です。2018年度に鉄道事業の黒字化をめざすというものですが、破綻は必至です。JR貨物の「平成27年度事業計画」では、2014年度、鉄道事業営業利益△59億円、関連事業営業利益+102億円で、経常利益が+18億円。今年度事業計画では、鉄道事業△39億円、関連事業+110億円で、経常利益+45億円を目指すとしています。
 営業・運輸・車両・保全など、各部門が全社横断的に施策と収支を管理する部門別管理を組み合わせた「マトリクス経営管理」。各支社が売上・売上原価・粗利益に責任を持つ支社別経営管理、営業部門の強化などで収入を拡大するということですが、電力費などの動力費、各旅客会社に支払う線路使用料の増加などで、収支が約85億円悪化するということです。
 3月に強行された諸手当の削減で約2億4千万円の人件費を減らしても、まさに「焼石に水」、なんのための手当削減なのかということです。今年度の設備投資計画(輸送設備の維持更新、老朽設備取替など)は259億円です。これが経営破綻の実態だと思うのです。
 どうやってこの資金を調達するのかというと、借入金122億円、無利子借入114億円(鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定利益等)、設備投資助成金25億円(鉄運機構からのカンパ?)です。無利子とはいえ長期借入金として残ります。借入金は現在、約1731億円(有利子1138億円、無利子592億円)です。返せるあてなどありません。

限度を超えた低賃金

 これが、本州3社はもちろん、三島各社よりも限度を超えた低賃金を貨物労働者に強制している根拠となっています。「国に支援をお願いしているのだから」と。労働者に破綻の責任を押し付けているのです。
 冗談ではありません! 分割・民営化直前は、国鉄は基本的に山手線周辺の旅客収入でまかなっていました。それで北海道から九州、貨物も含めて経営していました。だから7つの鉄道会社に分けた場合、貨物や北海道、九州、四国の経営が厳しくなることは、初めからわかりきっていたことなのです。
 北海道、九州、四国のような「経営安定基金」もなく、貨物は貨物駅(ヤード)みたいな比較的広い土地を持って民営化され、マンションや倉庫、土地の賃貸といった関連事業で食いつなげということでした。「少ない労働力で大量の貨物を運べる」輸送特性をもつ鉄道貨物は、有事の際の軍事輸送、大資本の物流コスト削減のために、労働者に強労働と低賃金を強いることによって、かろうじて生きているということではないでしょうか。

人員は発足当初から半減

 発足当初1万2千人いた社員も、今は6千人を切っています。本社は、経営統括本部、鉄道ロジスティクス本部、事業開発本部、安全推進本部の4本部体制。北海道、東北、関東、東海、関西、九州、6つの支社があります。最近では、各支社の総務・経理関係が本社の事務統括グループに集約され、雇用保険や労災関係事務が外部の労務管理事務所に委託されました。
 鉄道本体では、貨物駅の入換、機関区の構内運転業務、貨物列車全体の仕業検査、貨車の交番検査が外注化されています(千葉で言えば、京葉臨海鉄道)。機関車や貨車の全般検査を行う車両センター(工場)も外注化が進んでいます。また、「機動的設備保守を図る保全体制」という名目で、電気・保線・工事をする組織・業務体制の変更、外注化が行われました。

全国輸送網の寸断

 今度のダイ改で突き出された問題は、「貨物の全国輸送網が寸断される」ということです。新幹線建設が進めば、並行して走る在来線は第三セクター化するというのが国交省の方針です。北陸新幹線の開業によって並行在来線の信越本線と北陸本線が4つの第三セクターに寸断されました。そこを貨物列車が走るわけです。来年の北海道新幹線開業では、青函トンネルでの貨物列車と新幹線の共用走行が始まります。時速200キロを超える新幹線とすれ違った場合、貨物列車のコンテナが吹き飛ぶということです。当面は時速140㌔におさえるとしていますが、これからが問題です。
 今後、貨物も旅客と同じように、「人口減」「地方消滅」「集中と選択」、大恐慌情勢の中で、その名のとおりSEA&RAILという、例えば東京から福岡まで貨物列車で、そこからコンテナ船で韓国、また貨物列車で中国大陸などとつなぐ構想があります。東京湾と東京貨物ターミナルを直結させる計画もあり、貨物版「国際競争力」「成長戦略」の名の下で、東海道や山陽本線などの幹線輸送を中心として大再編されていくと思います。
 職場の最重要課題は、年金制度改悪で65歳まで本線運転士でハンドルを握らなければならない状況下で、55歳からは賃金7割・基本賃金15万円(千葉県の場合)の嘱託労働者(東日本で言えば、エルダー)にした上で、こき使って貨物列車の運行を確保するという会社のやり方です。これが、皆一番怒っていることです。65歳までの定年延長、高齢者交番の確立が必要です。
 貨物会社は3月1日から「手当等の見直し」として諸手当の削減を強行しました。「労働者との合意」=日貨労の裏切りがあれば、賃金の一方的な変更もいくらでも出来るというとんでもないことが強行されたのです。日貨労革マルは、東日本の労務政策の変更に震え上がり、鉄道事業部門の黒字化のために「血を流し、汗を流す」と自らの生き残りのために、分割・民営化の時と同じく現場組合員を資本に差し出したのです。
 「国鉄改革」「貨物改革」のペテンを暴き出し、全国の貨物職場から怒りの声を巻き起こし、貨物労働者の誇りと団結を取り戻します。日貨労打倒・組織拡大=動労総連合を全国に! ここに勝利の道があることは、あまりにも鮮明です。