■闘う合同一般労組 トヨタ自動車分会の旗が立つ!

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0303号10/01)(2015/06/01)

■闘う合同一般労組

城下町にトヨタ自動車分会の旗が立つ!

労災隠しのトヨタを許さない!

坂野康男(東海合同労働組合執行委員長)

 プリウスを生産するトヨタ自動車堤工場の青年労働者が、2月26日に全トヨタ労働組合(ATU)を脱退して、東海合同労働組合に加盟しました。トヨタ城下町でついにトヨタ自動車分会が誕生したのです。
 染谷さんは、昨年8月1日に右ひざ靭帯損傷の業務災害を負いました。しかしトヨタ自動車は、労災申請を妨害し、健康保険での受診を強要しました。染谷さんは「労災隠しのトヨタを倒したい」「すべての労働者とつながりたい」との思いでATUに加盟して闘いを開始し、団体交渉を2回行いました。しかしATUは、「トヨタにあるまじき行為」との考えに立ち「本来のトヨタに戻れ」と「労災申請闘争」に闘いを限定してきました。こうしたATUを見限って、染谷さんは東海合同労働組合への加盟を決断したのです。
 3月9日に組合結成通告と2015年春闘要求書を議題にした団体交渉要求を行いました。トヨタは、団体交渉の5人以内の人数制限や氏名等の事前通知、組合員限定や団体交渉内容で会社の機密に関する事項を第三者に開示漏洩しないなど8項目の団体交渉開催条件を付けてきました。
 トヨタは「平和的かつ正常・静粛に、貴組合との信頼関係に基づき誠実な秩序ある団体交渉を行うため」を理由として人数制限を行って来ましたが、人数制限を団体交渉の開催条件とすることは、憲法28条の「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他団体行動をする権利はこれを保障する」とした労働三権に抵触するものです。染谷分会長と執行部は、こうした8項目の団体交渉開催条件に屈することなく押し返し、4月8日に第1回団体交渉を意気軒昂と闘い取りました。トヨタはATUとの団体交渉には付けなかった弁護士を東京から呼ぶほどに身構えてきましたが、組合はトヨタを圧倒する勢いで団体交渉をリードしました。染谷分会長は「ATUの団体交渉と比べてトヨタはおとなしかった」と感想を述べています。

全国から祝福のメッセージ

 4月18日の夜、組合事務所には10人を超える組合員が集まって、「世界のトヨタ」と闘う分会が出来たことを喜び、染谷分会長を励ますトヨタ自動車分会結成を祝う会が盛大に行われました。参加した組合員は口々に「トヨタの史上最高益の裏で泣いている労働者がたくさんいる」「世界のトヨタと闘う染谷分会長の決起は素晴らしい」と染谷分会長の決断と決起を励ましました。
 染谷分会長は「昨年8月1日に発生した業務災害に関する交渉要求について、会社は業務災害ではないので応じられないと主張。生産現場の実情や一人ひとりの従業員の出来事には対応しないという隠ぺい体質を疑わざるをえない。様々な労働問題は、健康や安全、賃金といった生活にどれも大切なものが失われてしまう非常に大きな問題です。とくに健康と安全は失われてしまえば取り返しのつかない事態になりかねません。私は自分の為だけに会社と争うつもりはありません。トヨタが変われば日本が変わるという信念のもと活動していきます!」と決意を述べました。
 祝う会には、動労千葉、全国労組交流センター、合同・一般労組全国協議会、動労千葉を支援する会、広島連帯ユニオン、ふくしま合同労組、湘北合同労組、東京東部ユニオン同吉崎製作所分会、新潟地域一般ユニオン、みやぎ連帯ユニオン、関西合同労組、群馬合同労組、一般合同労組さいたまユニオン、婦人民主クラブ全国協議会関西ブロック、JR東日本郡山総合車両センター橋本光一さん、ちば合同労組、日本IBM・ビジネスサービス労組、関西合同労組大阪東部支部から18通のメッセージが寄せられました。その中には「ついに反動の牙城をこじあけて分会結成に至ったこと、心よりお祝い申し上げます。労働者が胸を張って生きられる社会をめざし、ともに頑張りましょう」(動労千葉田中康宏委員長)、「世界のトヨタと闘う労働者が、ついに国鉄闘争と結びついたことを感動をもって喜びたい」(動労千葉を支援する会山本弘行事務局長)、「世界のトヨタを転覆するたたかいを断固として共にたたかいぬきたい」(関西合同労組)、「本気で人生を賭けようと思った人にしか世の中のことはやれません。トヨタ自動車分会に続きます」(JR東日本郡山総合車両センター橋本光一)、「沖縄は全島ゼネスト情勢です。世界のトヨタと真正面から闘うトヨタ自動車分会の闘いこそが、日本のゼネスト情勢そのものだ」(日本IBM・ビジネスサービス労働組合)など感動の言葉がたくさんあり、組合員一同大変感激しています。染谷分会長は「皆さんの激励の言葉は本当に勇気を与えてくれました! またたくさんのメッセージも、支えてくれる方々がこんなにもいて下さると嬉しく思います」と感謝の言葉を送ってきています。
 こうした全国からの激励を受けて、5月11日に第2回団体交渉が開催されました。組合の賃上げ要求に対する会社回答が、トヨタ自動車労働組合との同一の妥結内容を染谷分会長に適用したものかを問いただし、「査定が入る項目では変動があるが、トヨタ自動車労働組合との妥結内容と同じです」との会社回答を出させました。少数組合でも賃上げ交渉での差別的な取り扱いを許さない姿勢で団体交渉を貫徹したのです。
 そして核心的な要求項目である「昨年8月1日に染谷大介分会長の業務災害が発生したことに関して、会社が業務災害を隠ぺいしたことを弾劾すると共に、会社の業務災害隠ぺい体質を根絶すること」について、組合は昨年11月にATUに出した会社の業務災害隠ぺい体質を居直る「回答書」を東海合同労働組合が引き継ぐことを通告しました。
 闘いは、会社の業務災害隠ぺい体質の居直りを許さない第2ステージに入ります。
 トヨタ自動車分会は、動労千葉などの国鉄闘争や合同・一般労組全国協議会などすべての闘う労働者と団結して「世界のトヨタ」と闘っていきます! 韓国民主労総ゼネスト、沖縄ゼネストの闘いと連帯して東海合同労働組合は、染谷分会長を先頭に国鉄闘争全国運動6・7全国集会に総決起します!