労働組合運動の基礎知識18回 CTSの就業規則改悪は公序に反する

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0313号09/01)(2016/04/01)

労働組合運動の基礎知識 第18回
千葉鉄道サービスの就業規則改悪は公序に反する

 改正労働契約法は2012年8月10日に立法化された。18条、19条、20条がその条文だ。19条は即日施行になり、18条、20条は2013年4月1日に施行になった。
 現在、千葉鉄道サービス(以下、CTS)において就業規則の改悪攻撃がかけられている。この攻撃はCTSにとどまるものでなく、全産別の課題だ。18条に関しては5年の無期転換の前に雇い止め解雇が強行されることが予見されていた。現実にそれが今、全産別で始まっている。この攻撃は、改悪派遣法と一体でこれから全国の職場で大問題化する。動労千葉のCTSとの闘いは最先端攻防である。
 CTSの問題にひきつけて言うと「転換権が発生する前に就業規則を変更し、契約期間につき上限を設けることは可能か否か」ということが問題になる。結論は「雇い止め法理の適用が認められる者に対して、契約期間の上限を新設することは、就業規則の不利益変更に該当し、その必要性及び合理性が問題となる」(『改正労働契約法の詳解』第一東京弁護士 労働法制委員会編 労働調査会2013年2月28日初版93頁Q&A)
 労働契約法19条1項は鈴コンのように3カ月契約を繰り返し更新してきた有期労働契約のようなケースは期限の定めのない労働契約と同じであり、期限が来たから契約を解除するというのは解雇権の濫用に当たるから、そういうケースをできるだけ減らすために最高裁の雇い止めの判例を労働契約法19条に入れようということになって立法化された。19条の1は東芝柳町事件、2は日立メディコ事件の最高裁判例がベースになっている。日立メディコ事件は有期労働契約の更新への期待権である。この場合は反復更新であるか否かに関係ない。1回目の更新拒否が違法とされたケースもある。CTSと争った東部ユニオンの河原さんの雇い止め裁判は、1回目のしかも65歳の更新時のケースであるが、雇い止めは解雇権濫用に当たることを認めさせた。しかし別の全く不当な件で解雇が容認されて負けた極めて政治的判決である。

19条適用労働者を後から作成した就業規則で解雇することはできない

 東芝柳町事件は2カ月契約を5回~24回繰り返し更新してきた有期労働契約の労働者は期限の定めのない労働者と同じだから契約期限満了という理由だけで雇い止めはできないとした最高裁判例であり、これが労働契約法19条1になった。鈴コンやCTSの何年も契約を更新してきた労働者はこれに当たる。19条の2の期待権と合わせると、雇用の期限を5年を上限とするのは公序に反し、労働契約法10条の不利益取り扱いに違反する。
 期待権というのは資本の側が労働者に期待を持たせない措置をとってきて、そのまま黙って容認した時にそれが貫徹される。裁判所の判断もそこに置かれている。したがって争うことが重要である。特にCTSの1年契約を何回も更新してきた労働者に対して後から作られた就業規則で雇い止め解雇をすることはできない。闘えば勝てるのだ。